緒沢タケル編15 混沌たるカオス 拷問
やや残酷シーン有りです。
くっ、いっ、いってぇぇえ~ぇっ・・・
カラダがバラバラになりそうだ・・・。
骨盤あたり、ひびが入っているかもしれない。
だが、倒れている暇なんかありはしない。
痛みをこらえながら、
タケルは右手の先に落ちている天叢雲剣を、掴みなおそうと手を伸ばす。
だが・・・。
「えっ!?」
その天叢雲剣がタケルの手を避けるように逃げ出したっ!
いや、これもカオスの能力だ。
あっという間に、剣はタケルの手の届かない空中にまで浮き上がり、
そのままカオスの頭上を通り越し、彼の背後の壁に突き刺さるっ!
「て、てめぇ、返せ!!」
「ハハン、そうだよなぁ?
タケル君、唯一の武器だもんなぁ?
でもざーんねーん♪
ここからは戦いじゃないな、
ただの遊び、
せいぜいオレを楽しませてくれよ?」
そういってカオスは前方に手をかざす・・・。
一体何を・・・
その瞬間、
タケルは避けようもない衝撃に襲われ、真後ろの壁に激突する!
「ぐぅっ!!」
「まーっだっだよーっ♪」
いつの間にやら、そこには壁というより、
十字架の形をとっている木柱が組み上げられていた・・・。
タケルが浮かんでいる間か、床に叩きつけられて動けないうちに用意されたのか、
その交差された2本の柱に沿って、タケルの両腕両足が勝手に操られてゆく・・・。
どうするつもりだっ!?
だが、答えを待つまでもなく、タケルは自らのカラダでカオスの目的を知る。
今度はタケルの目前の空間に、ごつい形の杭が2本、浮かんでいる・・・。
まさか・・・。
「タケルくーん、
さっき君が言ったように、全部いっぺんには操られないからさぁ?
片っ方ずつ、打ち込んであげるよ、
なぁに、ちょこっとチクっとするだけさっ。」
そのまさかか!?
みるみる巨大な杭は空中を移動し、
タケルの右手のひらに、その凶悪な先端があてがわれる・・・。
「お、おいっ、
こ、このサディスト野郎っ、てめぇ正気じゃねーよなっ!?
や、やめろっ、お、おおおっ 」
まさしく鋭い痛みがタケルの手のひらに!
しかもご丁寧に、一回で打ち込むのではなく、それこそ金槌ででも打ち込むときのように、
何度も何度も、打ち付けるように手のひらの肉を食い破っていく!
そしてタケルの骨を砕き、金属の杭は後ろの木柱にまで貫いたのだっ!
うぁぁああああああぁぁぁっ・・・!
「もう一本あるからねぇ~♪」
さらに響き渡るタケルの悲鳴・・・。
もう言葉にもならない・・・。
激しい獣のような悲鳴と、もう閉じることも出来ない口からは唾液がこぼれている・・・。
だめだ・・・、
何とかしないと・・・。
誰か・・・助けに来ることも出来ないのか・・・。
タケルは力なく、自分が落ちてきた頭上を見上げるも、
カオスの言葉はその望みすらも断ち切ってしまう・・・。
「ああ、キミのお仲間?
まだ無事だよ、
でもここには来れないように、通路を塞いでいる。
勿論、さっきのキミの悲鳴は聞こえているかもしれないけどね、
神殿内では音が反響して、具体的にどのあたりから聞こえてくるか判らないかもなぁ?
あ? この真上?
君が落ちてきた隙間も一緒、
君が気づかないうちに塞いじゃったからさ。
さて、
とゆーわけで安心して、この先の拷問を続けるとしようか?」
もうタケルは声も満足に出せない。
蚊の鳴くような声で、息も絶え絶えにカオスに抵抗する・・・。
「こ・・・この先、
どうしよって んだ・・・。
てめぇ、な、なんのために・・・。」
「んー? さぁ?
オレはキミを徹底的にいたぶるだけさ、
さっきも言ったように、死にかけの状況になったら解放してあげるかもね?
でも、まだキミ戦う気、十分あるだろ?
両手潰しただけじゃ安心とは言えないよなぁ?
キミ、拳法使いなんだろ?
肘や足で攻撃されちゃあ堪らない。
・・・てっことで・・・。」
ここでようやくカオスはタケルに近づきだしてきた。
今更・・・。
ち、ちっくしょう・・・
よくもやってくれやがったな・・・
まだ、両足はなんとか動く・・・か?
腰骨に鈍い痛みが残っているが・・・
複雑な動きは出来ないがヤツの顎先を狙うくらいなら・・・。
「らぁっ!!」
タケルが渾身の力を込めて蹴り上げようと試みるがやはり無駄だ・・・。
カオスのサイコバリヤーに阻まれて、その右足はコイツのカラダに届かない。
「おおっと、まだ元気だねぇ?
そうだ?
このいたずら好きな足・・・要らないよなぁ?
一本ありゃ、大丈夫だろ?
さて・・・」
その言葉に、タケルの右足がまた勝手に動き始める・・・。
というより、その力の負荷は、正常なる稼動方向とは全く逆の方向に・・・!
「なっ、や、やめろ、貴様・・・
まさ かっ! 止せっ!! 」
必死に抵抗してもどうしようもない。
タケルの意志を無視して曲がっていく膝は、ついに彼の関節の限界を・・・
ボキィッ!!
この部屋を埋め尽くすかのようなタケルの悲鳴。
カオスは困ったような笑みを浮かべて自らの耳を塞ぐ・・・。
この敵がタケルの「地下世界最後の戦い」と言ったのは、
もはや他に敵がいないからではなく、
タケルはここで戦闘不能になるからです。
それでも次回、転機が!?