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緒沢タケル編15 混沌たるカオス 窮地

ぶっくま、ありがとうございます!


カオスは今の迎撃方法を見て、心底感心したらしい。

 「へぇ~、凄ぇ、凄ぇ、

 ・・・そうかぁ、そんな使い方もあるんだぁ・・・、

 やっぱ、お前凄ぇなぁ・・・。

 なんとなく『上』が殺すなって言った意味がわかるなぁ・・・。」


ナイフを落とした勢いで、タケルはそのままカオスに攻勢をかけようと思っていたのだが、

今の言葉に気勢を削がれる・・・。


 オレを殺すな・・・?

 「おい、ちょっと待て、カオス!

 今更、なんだ?

 さっきも言ってたっぽいが、オレを殺すなって、どうしたいんだよ!?

 お前の本当の目的はなんだっ!?」


 「ハハッ、べーつーにぃ?

 一応言っておくけど、このオレに対して戦意を失う必要はないからね?

 キミは全力でかかってくればいい。

 ん? そんなこと言われても本気になりづらいかい?

 じゃあ、こう言おう。

 確かにキミを殺すなとは言われている。

 ・・・けど、それ以外だったら何してもいい・・・ともね。」


そこでカオスは悪戯っぽく笑って言葉を繋げる。

 「・・・つまり、

 手足をもごうが、一生、口の利けない体にしようが・・・、

 そしてキミの仲間を皆殺しにしようが・・・ね?

 どう? ちっとはやる気でたかい?」


 そうだ!

 今、自分ひとりでここにいるが、他の仲間はどうなったんだっ!?

 ここに自分が落とされたことがコイツの罠なら・・・、

 他のみんなだって、どんな扱いを受けているかわかったもんじゃない!


 「カオス!

 オレの仲間に指一本、触れてみろっ!

 その時は貴様を八つ裂きにしてやるぞっ!」


 「アッハッハッハ!

 いいねぇ、その凶暴な顔・・・!

 やる気でたようだね?

 だけど、安心してくれよ、

 ・・・つーか学習してないのかい?

 オレは、指一本使う必要ないんだって。」

 

 「うるせぇ!

 くだらねぇ揚げ足取りしてんじゃねーよっ!

 ・・・それにいい気になってるのも今のうちだ!

 オレはお前の能力の限界も悟ったぜ!」


タケルの言葉を聞いた瞬間、カオスの表情に変化が現れる。

どうやらタケルの判断に興味を持ったようだ。

 「へぇ? そいつは大したもんだ・・・。

 良かったら教えてくれる?」

 「ハンっ!

 お前、さっきっから幾つもの物体を操作しているようだが・・・、

 同時に操れるのは、二つか三つ・・・。

 いや、厳密に言えば、『思い通りに操れるのは』その程度だってことだろう?

 木片にしろナイフにしろ、1~2本がオレを直接襲い掛かる間、

 他の物体は宙を舞って待機しているだけだった。」


・・・タケルの得意気な指摘に相反するように、カオスの表情はつまらなそうだ。

 「・・・で?」

 「でって・・・、え?」

 「いや、タケル君、

 その通りだとして、キミがそれで何か有利になるの?」


実はそれ以上、タケルは考えていなかった・・・。

単に、カオスの能力限界を悟った気がしていい気になっていただけだった。

それでも幾度もの死線を越えてきたタケルには、

それなりの勝算も見つけることができていたのである。

 「う、うるせーよっ!

 それだけじゃねぇぇっ!

 それと・・・オレの天叢雲剣が発現する間!

 お前の能力は弱まるなっ!?

 それだけわかりゃ、十分だっ!」


そう、天叢雲剣の起動時の発光と衝撃音は、

そのショックで対峙する術者の精神集中を揺らがせる効力もある。

ならばこの先の戦術は決まる!

 「終わりだっ、カオス!!」


その言葉と共に、もう一度全方位型の放電!

そのままこの部屋の中でカオスに向かって突進っ!

太ももの激痛はあるが、数メートルヤツを追い詰めれば・・・!


 「・・・なるほどね、

 それで身を守りつつ、オレを追い詰めて、というわけか。

 だけど、タケル君、

 まーだ、オレの能力を理解してなさそうだなぁ?」


 何故だっ?

 何故、カオスはここに来ても余裕でいられるっ?

 だがこれ以上考える必要はない、

 このまま雷撃の暴雨風にカオスを巻き込んでしまえれば・・・っ


 !?

次の瞬間、タケルの足は踏みしめるべき床を見失ってしまった・・・。

 「え!?」

というより、平衡感覚を全て失い、まるで自分が宙に浮いてるような錯覚・・・。


 いや、錯覚じゃないっ!?


気が付いたらタケルの体は地面を離れ、どんどん天井付近へと勝手に浮き上がっていく。

もちろん、その異常事態に精神集中は乱され、天叢雲剣の雷電は解除されてしまった。

 「おおおおおおおっ!?」


カオスがタケルを楽しそうに見上げている。

 「眺めはどうだい、タケル君。

 さっきは、クッション作ってあげたけど、もう要らないよね?

 ま、キミの頑丈なボディなら死にやしないだろ?

 頭だけは打たないよう、気をつけなね?」


 「おお、お、おい!

 おめぇ、っこれ、正気じゃないだろ?   

 ふざけんな、反則だろ、これっ!?」


 「アッハッハ、今更なに言ってんだい、

 ・・・じゃ、レッツゴー・・・!」


カオスの指先がパチンと鳴る。

その瞬間、タケルは4メートルほどの空中から落下!

 「うわああああああっ!」


 う、受身をと、取らなきゃっ!!

今度こそ凄まじい衝撃と激痛がタケルの全身を襲う!

受身そのものは、ある程度取る事に成功していたが・・・、

その代償として彼の右手からは、唯一の武器、天叢雲剣が失われていた・・・。


 




次回・・・ちょい残虐シーンが。

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