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緒沢タケル編11 黒衣のデメテルと純潔のアテナ デメテル登場

ぶっくまありがとんです!!



翌日彼らは行軍を開始した。

既に地形はなだらかな草原を呈し始め、

視界も開けている。

移動はもはや苦にならない。

目の良いものは、遠くに人工の建造物をちらほらと発見し始めていた。

恐らくは村の外にある東屋のようなものだろう。

今は人の姿が見えないが、もうデメテルのテメノスが近い事は誰の目にも明らかだ。

斥候と合流し、今朝の村の様子を確認する。

やはり、デュオニュソスの村での騒ぎがここにも伝わっているようで、

この村には昨夜から緊張感が漂っているという。

スサの到着を待って、

村の支配者・黒衣のデメテルが直々に出向くことになるらしい・・・。

悪い方向に向かわねば良いが・・・。

 

そしてついに、

数々の建造物が彼らの視界に入ると、

ちょうど時を同じくして、

村の入り口と思しき門の外に、

大勢の人間たちが慌ただしく配置され始めたのだ・・・!

彼らは弓矢や槍を構えている・・・。

止む無く、スサの兵たちも、

いつでも戦いに移れるよう心構えだけは持ちつつ、

代表者タケル・・・またはサルペドンの指令に待機する。


タケルは後ろの部隊を制止させ、

一度サルペドンと合図した。

まずは二人で、村の入口へと向かう。


すると、村を守護していた男たちの群れが真っ二つに割れ、

その奥からは数人の男たちが担ぐ輿のようなものが、ゆっくりと村の奥からやってきたのだ・・・。

輿の上には、大きな物体が・・・


 あ? あ?

 あれは・・・人間・・・女性?


その視界の中にいるどの人間よりも大きい・・・

正確には横幅の大きい、黒い衣を纏った女性・・・、

すると・・・あれが・・・

この村の主・・・地母神デメテル!?

 

かつて、巨ny・・・いや、

狩猟の女神アルテミスを初めて遭遇した時のタケル達の反応を覚えているだろうか?

そう・・・、

ここでもタケル達はそんな反応を・・・。


 でけぇぇぇぇぇっ!!


その驚愕は、地底世界最初のオリオン神群女性アルテミスを見た時と似ていて・・・

いや、似ていて非なる反応か・・・。


確かにでかい、

その巨大な胸はアルテミスと比べても遜色がないかもしれない。

しかし爆乳と言うにはやや語弊がある。

何故なら、目立つその「大きさ」とは胸よりもむしろウェスト・・・。

ていうか、もう全部。

バストの大きいアザラシでもそこに存在するかのように、

圧倒的な巨体を持つ婦人が、

その豪勢な輿の上にドカンと鎮座していたのである。

 

 ちょっと待て・・・、

 今は彼女のプロポーションなんてどうでもいい・・・!


タケルは驚く心を一時、棚の上に置いといて、

まずは我に返って、その黒衣の女神の元へ近づく決心をする。

 「サルペドン、行こう・・・。」


サルペドンはタケルの声に、

数秒、間を置いてから静かにその足を踏み出した。

その顔には決意が隠れている。

 「タケル、お前もまだ言葉は完全ではないだろう?

 ここも挨拶は私がしきるが・・・いいか?」

 「ああ、頼むよ・・・。」


先頭を歩くタケル達の後を、距離を空けて後続が連なる。

何時如何なるタイミングで戦闘が始まっても対処できるように・・・。

後続部隊には、まだデメテルの容姿ははっきりとは映らないが、

既にタケルは、その女性デメテルの姿がはっきりと分かる位置にいた。


 顔は・・・意外と綺麗だ・・・。

 っていうか、色っぽくも見える。


あの巨体から判断するに、頬もそれなりの肉は付いている筈だが、

軽くウェーブをかけた横髪がその頬を隠している。

付けまつ毛だろうか、

かなりの長さがまなこを覆い、どこか病的な光を瞳にたたえている・・・。

 


黒衣のデメテルという通り名にふさわしく、

巨体を漆黒の衣装で覆い、額には細い冠のようなものを戴くその姿、

真珠の光沢を備えた黒い前髪は、眉の所で綺麗にカットされており、

イメージ的には、

ギリシア神話の女神と言うより、エジプト神話の登場人物に見えなくもない。

そして漆黒のドレスからは、白魚のような手足が露出している。


いや、ほんとに顔立ちだけ見たら、

絶世の美女と言ってもおかしくはない・・・のだが・・・。


 「止まりゃあ!」

力強く張りのある声がその空間に響いた!

・・・オペラ歌手でもやらせたら、なかなかの美声を発揮してくれるかもしれない。

これがデメテルの声か。

その声でタケルとサルペドンは足を止めたが、

続いてデメテルはそのままの姿勢で、

その・・・白魚のような腕をあげ・・・、

白く美しく、

・・・太い指先をビシッ! とタケル達に向けた。

 「そなた達が、我が同胞デュオニュソスを殺害した事は既に聞き及んでいる。

 この実り豊かな穀物の村にも、血の雨を降らすつもりであるのか?

 答えよ、地上の者たちよ!」

 

やはり、既にこの女神の所まで情報は行き渡っている。

友好的にこの村を過ぎる事はできないのだろうか、

せめて迂回ルートだけでも発見しないと・・・。

タケルは半分諦めモードのつもりでいたが、

サルペドンがタケルの眼前に立ち、デメテルと交渉を始める。

 「大地の実りもたらす黒衣のデメテルよ、

 我々は戦意ある者とだけ戦う。

 平和を願う相手と矛を交えるつもりはない。

 デュオニュソスを殺害してしまったことは事実だが、

 あれは不可抗力の事故のようなものだ。

 その証拠に村人には一切危害を加えていない。

 どうか、我らに道を開けてもらえないだろうか?」


だが、

初対面の異邦人の一団の言葉を、いったい誰が信じられるというのか、

デメテルは呆れ顔で顎を上げた。

 


異色キャラにしてしまいました。

明日の更新では、彼女の性格も分かるかと思います。


そして次回、デメテルがサルペドンの正体に気付く!!

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