緒沢タケル編14 冥府の王ハデス 撃破
ぶっくま、ありがとうございます!!
あ?
・・・そう言えばそうだ・・・。
サルペドンは、仲間や住民に被害が及ぶから、「大地を揺する」能力は使わない、ということだが、
それ以外の行動は一切、封じていない。
そしてこれが大事なことだが、
仮に銃を手にしたものが、他のスサの人間なら、
クラトスの「麻痺」能力でその者の攻撃は封じられていただろう。
しかしながら、クラトス以上の「権力」にあったポセイドンには、
その能力が適応できないのだ。
この場にいる全員が、
サルペドンの真価を見落としていたのだ!
クラトスは叫ぶ。
「そ、そんな・・・卑怯な・・・!
我等を騙すとは・・・何たる低劣な・・・!」
呆れたように口を開くサルペドン。
「だから・・・
お前らが勝手に決め付けただけだろう?
それとタケル!
いつまでそこに呆けている?
言ったはずだ、
クラトスの能力は子供だましだ。
さっき、お前はクラトスの説教に惑わされたな?
・・・だが、思い出せ!
お前はそれらの苦悩を飲み込んで戦場に立ったはずだ!
ここで足を止めたら、それこそお前が命を奪ったものに対し、申し開きなどできないはずだ!
その意志を・・・貫き通せ!!」
その間、ほんの1~2秒の間隙・・・。
そしてタケルは我に返る・・・。
そうだ・・・、
こんなところで・・・
立ち止まっている場合ではない!
いつの間にかクラトスの「麻痺」は効力を失ったのか、
タケルが立ち上がろうとする。
だが・・・、
それを黙って見過ごすビアでもない。
「させるかよぉぉっ!」
今度は一切の手加減をしない!
その威力、
人間の頭蓋骨も砕くだろう、ビアの鎖がタケルを襲う!
しかしタケルの凄絶なる反射神経は、
襲い掛かるビアの鎖に対し、左腕を差し出して直撃を防ぐ!
タケルの左腕に、ビアの鎖がグルグル巻きついて、
容赦のない締め付けが彼の左腕の自由と感覚を奪う。
左腕の血行は遮られた・・・!
既にそれだけでも苦痛を伴うが、
これで十分だ、
力比べなら、オリオン神群と言えど女性の身でタケルに敵う訳もない!
そして、タケルが力任せにビアを引き倒そうとした瞬間、
ビアはマントの下に手を入れた!
「調子に乗るなぁっ!
ガキがぁっ!!」
その左腕には数本の投げナイフ!
これでタケルを切り刻む気か?
どちらが早い!?
・・・だがタケルの取った選択肢は・・・、
暴力の女神ビアの想像を絶するものだった・・・。
バチィッ!!
天叢雲剣の放電をタケル自らの体に逆流!!
そして当然その電撃は鎖を伝ってビアの肉体にっ!
ズバババババババッ!!
声にならない悲鳴が彼女の喉から・・・、
今度はカラダを硬直させたのはビア!
既に、何度も自らの電撃を体に浴びているタケルには耐性がある。
すぐに鎖を解き、一瞬だけクラトスの動きを確認すると、
首をミィナに向ける。
「・・・動けるか?
そっちのとどめは任せるぞ・・・。」
ミィナの鞭がうねる!
気持ちのいい音が足元の岩場から・・・。
そしてここ一番の笑顔が、血だらけになったミィナの表情に・・・。
「頼りになるねぇ、タケルくん!
さぁて・・・いっちょ、いきますかね?
お・ば・さ・んっ!」
ここから先の惨劇は皆様のご想像にお任せしよう。
さっきミィナが食らった攻撃の、何倍もの激しさと苛烈さを以って、
ミィナの鞭が荒れ狂ったのである。
ビアの鎖のように、一発で致命傷になることのないミィナの鞭は、
それこそ嵐のようにビアの細い体に襲いまくったのだ。
どちらが暴力の女神か分かったもんじゃない。
「ビ・・・ビアよっ!?
お、おのれ・・・、貴様ら・・・
なんと傲岸な、不遜で身の程を弁えぬ低劣な者どもよ・・・、
今に貴様らに恐ろしい神罰が下るぞ・・・、お、おい!
聞いているのか!?」
もはやどんなに言葉を並べたところで、
種が割れた今、タケルにクラトスの能力は通じない。
タケルはゆっくりと天叢雲剣を振りかぶると、
権力の神クラトスに最後の宣告を下した・・・。
「わかった・・・
お前の言うとおりだよ、クラトス・・・。
オレは大勢の命を奪ってきた・・・。
だから・・・お前の命を奪わないでおいてやる・・・、
今はな!
半死半生の電撃を浴びせて・・・
それでも生き延びられるかどうかは、神の御意志とやらに任せてみるさ!」
その言葉通り、一定の手加減をした電撃がクラトスに襲い掛かった!
こないだ翼手竜を黒焦げにした時より威力を抑えている。
前回のヘファイストスに与えたダメージも計算に入れて、
「ここまでなら即死しない」だけのエネルギーを放ったのだ。
ある意味、天叢雲剣の使用に熟練性を帯びてきた証左と言えるだろう。
クラトスの巨体が岩場に崩れこんだ。
タケルもミィナも、派手な怪我を負ってはいるが、終わってみれば十分な勝利といえるだろう。
前回のヘファイストス戦の後遺症や、今の戦いで左腕が鈍っているが、
肉弾戦とはならないなら、
・・・この上で待っているだろう冥界の神ハデスとも、連続で戦えるはず・・・。
この岩場の先に・・・。
さていよいよ、本番ハデス戦です。
ここからはおふざけ無しです。