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緒沢タケル編14 冥府の王ハデス 番犬

ぶっくま、ありがとんです!!


さて、

こちらはメタパのハデス宮殿に戻ってきたヘルメス。

不機嫌な表情で、依頼を受けていたハデスの元にやってくる。

薄い口髭を蓄えたハデスは、

緩やかな笑みを浮かべ、少年神の帰還を出迎えた。

 「ふむ・・・帰ったか、ヘルメス。

 ん? つまらなそうな表情だな?」

 「だってさぁ、

 なんか・・・まとまっちゃったぜぇ?

 あのタケルとか何とかって奴、

 偉そうにポセイドンに説教かましちゃって・・・。

 オレ、何しに行ったんだか、わかんないよ、アレじゃぁ?」

 「ほう? そうか、

 では失敗に終わったのだな?」

 「争いの女神エリスでも連れてった方が確実だったかもね?

 もう、めんどっちぃけどさぁ。」

 「ふふ、まぁ、そう言うな。

 ご苦労だったな、

 それより、その・・・タケルとやらはどんな男なのだ?」

 

心底ソリが合わないとでも言うように、

ヘルメスは両手を広げてアピールする。

 「うざ過ぎるくらい、むさ苦しい奴。

 すぐ熱くなる様な単細胞、ってとこじゃないかな?」

 「そうか、熱い男なのか・・・。

 ふっふっふ、それを聞けただけで十分だよ、

 この地下世界に降りてきてから・・・、

 いや、地上でもきっと多くの殺し合いに勝ち残ってきたのだろうな?

 それでこそ・・・私の能力は最大限に効果を発揮するだろう。

 今までの戦いで死んでゆくほうが、

 遥かにマシだったと思い知らせてくれようぞ・・・。」


そしてハデスの背後には一組の男女の姿が・・・!

 「ハデス様、

 では他の雑魚たちは私めらが!!」

 「おう? クラトスにビアよ・・・!

 ポセイドンだけには気をつけよ?

 それ以外は・・・皆殺しにしてしまえ。」

 



スサの一団を乗せた馬車隊は、メタパの町の麓に辿り着いた。

しかしこれは何と言っていいのか、

一同、怪訝そうな表情を隠せない。


遠目からでも、その異様な町並みはスサ全員の目に映っていた・・・。

これまでの緑豊かな村と違い、

そこは灰色の町・・・。

鉱山に沿って作られた町並ならば当然かもしれないが、

城壁や建築物は、ほぼ切り出した巨石によって建てられている。

辺りの気温が上がっているように感じるのは、

擬似太陽のせいだけでなく、

町の中に溶鉱炉でもあるのかもしれない。


実際、隣の村パキヤに、ヘファイストスが配置されたのも、

ただ政治的理由からでというわけでもない。

この町・・・、山や辺りの丘から産出される鉱物の加工や造成において、

鍛冶の神ヘファイストスが近隣にいたほうが便利だからである。

 

もっとも・・・、

不気味な印象さえ受ける、このモノトーンの景色は、

この町の主人、ハデスの影響によるところが最も大きいのだろう。

巨石をわざわざ、細く裁断する事によって、

どっしりとしたイメージが欠如し、

こう・・・まるで、人間か動物の骨のイメージを見るものによっては感じられてしまう。

そして、

今、スサのメンバーは、ハデスの支配する町、

メタパの巨大な門の前に馬車を止めていた・・・。



 「・・・門が閉じられてんな・・・。」

 「それにしても気持ち悪い門だよな?

 鶏ガラのでっかい化け物が、門を守っているような装飾か。

 ・・・趣味悪い・・・。」

 「どうする?

 無理やりこじ開けるか?

 ていうか、門番とかはいねーのか?

 今、真昼間だろ?」


酒田とタケルの会話を他所に、

セカンドグループのクリシュナとグログロンガは別の観察をする、

 「この壁は、ずーっと、町の周りを覆っているようですな?」

 「それより・・・獣の匂いがする。

 これはなんだ?

 犬か・・・熊か?」

 

動物の匂いを嗅ぎつけたのはグログロンガ、

そしてその発見を知らせる声は、

当然、先頭のタケルたちの耳にも入ってきた。

 「獣!?

 ・・・そういや・・・この匂い、

 番犬かっ!?」


門の向こうに注意を向けると、確かに匂いのほかにも、

ジャラジャラと複数のものと思われる鎖の音や、ビッタビッタと、規則的な音も聞こえてくる。

それに・・・。


 ヴーッ ヴーッ・・・


獣の呼吸音か・・・。

猟犬か闘犬のような・・・、

いや、犬にしては声と思しき音がやけに高いところから・・・。

その呼吸音すら犬のものとも思えない。

では!?


その時、ゴゴン!という重低音が辺り一体に響き渡った。

どう考えても、眼前の門の向こうから聞こえてくるものだ。

 

緊張するタケルたちのカラダに力が入る。

 「マリアさんたちは後ろに!

 グログロンガ! 酒田さんはオレの後ろに控えていてくれ!」


後ろといっても、タケルの背後左右だ。

巨石の門に対し、タケルを頂点に三角形のような布陣で門が開けられるのを待つ。

・・・いや、タケルの後ろにサルペドンも歩み寄る。

布陣は菱形と、いうべきだろうか。


さぁ、鬼が出るか蛇が出るか、

いきなり弓矢の嵐が放たれるかもしれない。

大勢の兵が雪崩れうつか、

それとも・・・。


タケルたちは目を見張る・・・!

 やはり獣か・・・!

観音開きの石の門がゆっくりと、その奥の景色を露わにするかと思いきや、

そこにあったのは、真っ黒い体毛に覆われた、あまりにも巨大な猛犬であった。

 

巨石の門は全開となる!

そしてタケルたちの目に、その黒犬・・・いや、犬といって良いのだろうか?

あまりにも巨大なその体躯は、

もはや、犬という種の限界値を超え、

まさしくヒグマを連想させるほどの大きさだ。

獣・・・今は、そう認識するしかない。

その黒い獣は四肢をこれまた巨大な鎖で繋がれ、

その鎖それぞれにつき、この街の兵士が四人ずつ押さえつけている。

そしてこの獣、

既に四つんばいの状態で、その身の高さは大人たちの身長とほぼ同じなのだ。

立ち上がるとしたら、果たしてどれほどの大きさか。

仰々しい口輪をあてがわれている様だが、

別の調教師のような男が、その獣の喉もとの留め具を外すと、

大量の涎が滴り落ちると同時に、

凶悪な牙の並びが剥き出しとなる!

 

 

 「この街の番犬、ケルベロスといったところか・・・!」

サルペドンの解説に、

タケルは前方を睨みつけたままサルペドンに叫ぶ。

 「おいおい、サルペドン!

 こういう情報は事前に教えろっつーんだよ!」

 「バカを言うな、

 私がこの地下世界にいたのは100年以上も前なんだ、

 その時代に、こんな番犬はいなかった。」


ある意味、いつもの調子だ。

一瞬でも気を抜けば、

誰かがいきなり目の前の獣に飛び掛られかねない状況とは言え、

先ほどの諍いなど、全くなかったかのようだ。

マリアをはじめ、部隊の後方にいる者はホッと胸を撫で下ろす。

いや、だから今はそんな事で安心している状況じゃないっ!


 「あれ? ミィナさん?」

いつの間にかマリアに並んでミィナも部隊の後ろに・・・。

 「あ、あたし、

 はは、さすがにこれはパス・・・。

 猪や巨大トカゲならまだしも・・・、

 ちょっとヤバいわ・・・。」

 




ミィナ

「後は任せた!!」

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