表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
587/676

緒沢タケル編14 冥府の王ハデス 口上

黒犬の名前をケルベロスにしなかったのは少し訳ありです。

オルトロスに関してはあまり知識がありませんでしたが、

ケルベロスに関しては、

犬でも三つ首の化け物でもないというのが、私の認識です。


では何者かというところで・・・

いずれ地上に戻ってから、似たような名前でタケルの前に現れるかもしれません・・・。


うりぃ

「さるでもきじでもないで?」

ニコラ爺さん

「狐でも熊でもカラスでもないのう。」

麻衣

「蛇でもないニョロ。」


ヒントはスサノヲにもポセイドンにも関係深い動物です。

そしてケルベロスの名前の方なんですが、

ケル・・・シャル・・・カル・・・

ここら辺を並べると正体が見えるのではないかと、

あ、「しゃれ◯◯べ」は・・・は、「晒す」から来た別の語源という説が強いんでしたっけ。



・・・ん?

麻衣ちゃん?

なんか言葉遣いが・・・あれ?



タケルの脅しにクラトスは大声で笑い始める。

 「フッ? ふ、フハハハッハハ!!

 地上の者は冗談も言えるのか、

 まぁ、良い、

 小僧、お前がこの一団の首謀者か?

 それともポセイドンがお前の主なのか!?」


一瞬、言いよどむタケルの背後から、サルペドンが歩き始める。

 「ここにいる緒沢タケルがスサの主だ・・・!

 だが、このポセイドンに用があるというなら私が聞こう!」


ついにサルペドンが、堂々と己の正体をオリオン神群に明かす形となった。

スサの行く手を阻む者は残り僅かな筈だが、

この先、どんな展開が待つのだろう・・・。

さて、クラトスとビアは、

初めてポセイドンに相対すのか、

ここで態度に変化が現れた。

・・・まぁ、ビアは斜に構えた体勢で押し黙ってしまうが、

代わりにクラトスが雄弁に振舞う。

 

 

 「これはこれは・・・、

 本来、位からは我等など、あなた様には跪かなくてはならぬ身でございますが、

 既にあなたはオリオン神群たる地位を剥奪されている身、

 申し訳ありませんが、

 この対等なる位置で語らせてもらいますぞ?」

言葉遣いはそれでも丁寧な気がするが、

その身振りや表情は尊大以外の何者でもない。

それは目下のものに向ける視線である。


もっとも、そんな些細なことなど、サルペドンは何も気にしていない。

 「余計な気遣いは要らぬ、

 それでクラトスよ、

 お前やビアの力で私の前に立つつもりか?

 このポセイドンと並び立てるのは、お前たちの主人ゼウスだけだと理解していないというのか?」


今まで裏方にいたサルペドンの強硬なる言葉に、タケルは感心すると同時に頼もしさを覚える。

今まで自分ひとりが、戦闘面の最前線にいたのだ。

どれだけサルペドンの参戦を心強く思えるだろう。

 

さて、

クラトスは軽く頭を下げる。

まるでサルペドンの主張はもっともだとでも言うようだ。

 「いかにも・・・。

 我等とて、ポセイドン様に敵うなどと大それたことは思っておりませぬ・・・。

 ですが、

 あなたもこの状況では、我々に攻撃できないのではないですか?」


そう、ポセイドンの大地を揺する攻撃は、仲間のいる場所では使えない。

大量の犠牲者を出す危険のある地域では一切使えない能力なのだ。

だが勿論、そんな事は当の本人が理解している。

 「それで?

 私が能力を封じられていると思うのなら、

 お前たち二人で、私とその仲間たちと真っ向から戦うとでもいうのか?」

 


 「ふふふ、ポセイドン様、

 そう慌てるものではございません・・・。

 見てください、

 このメタパの門の中は、

 狭い道や、曲がりくねった道、起伏の激しい土地、

 いずれも戦いに向いた町ではありません。

 無理に戦闘を始めたら、多くの町民や建物に被害が及ぶでしょう。

 そこで、

 場所を変えたく思うのです。

 地理に疎いあなた方には、却って都合がいいはずですよ?

 それに我々を倒しさえすれば、

 次の光の女神アグレイア様の町まで一直線だ。」

 「どこで戦おうというのだ?」

 「ああ、あなた方にも見える場所ですよ?

 この門をくぐらず、あなた方から見て左側に傾斜の激しい岩場がございますな?

 そこで、このクラトスと、隣に控えるビアがお相手しましょう。

 そしてもし、私たちが敗れたならば、

 この岩場の先で、

 メタパの主、ハデス様があなた達を歓待するでしょう。」

 


なるほど、

街の外には、馬車ではけっして登れないような、ゴツゴツとした岩場がある。

石灰岩の成分が溶け出している白い渓流のすぐ傍だ。

この傾斜を登りきるだけでもかなりの体力を使いそうだが、

逆に街中と違って、罠などを設置されていることもなさそうだ。

ならばクラトスの申し出を断る理由もない。

 「了解した。

 この上にハデスも待っているのだな?

 ならば、一気に勝負を決してくれる。」

 「おっと、ポセイドン様、もう一つ。」

 「まだ何かあるのか?」

 「ハデス様はあなたと戦う意思はありません。

 これはゼウス様も同意の上です。

 あなたを討つのは、ゼウス様直々にと考えていらっしゃるのでしょう。

 ・・・あなたも、無闇やたらと能力を使おうなどとは思ってはおりますまい?」

 「それは状況次第だ、

 失うものが何もなくなれば、この力を使うのに何の躊躇いも無くなるだろう。」

 

 

 「おお、それは恐ろしい・・・。

 よろしいでしょう、

 我々は、ポセイドン様がピュロスの都にやってくる前に、

 それ以外の蝿たちを駆除せよ、と言われているだけです。

 私たちが戦うのは『地上の者たち』だけ・・・。

 そこの所もご了解いただけますな?」

 「クラトスよ、お前の主張は理解した。

 ではタケル・・・。」


ようやくタケルの出番だ。

さっきっから、会話に参加できなくてうずうずしていたのだ。

 「おう! 俺が相手するぜ!

 さっさと場所を案内しろ!」

と、強気のタケルだが、

この後、日本語で、

クラトスたちにばれないように小声でサルペドンに話しかけた。

 「ヒソヒソ) サルペドン、それでこいつらの能力は?」

 「・・・臆するな、

 他のオリオン神群に比べればゴミのような能力だ。

 気をしっかり持っていれば、脅威など何もない。」

 

次回はビアとミィナの絡みです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRoid版メリーさん幻夢バージョン
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ