緒沢タケル編14 冥府の王ハデス 「権力」と「暴力」
おお!今朝も新しくぶっくまが!
ありがとうございます!
クラトスに・・・ビアだと!?
聞き覚えのある名前にタケルの注意が向かう。
そして背後からのサルペドンの声が、その二人の正体をタケルに知らしめる。
「ヘファイストスを連れ去ったオリオン神群だ。
その名は『権力』と『暴力』を象徴する。
自らの領地テメノスを持たない、ゼウス直属の神と言えよう。」
その時、激しい衝突音が弾けるっ!
その悲鳴は階段部分の石材からか、凶悪な金属の鎖からの音か、
そのデモンストレーションに、
獣の世話係は勿論、タケルに怯えていた獣すらも狼狽し始めた。
そして調教師や世話係は、恐れおののきながら道を空ける。
いよいよだ、
ついに石の坂道を降りてきた二人の神は、
その門をくぐり、タケルたちスサの前に姿を現した・・・!
・・・でかい!
男の方は、
身の高さはタケルの身長に匹敵しそうな、190をも上回る上背だ。
カラダの肉付きもいい。
下手をするとタケルの体重を上回るだろう。
そして、やはり上半身は素肌のまま、その上に直接マントを羽織っている。
これが権力の神クラトスか・・・!
そして、もう一方、
カラダに吸い付くレザーファッションに・・・
鞭ならぬ鎖を携えて現れたのは、ベリーショートの金髪の女性・・・、
見るからに攻撃的な視線を持つビアだ!
暴力の女神というだけあって、そのプロポーションに無駄な贅肉はない。
体型的にはアテナに近いのかもしれないが、
病的なほど痩せ細って見えると、かなり印象が異なってくる。
当初、露出の激しい女性の登場に鼻をのばしかけた酒田さんも、
ここまでガリだと興醒めのようだ。
ビアはもう一度、ジャラリと鎖を地面に叩きつけると、
怯えまくっていた黒犬に向かって、視線を投げた。
「どうでもいいけどさぁ~、
なぁんでそんなとこで震えてるんだぁい、オルトロスゥ~?」
どうやら黒犬の名前はケルベロスではなかったようだ。
それは今どうでもいい話か。
ビアの鎖が、生き物のように空を切り裂くと、
その空気との摩擦音に、黒犬オルトロスは一々反応する。
唸り声とも哀願するような声とも判別付きづらいが、
今やタケルから与えられていた恐怖は無くなってしまったのか?
いや、これはタケルが一度、獣へのプレッシャーを解除しているためだろう。
既にタケルはオルトロスを敵として見ないつもりでいたからだ。
だが、眼前のオリオン神群は、
その獣をもう一度けしかけるつもりらしい。
「オルトロス!!」
今度はクラトスの怒声だ。
ビアの鎖と相まって、獣は服従するかのように大地に顎をこすりつける。
「オルトロス!
・・・貴様は何に怯えておる!?
真に貴様が怯える物は何だ!?
貴様が仕えるべき者はどこにいる?
・・・そして、貴様が牙を向ける相手はどこだ!!
さぁ、いい子だ、オルトロス・・・、
貴様はこの痛みを忘れてはいないだろう・・・!?」
そのクラトスの言葉の抑揚に合わせて、ビアは鎖の勢いを変化させる。
まるで、真の猛獣使いはこの二人だとでもいうように。
哀れにもオルトロスは、タケルとクラトス達を交互に見比べ、
自分がどうすればいいのか葛藤に揺れ始めた。
獣には酷な状況だ。
タケルにしても、彼らの言われるとおりにまた攻撃されては溜まらない。
もう一度止むを得ないが、戦闘モードに切り替える。
先ほどのような凄みを見せ付けないが、
ただ、ゆっくり・・・
一歩ずつ獣への距離を詰め始めた・・・!
仕方ないな・・・。
できれば、手なづけられているだけの動物を攻撃したくはないが、
それこそあの牙で襲ってこられてはタケルもただでは済まない。
天叢雲剣で一気に・・・。
するとどうだろう?
獣オルトロスは後足で立ったかと思うと、
まるで踊り始めるかのようにせわしなく狼狽し始め、
ついには一際大きい悲鳴をあげたかと思ったら、
口から泡を吐いてその場に卒倒してしまったのである。
本当に哀れな・・・。
良かった・・・
これで「敵」だけを攻撃できる・・・。
とは言え、あの「ビア」とか言う女性はどうするか?
タケルはふっと後ろの仲間たちの中から、一人、敵を相手するのに相応しい人物を捜し求める・・・。
いた・・・!
まるで「あたしの獲物だ」と言わんばかりに得意そうに近寄ってきた。
「ミィナ! あっちは任していいか!?」
ニヒッ!
「はいよぉ~!
相手が人間ならあたしの出番だ!」
「だが、まだオレの後ろにいろよ!?
こいつらの能力がまだわからない。
出方を待つんだ・・・!」
さて、その相手方の一人クラトスは、
敵を攻撃することもできずに痙攣しているオルトロスを、
まるで汚いものでも扱うかのように、そのぶっとい足で蹴り飛ばした。
「なんだ?
いざという時、役立たずだな?
このウドの大木めが!
おい! 明日にでも薬殺処分にしたらどうだ!?」
まあ、この犬は気絶してるし、さらに言うと体格が全く違うので、意識があったにしても痛みも感じないだろう。
背後の調教師たちは恐れ入って反論もできない。
すぐさまクラトスの言葉に従い、オルトロスを枷に繋ぎ始めた。
見かねてタケルが大声をあげる。
「おい! てめーら!
その命令は無効だ!
・・・何しろ、この男は明日には物言わぬ死体になってんだからなぁっ!」
オルトロス
「この戦いが終わると僕が仲間になるんですよね、わかります。」
うりぃのいぬ
「オルさん、・・・おいらとキャラかぶるから却下っすよ・・・。」
オル
「ええええええ、そんなぁ・・・。」