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緒沢タケル編12 死の神タナトスと解き放たれた「魔」 解き放たれた「魔」

学生時代にノートに落書きしたイラストあります。

デジカメで撮って、瞳に色をいれました。


・・・その凄まじい精神エネルギーの震源地、

タナトスと「その男」が向かい合うその地では、

新たな局面が生まれようとしていた。

完全に立ち上がったその男は、

輝く瞳を以て、タナトスの姿を認識するまでに至っていたのだ・・・。


身長2メートル?

いや、今やその姿は、さらに巨大化を遂げているのではないだろうか?

その異様さに圧倒された者の眼には、現実よりも更に巨大に見えることだろう。

不自然なほど長い四肢は、今もなお痙攣を続け、

まるで、筋肉や骨格すらも変貌しているかのようだ。

その指先は人間には不自然な曲がり方になり、

鋭い爪は、もはや肉食生物のそれだ!

さらに肉眼では捉える事の出来ない噴き出すオーラのせいか、

「彼」の長い黒髪が逆立ち、天に向かって揺らめき始める。


そしてタナトスは慄然とする・・・。

「緒沢タケル」と呼ばれていた男の顔が・・・、

先ほどまでとは別人のように激しく変貌を遂げているのを見て!

 

笑っている・・・

歪んでいる・・・!

その口元はいやらしく引きつれ、まるで般若のように狂おしい笑みを浮かべている。

 いつからこの男は牙を生やしていた!?


タケルの額に、

大きな痣のようなほくろがあったのを覚えているだろうか?

今、この時、

吹きあがった前髪の下からは、

その痣が、得体の知れない目のような器官へと変化を生じさせている。

そしてその下の両眼・・・。


タナトスは理解した・・・。

これはさっきまでの男じゃない・・・、

いや、それどころか人間ですらないかもしれない・・・!

全く・・・全く違う何らかの生物だ!

ヤツの瞳が全てを物語る・・・。


その瞳が・・・輝く黄金色の光を放ち始めたから。

 


挿絵(By みてみん)


バリバリバリ・・・!


突然、「男」の右腕に握られていた剣からも変化が生じる。

白い霧の世界に再び青白い光が迸り始めた。

・・・だが、先ほどと違う事は、

その放電が、持ち主の意志によって生まれたものではなく、

むしろ器物の拒否反応としての現象である事だ。

天叢雲剣が「男」を持ち主と認めず、

蓄積していた霊的エネルギーを逆流させて抵抗を始めたのだ!

「緒沢タケル」だった筈の男は、自らの右腕に黄金色の目を落とす。

放電はどんどん激しくなり、

ついには男のカラダを蝕み、

右腕からは肉を焦がすような匂いと、白い蒸気が立ちあがり始める。


タナトスは何もできず、呆気に取られるばかりだ。

たちまち「男」は電撃の大群に蹂躙されていくが、

当の本人は涼しい顔のまま・・・、

いや、笑っているのではないだろうか!?

その内「彼」は右腕をかざすと、

まるで獣の様な雄たけびを上げた・・・!

耳を塞ぎたくなるような咆哮が地底世界を満たす。

 


・・・放電はピタリと止んだ・・・。

「男」は自力で天叢雲剣を抑え込んだとでも言うのだろうか・・・。

しばらく「男」はニヤついたまま剣を見ていたが、

やがて興味がなくなると、その辺の地面に無造作に放り投げた。

・・・そして「男」の視線はタナトスに・・・。


いつの間にか地震は止んでいた・・・。

巨大な精神波動の嵐も今は落ち着いている・・・。

一体、今、何がこの場に起きているのか?

さっぱり事態が掴めないタナトスにも、分かっている事が一つだけ・・・。

それは今、目の前にいる男が、

自分の命を脅かす存在であると言う事・・・。

ならば、

今度こそ息の根を止めねばならない!

この男が何者か、そんなものはどうでもいい!

この「男」は危険だ!

自分にとってもオリオン神群にとっても!


 

 「・・・私は死を司るタナトスだぞ!

 貴様が何者であろうと、その命を喰らい尽してやる!」

タナトスはその右腕を前方に突き出した!

だが、その手に集まるエネルギーは先ほどの物と違う。

「男」の未知の脅威を警戒した為に、タナトスは次なる能力を使う。

それは自らが吸い取った生命エネルギーを、

圧縮させ前方の敵に向かって撃ち出す能力だ!

短い高周波数音が聞こえたかと思うと、

そのタナトスの拡がる掌には無数の光る白い塊が・・・!

そしてそのまま「男」に向って何本もの光が発射される!


だが、「男」はまるで、蠅でも払うかの如く、

殆ど姿勢を変えず、右肘から先の動きだけで、全てのエネルギー弾を弾いてゆく。

・・・自分の力を確かめているのだろうか・・・。

 器が違い過ぎる・・・。

この地底世界を、全て覆い尽すような精神波動を感じた時から、

予測できなかったわけではない。

自分より、

いや、自分の知る他の神々全てが束になっても勝ち目はないだろう。

だが、だからこそ、

この忌まわしい形相を浮かべた男はここで倒さねばならない。

先程から「男」の行動は、

キョロキョロ周りを見回すか、自分の身を守ろうとしているだけだ。

 


 

ならばまだ勝機はある!

 「いっけぇぇぇっ!!」

今度こそ「男」の命を吸い尽すべく、

タナトスは今一度、白いガスを発生させた。

たちまち、そのガスはタケルを取り囲み、容赦なく彼の生命エネルギーを吸い始める!

・・・そして今度は距離が近すぎる!

白い気体は直接、「男」とタナトスを繋ぎ、

さながら「オンライン」状態で、「男」の生命力を吸い上げ始めた!

痛みも苦しみも・・・身の危険すら感じないのか、

「男」は命を吸われると言う行為に、防御どころか全く反撃するそぶりも見せない。

ただ興味深そうに、自分の力が流れてゆくのを見ているだけだ。

一方タナトスのカラダには、

恐ろしいまでの生命エネルギーが注ぎ込まれてゆく。

 「な・・・なんと膨大なパワーだ!

 い、いったい、今までこの男のどこにこれだけのパワーが隠されていたのか!?

 だが、どんな化け物とて生命力を抜き続けられれば・・・うぷっ!?」


突然、タナトスは吐き気をもよおした。

限界だ・・・。

100年以上、オリオン神群の「死の神」として君臨していたタナトスにも、

それは未体験の現象。

 


次回、残酷シーンあります。

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