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緒沢タケル編15 混沌たるカオス 妖しき歓待者

前のハデス戦で、ひっそりとタケル達の戦いを監視していた彼です。

なお、髪の色が、マーゴたまと一緒ですが、

マーゴたまと関連は全くありません。

そしてマーゴたまは髪の毛染めてます。

マーゴたまの地毛は亜麻色です。

弟のアーサーと一緒です。



早くみんなを安心させてやろう。

 「おーい、オレは無事だぁ!

 この下の部屋も暗くて、どこ行きゃいいのか、わかんねーけど、

 とりあえずみんなは先、進んでくれーっ!!」


 とにかく神殿の人間、見つけるのが先だよな?


上にいるサルペドンたちも、タケルの安全が確認できたら、

ここで待ち続けていても仕方がないと判断した。

どこかで合流する方法を考えよう。


みんなが移動し始めるのを確認してタケルも行動を起こす。

立ち上がって、全身くまなく怪我の具合をチェック。

 ・・・まぁ問題ないよな?

 そういえば、天叢雲剣は・・・おしおし、ちゃんとあるな。


地面に落ちたショックで体を傷つけていることもない。

 そういや、帯剣したまま神殿入っちゃったけど・・・いいのか?


今頃、そんなことに気づいても・・・。


さて、タケルも落ち着いてから、

わずかに漏れ入ってくる光を頼りに、周りの状況を確かめようとした。

最悪、天叢雲剣を放電させても・・・


いや、それは危険すぎるしトラブルの元だ。

目を慣らしていくしか・・・


そう思った瞬間、タケルの五感に何らかの気配を感じる。

 人影っ?


 「誰だッ!?」


タケルは自分の直感を信じた・・・。

確かにこっちに・・・。

すると、タケルの直感を裏切るかのように、

彼の目を向けた先でなく、背後や周りで幾つもの音が・・・。


音・・・そして光・・・

 明るいっ!?


周りの壁にいくつもの燭台の炎が燃え盛りだす・・・。

 勝手に・・・独りでに!?


そしてタケルが首を戻したとき、

そこにはプラチナブロンドの髪を有する若い青年が、

この部屋の荷物の上に、見るからに気だるそうにもたれかかっていた・・・。


 


 クスクスクス・・・。


 笑っている?

そのプラチナブロンドの髪の青年は、

うつむき加減でタケルを直接、見つめてはいないものの、

何がおかしいのか、

明らかにタケルの存在を意識して微笑んでいた・・・。


そのうち、もたれかかっているのも面倒だったのか、

貯蔵樽のような大きな箱の上に、

行儀悪く「よっ」と登ってから、その箱の上に座り込んでしまった。


そこでようやく改めてタケルのほうを見下ろす。


若い・・・。

勿論欧米風の顔のつくりの為、年齢はわかりづらいが、タケルと同年代かそれ以下か・・・。

ただ、

・・・彼はオリオン神群特有のマントを羽織っている。

ならばヘルメスたち同様、見た目より年齢は高いのだろうか・・・。

それと、この青年がオリオン神群であるとすると、

ここの主は老婆だっていうアグレイアのはずだ。

どう見たって、この男がアグレイアのわけがない。

それと・・・奇妙な特徴が一つ・・・。

彼の額に刺青・・・タトゥーか?

五芒星と言えばいいのか、そんな徴が描かれている。

これまで地下世界で刺青の風習は見なかったと思うのだが・・・。


まぁ、それはいいが、

そんなことより、もっと驚くべき言葉が、このにやけた青年の口から発せられた。

 「大丈夫?」


驚くなかれ、この言葉は日本語だ。

これまでディオニュソスやネレウスが、地上に行き来していたことは聞いていたが、

こんな若そうな人間が・・・、

しかも英語みたいなメジャーな言語ではなく、日本語を使っている事にまずはびっくりした。

タケルが答えるのも忘れていると、青年は戸惑うようにもう一回聞きなおす。

 「あれ?

 日本語使えると思ったんだけど、わからない?」


慌てて反応するタケル。

 「ああっ、申し訳ない、

 まさか地下世界の人に、

 日本語で尋ねられるってシチュエーションに驚いて・・・。」


安心したのか、途端に青年は笑い始めた。

 「ああ、そりゃそうだよねぇ!? 

 何なら英語でもフランス語でもいいけど、どっちがいい?」


 こいつは何ヶ国語マスターしてるんだ?

とりあえずは日本語使ってくれるのなら、それに越したことはないので、タケルは日本語でお願いした。

敵意はなさそうなので、できるだけ友好的に・・・。

 「あ・・・あんたは?

 ここの神殿の主アグレイアじゃあ、ないよね?

 一体アンタは誰なんだい?」


すると青年は、なんか軽いノリで笑い始めた。

これまでのオリオン神群の威厳はない。

 あ、

 ・・・そういえばヘルメスもなかったっけ。


 「アッハッハッハッハ、まさかぁ、

 オレがあんなバーさんなわけないだろ?

 オレの名は・・・んっ・・・

 カオス・・・

 そう、カオスって言うんだ。」


 カオス?

単語的には聞き覚えあるような気もするが、

ギリシア神話の神の名前にしては、タケルの記憶に符合する名前は全くない。

相手がオリオン神群ということで、多少タケルも警戒し始める。

ここは一計を案じよう・・・。

 「えーっ・・・と、

 カオス・・・さん?

 あの、申し訳ないけど何の神様なんだい?

 オレの住んでいる地上じゃあまり聞きなれない名前なんで・・・。」

 

うまく相手が調子に乗ってくれればいい。

この男が敵に回った場合なのだが、

うっかり自らの能力のヒントを出してくれればしめたものだ。


その、カオスという名のオリオン神群の答えを待つ間、

軽く辺りを観察し、徐々にタケルも今の状況を把握し始める。

落ち着けば落ち着くほど、やはり今の状況は異常だ・・・。

この部屋はどう見ても、物置か貯蔵庫といった所だろう。

ここにいたのが奴隷か召使だというのなら、あまり違和感は感じない。

しかし、この地底で高い権力を有するはずのオリオン神群が一人で・・・、

しかも自らの神殿でなく、

他の土地からやってきたと思われる男がこんな場所にいるなど考えられない。


タケルを待ち構えていた・・・?

ではさっきの暗闇は・・・、

そして落下は?


改めて自分の周囲や足元を確認するに、

自分が落っこちた場所に、クッションの役目をする物体など存在しない・・・。


 



次回、「その名は混沌」

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