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緒沢タケル編14 冥府の王ハデス 一触即発

クラトス「・・・ゴミのような能力て言われた・・・。」

ビア「元気出しなよ? きっといいことあるって!」



 本当に信じていいのか?


 いくらなんでも「ゴミのような能力」って言ったって・・・。

 ポセイドンの正体を明かした今となっても、

 秘密主義はあいかわらずなのか、サルペドン?


 「じゃ、じゃあ気にしなくていいってことなのか?」

サルペドンの方にしてみれば、

戦闘前に頭ごちゃごちゃ使わすより、

タケルに速攻で倒させてしまえば、何も問題ないと考えているのかもしれない。

 「奴の能力は精神に作用するということだ。

 今までお前が出会ってきたオリオン神群で、

 一番、形態が近いのはデュオニュソス、・・・にあたるだろう。

 とにかく敵を倒すことだけ考えればいい。」


 それも分かりにくいぞ?

 デュオニュソスの能力って、結局なんだったんだよ!?

 

その辺りで会話は遮られた。

クラトスとビアが、スサの前面を通り過ぎ、

街の城壁の外側を移動し始めたからだ。

岩場を登りかけたビアが、

汚いものでも見るかのような、蔑みの視線をタケル達に注ぎながら岩場に足をかける。

 「どうでもいいけどさぁ~、

 下品な貧相のやつばっかだねぇ~?

 何だい?

 乳臭い小娘までいるよ。」


一瞬の視線の交錯に火花が散る!

・・・ミィナの口元から戦闘的な笑みが・・・。


 「はん、・・・貧乳が・・・!」


 え!? い、いま、ミィナ、

 なんて・・・!?

思わずタケルの注意は二人の会話に。

勿論、そのセリフを聞き逃すビアではない!

彼女のこめかみが一瞬、ビクついた!

 「・・・小娘ぇ、

 いま・・・何か言ったかい・・・!?」


何という殺気だろうか・・・。

タケルはこの地に来て以来、未だ味わったことのない殺意の炎を感じる・・・!

 

 

今日のミィナの笑顔は「ニヒッ」ではない、

「ニッヒッヒ」だ!

得意気に用意している鞭を片手に、もう一度勝ち誇った笑顔を向ける。

 「別にぃ?

 これまでアルテミスとかデメテルとか、人間離れしたどでけぇ胸ばっかだったけど、

 あんたみたいな女性もいるんだなぁって思ってさぁ?

 あ? あんた女性で間違いないよなぁ?

 悪ぃ悪ぃ、胸の大きさで判断できなくてぇ♪」


・・・もはや、ビアのこめかみの血管は、

ビクつく、という類のものでなく、痙攣すら始まっているようだ。

ひょっとしたら、このまま血管ぶちきれて勝負がつくんじゃないか?

それにしても、ミィナ・・・。

いくら自分のほうが(やっと)大きいからって、・・・自分も女なのに・・・。

いや、女性だからこそなのか、

これから、凄まじい戦いが始まりそうな気がする!

 


 

 「フッ、フフッ、小娘ぇぇ・・・!

 覚悟はいいかぃぃっ!?

 自分の顔に口がついていた事を後悔する程、

 命がある事すらどうでもいいと思える程、

 むごたらしいぃぃ責め苦を与えてあげるよぉぉっ!?」


そんな脅し言葉に怯む彼女ではない。

両手を頭の後ろに組みながら・・・

(自然とミィナの胸がアピールされる形となるが)

とどめの一言を・・・。

 「やだやだ、更年期って、

 あたしもそういう年になったら気をつけよっと。」


バキィンッ!

ビアの足元の岩が砕け散るっ!

 「こ、小娘ぇっ!

 貴様も地上の、あの村人同様、むごたらしぃ死を与えてやるよぉっ!!」


その瞬間、

ミィナの戦闘本能に激しく火が吹いた。

 

むしろ外見上、今のビアの発言に動揺を見せたのは、

タケルやサルペドン・・・!

当のミィナは身動き一つせず、

ビアの言葉をカラダに染み渡らせていた・・・!

 お前もか・・・!

ここで怒りと憎しみの表情を顔に浮かべることは当たり前の成り行き・・・、

しかしミィナは敢えて、その感情を喉の奥に留まらせていた・・・。


 「・・・へぇ?

 そうかい?

 参考までにそっちのキモデブも一緒だったのか・・・ぁ?」


言葉の最後が震えている。

思わずタケルが振り返るが、

もうミィナの眼中にタケルはない。

彼女はその視線をクラトスにぶつけると、

その筋肉ダルマは、片割れのビアとは対照的に、大声で笑い始めた。

 


 「ンフフッ・・・!

 察しがいいな、小娘!

 私にかかれば、地上の人間など一切の抵抗も許されずに大地にひれ伏すのみだ、

 その状態で、クックック・・・。

 シルヴァヌスの呼び寄せた野獣に襲わせたり・・・、

 そうそう、この上にいるハデス様もいらっしゃった。

 あの方の能力を見ることはないだろうが、

 せめてここで我らの裁き、存分に味わうがいい!」


ミィナは視線をそのままでタケルにつぶやく。

 「タケル、

 またアンタにお願いすることになるけど・・・。」


 ふーっ・・・。

どんなに調子のいい女だろうと、そいつの心からの叫びを無視するようなタケルではない。

彼女の願いはわかっている。

殺された村人たちの恨みを晴らす・・・、

それが彼女の願い・・・。

 




ビア「貧乳言われた!!」

クラトス「あの小娘言っちゃあなんねーことを・・・。」

ビア「何かお言いかいっ!?」

クラトス「い、いや、何も!?」


いよいよ戦闘開始です。

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