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緒沢タケル編14 冥府の王ハデス ハデス現る

お? またぶっくま増えた?

ありがとうございます!!

 

一度、タケルは斜面の下のクラトスたちに視線を送る。

ハデスの部下であろう兵士たちが、クラトスとビアの救護に駆けつけているが、

タケルの意図通り、今の段階ではまだ命があるはず・・・。


 殺さなくて良かったな・・・。

 まさか、あの二人の死体が動き始めていたら・・・。

 どの道、あいつらは問題ないだろう。

 もし、この村で死んだ者たちが墓場から這いずり出てくるというなら、

 天叢雲剣で焼き尽くせばいいような・・・。

 とすれば、恐怖に呑まれて天叢雲剣が使えなくならないように気をつけろってことか・・・。


タケルはその事態を想定して、戦術を練り始める。

最善の方策としては、

ハデスに能力を使われないうちに、術者ハデスを叩きのめせば良いだけ。


 そうすりゃ、身の毛もよだつような光景を見なくて済むはずだよな。


タケルはネレウスに挨拶を済ますと、

もう一度、山道を登るべく歩み始めた・・・。

そこで一つタケルは思いつく。

 「ん? でも、サルペドン、

 お前、一度ハデスと戦ったんじゃなかったっけ?」

 

 

 「ああ、私の能力が存分に振るえる土地でな、

 私の能力は、文字通り『地の利』さえあれば無敵と自負している。

 ハデスがどんな能力を持っていようと、その時の私には歯など立つはずもない。」


そうか、

基本的にオリオン神群が自分たちの土地から出ず、

わざわざ、スサがやってくるのを待ち構えているのには、そういう理由もあったのかもしれない。


右手の上のほうに神殿らしきものが見えてきた。

だが、辺りに人影は見えない。

渓流の水が流れる音で、人の足音はかき消されてしまうようだ。

どこかに隠れているとしたら・・・。

タケルは歩行スピードを緩める。

辺りの気配を窺うためだ。

先のヘルメスの気配すら察知できたように、

五感に神経を集中させていれば、その接近は感知できるはずだ。


だが・・・

「彼」はタケルの想像を上回る方法で、既にこの場に存在していたようだ。


タケルの肩に、

突然、誰かの手が触れた。


 

 「ようこそ、異邦人たちよ。」


 !?

反射的にタケルが身をひねる!

その視界に映ったのは、二本の細い槍と、ひょろっとした体つきの長い黒髪を有する中年男性・・・。


 いったいどこから現れた!?

人間が隠れるようなスペースなどどこにもなかった筈だ!

その陰気な表情の男性は、タケルの肩に触れたにも関わらず、

タケル本人には興味もないように、サルペドンのいる位置に視線を送ったまま、ぼーっとしている。

・・・オリオン神群のほとんどが着流すマント・・・。

その漆黒の衣はその神の本質を示すかのようだ・・・。

では、この男が・・・

この街の支配者にして冥府の王ハデス!!


タケルは天叢雲剣に手をかけたまま、不気味な男の出現方法に警戒する。

この位置で電撃を放てば、仲間に被害が及ぶかもしれないし、

ヘルメスのような瞬間移動能力でもあるのなら、いきなり背後に回られてしまうかもしれない。

それに何よりも・・・この男には殺気がない・・・。

果たしてこの場に戦いに来たつもりなのだろうか?

タケルがハデスの接近に、最後まで気づかなかったのは、

その殺気がまるで存在しなかったせいかもしれないが・・・。

 

 

 「ふ、む・・・、その黒い色眼鏡は・・・

 かつての同胞・・・ポセイドン様、ですかな?」

やはり、ハデスの興味はポセイドンたるサルペドンに向けられているようだ。

ならば、しばらく彼らの邂逅を見守るか・・・。


 「久しいな、ハデスよ、

 その額の傷・・・意外と大事には至らなかったようだな?」

ハデスはくぐもった笑いを浮かべだした。

 「くふっ、ふっふっふ、相変わらず手厳しいお方だ・・・。

 100年もの間、こうして残る傷跡を見て、大事には至らなかったと?

 あなたの大地を揺らす能力で、天井から岩石に押しつぶされ、命を失う覚悟をしましたぞ?」

 「まぁ、そう言うな、

 私とてゼウスにズタズタにされて、この右目を失ったんだ、

 互いに命があるだけでも、マシなほうだ、

 ・・・今のところはな・・・!」 

 


 

今は敵同士とは言え、

オリオン神群の中でも高い地位を占めていた二人の神々・・・。

100年ぶりに会い、積もる話でもあるのかもしれない。

だが、互いの目的は承知済みだ。


 「ふっふっふ、ポセイドン様、

 せっかく、久方ぶりの対面で、あなたを歓待したいのは山々なのですが、

 ゼウス様にきつく指示をされてましてね・・・。」

 「なんだ?

 この地ならば、私と戦えるということか?

 それともヘファイストスやネレウスの件か?」


ハデスはゆっくりと首を振る・・・、

微笑を浮かべたまま。

 「いえいえ、あなたと戦う?

 ご勘弁を・・・。

 あなたと戦うのはオリオン神群最高神ゼウス様だけでございます、

 どうぞ、このまま先にお進みください、

 一切の邪魔はいたしません。

 ただ・・・あなたが私と戦いたいと無理に仰るなら・・・、

 ヘファイストスとネレウス・・・

 あの二人は道連れにさせていただきたい・・・。」

 


 

 ん? 雲行きが少し違うか?

ヘファイストスやネレウスが人質同然というのは変わりないが・・・、

このまま先に進めるなら、

まず、ゼウスを倒してからここに戻ったほうがリスクが少ないのでは?

 「計算高くなったな、ハデスよ、

 ならば、我々がこのまま通り抜けても気にしないというわけか?」


ハデスはすぐに答えない。

怪しい笑みを浮かべたままだ・・・。

 「少し、勘違いをされている・・・。」

 「なんだと?」

 「ここを通ってよいのはポセイドン様のみ・・・。

 あとの地上の者どもは、一人残らず、

 ここで亡者の群れの餌食にしてやりましょう!!」


そしてハデスの口元は、醜く歪んでいった!

 


このハデス戦が、


タケルが「オリオン神群と」戦う最後のシーンとなります。


ゼウス戦はサルペドンが相手で確定です。

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