表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
614/676

緒沢タケル編15 混沌たるカオス 戯れるカオス

 

 これだ・・・。

 この感覚・・・、

 確かに上からこの場所に落下した時と同様の感覚だ。


だが、そんなことに納得している暇もない。

いま、タケルの視界の真ん中には笑みを絶やさないカオスの顔がある。

ところがそのカオスの背後に、

さっきまで彼が座っていた巨大な貯蔵樽・・・

それが二つも同時に浮かび上がったのだ・・・。

 「お・・・おい、まさかそれ・・・!」


カオスの朗らかな笑い顔・・・。

 「うん、そう、それ!」


その瞬間、山なりの軌道を描いて貯蔵樽が向かってくる!

 「うわぁぁぁぁああっ!?」


後方に跳んで避けようとするも、

その巨大な物体は生き物のようにタケルを追いかけてくるのだ。

物理的に考えて剣で叩き落せるような代物でもない!

それでも一つ目の樽は、中国拳法の掌底で流すことに成功したが、

ほぼ同時に次の樽が、タケルのカラダに衝突する!

 ぐあっ!

 ・・・で、でもこれぐらい・・・!


タケルにぶつかった樽は、衝撃で彼の足元に砕け散った・・・。

そしてさらに・・・、

いつの間にかタケルの太ももに、


先ほど床に落ちていた筈の、もう一本の槍が・・・

深々と突き刺さり、彼の膝から足元に暖かい血を垂れ流させていたのである・・・。

 「つぅ~・・・樽は目くらましかよ・・・!」

 「うぇっ!

 ・・・あああ、痛そうだなぁ、その槍?

 どう?

 これであんあまり激しく動けなくなったんじゃない?

 樽がぶつかったのは肩?

 じゃあ、そっちはまだ動くか・・・。

 ん~、次はどこ虐めちゃおっかなぁ~?」


 この野郎・・・っ!

 それにしても念動力と精神障壁・・・?

 「てめぇ、複数の能力を併せ持っているのか・・・!」


 「ん~?」

途端にカオスは笑い始めた。

 「アッハッハッハッハ、複数の能力?

 まぁ、そう言われればそうかもしれないけどさ、

 オレに言わせりゃオリオン神群のほうが歪なのさ!

 仕方ないんだけどな?

 あいつらは自分たちの得意とする能力に磨きをかけ、

 それ以外の能力を使うことすら考えようともしなかった。

 オレは逆さ、

 オレはあいつらのように極端な能力を持たないまでも、

 その代わり、様々な能力を身に付けている。

 ま、ここまでできるのは、オレが天才だって事かもしれないけどな、ホラ?」


言葉が終わると同時に、カオスは手の中の何かを見せるかのように、タケルにその手を向ける。

すると、どうだ?

その手の前面の大気が歪み、オレンジ色の明るい光が・・・!


炎だっ!

すぐにその火球は飛び出し、人魂のようにタケルにまとわり着く! 

突然の火の玉に、タケルはみっともなく逃げ回るも避けきる事など出来るわけもない。

 「熱っ!

 こ、こいつはヘファイストスの炎を操る力っ!?」

 「ああ、でもやっぱりあんな高熱で激しいのはオレには出せねーや、

 あんまり殺傷力もないしなぁ?

 ま、でもこれでオレの名前の由来はわかったろう?

 いろんな能力がごっちゃにあるから、カオスってんだ。

 自己紹介はこんなところでいいかなぁ?

 そろそろ・・・

 攻撃に移らしてもらって・・・いい?」


火の玉はタケルの衣服に移り、燃え広がり始めるかと思われたが、

とっさにタケルは地面にその部分をこすりつけ、すんでの所で消火に成功。

太ももに刺さった槍も強引に引っこ抜いた・・・。

鮮血が溢れて来るが、突き刺さったままでは動けない。

今までの経験から、この程度の出血なら問題ないはずだ。


・・・それより、今のカオスのセリフ・・・。

誰だってその言葉に違和感を覚えるだろう。

「そろそろ攻撃に移る」?

じゃあ、今までのは?


だが・・・すぐにカオスの言葉の意味は、タケルのカラダを以って知ることになる。

先ほど砕け落ちた貯蔵樽の残骸が・・・

タケルの視界の中で空中へと浮かび上がっていく。

それらはギシギシと嫌悪感をもよおす様な悲鳴を上げた後、

一本、また一本と、それぞれの破裂音と共に分解される。

それらの木片の切っ先は、全てタケルのカラダに向けられた!!

 「こ・・・これ、全部・・・。」

 「うん、そう、全部♪」


まるでミサイルでも発射されるかのように、その全ての木片がタケルに襲い掛かる!

しかも真っ直ぐ飛んでくるならまだしも、

その全てが自由自在の角度で攻撃してくるのだ。

受け止めたり剣で防ぐことは不可能だ。

タケルの皮膚はどんどん傷つき赤い血がにじみ溢れてくる。


 ・・・ちくしょうっ!

 だがこんな攻撃、痛みを我慢さえすれば・・・っ!


タケルが思いつく反撃の方法は、接近してからの天叢雲剣による雷撃!

しかしカオスは、非情にもそんな余裕は与えないっ。

そのカオスは自らのマントの下から、

刃渡り15センチはありそうな投げナイフを何本も・・・。

 「お次ぃ、これね~!」


冗談じゃない!

こんなもん、何本も食らったらそれこそ出血多量で立っていられなくなる。

急所に刺されば致命傷だっ!

タケルが口を開いて抗議でもしようかなどと、考える間もなく、

カオスはまたもニコニコ笑いながら発射してきた。

 「うわわあああっ!!」


タケルの精神力はまだ万全だ。

 ならば・・・、

 こんなもん、いちいち相手していられるかっ!


 叫べ、いかづち!!


 「おおっ!?」


これはハデス戦で偶然学んだ使い方っ!

エネルギー放射を一点に向かって走らせるのではなく、

自らの周囲全方向に放射する!

当然、攻撃力は落ちるが、多方向からの攻撃を迎撃するには効果的だ!

タケルに向かって飛んでいたナイフは、

全て雷撃のエネルギーショックで固い床に撃ち落とされてゆく。


 



次回、タケル反撃・・・なりますかねぇ・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRoid版メリーさん幻夢バージョン
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ