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緒沢タケル編12 死の神タナトスと解き放たれた「魔」 タナトスの最期

残虐シーンあり。

苦手な方は、タナトスが身動きできなくなった辺りから飛ばした方がいいかも。


60,000PV達成です!!

お読みいただきありがとうございます!


タナトスのカラダに、これ以上生命エネルギーは吸収できない。


・・・彼のカラダの許容量を上回る生命エネルギーを吸いこんでしまったのだ。

胃液の逆流に耐えきれず、

タナトスはうずくまるよりも早く、胃の中の物を地面に吐き出してしまう。

限界以上に摂取した物は、食物ではなく生命エネルギーなのだが、

タナトスのカラダは、代償反応として嘔吐と脱水症状を起こしたのである。

彼の皮膚からは大量の発汗と、そして生き場を失った生命エネルギーが、

白いもやのまま、タナトスのカラダの周りを取り囲んでいる。


・・・もう、彼の攻撃全てが通じない。

恐らく、既に「男」のカラダからは、常人の20倍の生命力を吸い出した筈だ。

なのに何故、今もなおケロリとしているのだ!?

喘ぎながらも、辛うじてタナトスは顔をあげる。

だが、もう彼には如何なる攻撃手段も残されてはいない。

絶望・・・恐怖・・・、それらの感情がタナトスの心を染めていくと、

ついに「男」が「飽きたぞ・・・」とでも言うように、

自ら行動を起こしたのである・・・。


タナトスはまたも目を疑う・・・。

「男」は先ほど、タナトスがそうしたように、

自分の右手を前方に突き出す。

 


そして男の掌からは、いくつもの白いガスの塊が・・・!

 「な!?

 ま、まさかそれはぁ!?」


白いガスの塊は、

たちまち動けないタナトスのカラダを包み込んだっ!

 抜かれる・・・

 吸い取られる・・・!


これまで溜めこんだ生命エネルギーが、

強制的にタナトスのカラダから吸い出され、

今度は「男」のカラダに吸収されてゆく!!

 「な・・・ば、ばかラ・・・?

 こ、こんなこロがあるはずが・・・、

 ち、違う・・・!

 貴様はポセイドンじゃない・・・!

 私しか使えない筈の力を・・・貴様が・・・き、さ、まが・・・ 」


みるみるうちにタナトスのカラダから血の気が失せてゆき、

あれほど瑞々しかった肌が、今では老人のように・・・。

そして、

もはやタナトスは、

反撃しようという気力すらも、粉々に打ち砕かれてしまったのだ・・・。

 


もう、タナトスには何も残っていない・・・。

体力も、攻撃能力も・・・、

そして命の灯火もあとわずか・・・。


辛うじて、せめて全てを見届けようと、

視線を「男」に向けてはいるが、もう何もできやしない・・・。


一方、鬼人の形相を備えた「男」は、ここに至るまで一言の言葉も発してはいない。

言語能力はあるのか?

それとも記憶でも失っているのだろうか?

その黄金色きんいろの瞳の奥で何を考えているのだろう?


目の前のタナトスから、必要以上の生命力を吸い取った「男」は、

虫の息となったタナトスを見下ろすと、

しばらくしてから・・・自分の口元を釣り上げた・・・。

そしてその指先をタナトスに向ける。


 「・・・あ、あ・・・?」

タナトスのカラダが異変を・・・。

いや、身動き一つできなくなったかと思うと、

自分のカラダが、視えない巨大な何かで掴まれたような錯覚に陥った!

そしてその感覚は間違いではない!

男が指先を徐々に角度を上げていくとともに、

タナトスのカラダが勝手に宙に浮きあがっていく・・・!

 


 「ひ・・・ひ!?」

眼前の男はけたたましく笑いながら、

ゆっくりと上昇してゆくタナトスを見上げるに至る。


 「な、な・・・何をするフ るもりラ・・・ ?」


男は何も答えず笑うのみ・・・。

そして、今や立てられた状態の一本の指を、

悪戯っぽく、軽く指先を旋回した・・・。

 「あ・・・助げ・・・!

 あっ、あっ! ヴァッ・・・ 」


タナトスの首が徐々に曲がり始める・・・。

どんなに自分の首の動きを拒否しようにも、その力は余りにも強大・・・!

もはやその力は、首の可動域の限界を超え・・・


 ボギィッ!!

 ・・・ボギギッ ギィッ・・・!


耳を覆いたくなるような鈍い音が続いた!

その首は、

一回転、二回転・・・いや、何度回転したのか、

もはやタナトスの首は異様に伸び切り、気味悪くねじれている・・・。

・・・最後に「男」は指先を下に振り下ろし、

まさしく糸が切れたように、タナトスは落下する。


もう二度と動かない・・・。

これが、

死を司る神と呼ばれたタナトスの、醜く哀れな死に様である・・・。

 



さて、

スサ本隊ではマリアの感知能力がようやく使用可能となっていた。

「運命の女神」モイライ程の精度があるわけでもないが、

彼女にしても、

先ほどの嵐のような精神エネルギーの爆風を、

まともに受けるわけにはいかなかったのである。

とは言っても、今現在感知できるものは何もない。

タケルが天叢雲剣を使用した時ぐらいはわかるかもと思ったが、

その使用痕跡すら感知することはできない。

・・・何とか感じるのは、恐らくタナトスとやらの残留思念だろうか・・・?

今もその人物が移動していなければ、

タナトスの位置の方角はわかるが、

今はタケルをはじめ、見失った仲間を探すのが先決だし、

そのタナトスから離れることが目的なのだ。

一度、マリアは能力をストップさせ、サルペドンの判断を仰ぐ。

 「・・・どうしましょう、

 タケルさんたちの居場所は不明です・・・。」

  

 「うむ、

 ・・・先ほどあれだけの地震が起きた後で、

 まともに戦っているとも考えづらいな・・・。

 どっちみち日本語で無線を使えば、オリオン神群には内容はわかるまい。

 それぞれ、無線をフルに使って散り散りになった仲間を探すように言え。

 周りにオリオン神群の兵がいないようなら、大声で直接呼びかけても構わん。」


サルペドンは、自分でも軽率な指示だったかもとは思った。

だが、彼自身まともな判断力を残していなかったのかもしれない。


 先ほどの巨大な地震は、紛れもなくポセイドンの能力・・・。

 だが、あの力は自分のそれをはるかに上回る。

 恐らく歴代のポセイドンにしても、

 あれだけのパワーを有する者などいないはずだ。

 この地底世界ピュロスに、

 現在、それだけのパワーを持つ者などいるのだろうか?

 過去の自分が治めていたパキヤ村は比較的近いはずだが、

 そこに新たなポセイドンが生まれたとも考えづらい。

 どっちにしてもオリオン神群の限界を超えている。

 ・・・ならば、この地でそんなマネができるとしたら・・・。


 まさか、タケルが・・・?

 




果たしてタケルはどうなってしまうのか?

次回、

一つの結末。


伏線は既に張っていましたからね?

「崖」とか・・・。

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