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緒沢タケル編14 冥府の王ハデス 騎士団の亡霊たち

70000PV達成しました。


あり得ない・・・!

地上で真っ黒焦げにした男が、どうしてこの地下世界に・・・。

しかし、その姿は紛れもなく、あのモードレイユだ・・・!

革のスーツや体のあちこちが焼けたり、爛れたりしているが、

死んだときの痕跡は薄くなっているようにも思える。

そしてあの時と同様、

モードレイユは何発もタケルに銃弾を撃ち込んでゆく・・・。


 どうなってる・・・っ!

撃たれた部分の激痛は間違いないのだが、血が一滴も流れてくる様子がない。


 これは幻だとでも言うのか!?

タケルの心に、ハデスの術のからくりを解き明かそうという、衝動は芽生えかけていた。

だが、

眼前のモードレイユは、さらにタケルの心を揺さぶっていくのだ・・・。


 なぜ・・・


 「・・・あ?」


 何故母さんを見捨てた・・・。

 何故母さんを独りぼっちにしたっ!?

 母さんは・・・

 ずっと貴様が迎えに来るのを待っていたんだぞっ!!


 「モ、モードレイユ!? 何の話だっ!?

 オレをお前の親父と勘違いしてるのか!?

 オレは緒沢タケルだ!

 貴様の父親なんかじゃない!!」


 ・・・モードレイユ?

 オレはそんな名前じゃないっ!!

 オレの名は加藤恵介!!

 貴様の姓など名乗るものかっ!

 オレは・・・貴様に思い知らせてやる為に・・・

 貴様が創り上げた王国をぶっつぶして・・・

 少しでも貴様に弄ばれた者たちの恨みを晴らす為に帰ってきたんだっ!

 母さんとオレの恨み・・・

 ほんの少しでもいい!

 お前の「心」に刻み付けてやる為にっ!

 

 

タケルは完全に呑まれていた・・・。

勿論、タケルはモードレイユの過去なんか知らないし、関係もない。

だが、迫真のモードレイユの恨みの発散に、

まるで自分が責められているような錯覚すら覚える・・・。


元々タケルにも、

モードレイユには姉・美香を殺された恨みがあった筈。

だが、あの時の戦いの後、

タケルはモードレイユにもある種のシンパシーを感じてしまったのは確かだった。

それに美香の恨みは、

あの時、天叢雲剣の発射と共に全て晴らしてしまったつもりでいる。


 今更、いったいどうしろって言うんだ!?

 「ちぃぃくしょぉぉぉっ!!」

もうやれることは一つしかない。

相手が何をしようと、何を語りかけてこようと、

雷撃で蹴散らすしかタケルには手が思いつかない。

・・・あの時と同様・・・、

また・・・またもう一度、モードレイユに電撃を食らわすと、

先の二人のオリオン神群同様・・・、

そのカラダは崩れ始める・・・。

 

 

 か・・・母さん・・・

 父 さ 

 オレは 二人の 仲  かった だ け


モードレイユの最後の言葉は、

タケルの耳にはっきりと聞こえてきたわけではなかった。

だが、これまでのいきさつで、モードレイユが何を望んでいたかは容易に想像がつく。

まるでモードレイユの最後は、

親の愛を欲するただの子供の泣き顔だ・・・。


バチィッ!

感傷に浸っている暇などない!

天叢雲剣の放電に異変が!!

まるで今の火花は、蝋燭の炎の最後の揺らぎ!

タケルにも、改めて自分の精神力の限界が来てしまったことを理解した・・・。

だが、ハデスとの距離の前に、

またもや三つの影が同時に出現していたのである・・・。

 


 

さらにハデスの攻撃は執拗さを増すというのか・・・!?

タケルの危機的状況はマリアたちにも分かった。

いくら、タケルの戦闘力や成長が驚異的なものとは言え、

この現状を打破できる手などあるはずも・・・?


いや・・・

まだ一つだけ手が残っている!

あまりにも恐ろしい出来事が立て続けに起きて、頭が正常に働かないのだ。

恐らく、心の底から他人の命を奪うことに抵抗のない者、

悪にその心性を浸した者なら、

ハデスの召還術など意味を成さなかったに違いない。

ネレウスが警告したように、

まさにタケルの心の弱い部分を攻められているのだ。

 

 

ここまで来て、

ハデスは殆ど自らの力を使っていない。

彼にとっては、

目の前のタケルが、その心の中にねじ伏せてしまいこんでいる暗い部分、

・・・自責、後悔、罪悪感、辛い思い出・・・

それらを現実に引き出しているだけなのである。

そして今、

ハデスは、タケルが騎士団戦にて経験した、

最も手強く、・・・悲しい最後を味わった者たちをこの場に呼び寄せてしまったのだ・・・。


 あれは・・・あいつらは・・・

 あの人はっ!!


タケルの眼前に、騎士団最強の男たちが甦るっ!

剛勇の騎士ガワンッ!

豪剣の騎士ライラックッ!!


そして・・・

その死に様にタケルが最も涙した者・・・。

騎士団極東支部支部長・・・

愚者の騎士・・・日浦義純!!

 




次回、果たしてタケルに反撃する術はあるか?


なお、加藤惠介、

彼の母親の悲劇は世界が変わっても変わる事はありません。

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