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緒沢タケル編10 酩酊のデュオニュソス マリアの反撃

ぶっくまありがとんです!!


 じゃあ、結局デュオニュソスに何を言っても無意味ってことじゃないのか?


もはや何の手も打てないタケルは再びマリアに視線を振る。

マリアの方は、タケルの事などもはやお構いなしに、

デュオニュソスに最後の確認をした。

 「・・・ではデュオニュソスさん、

 これより、私達の仲間を帰らせますが、

 止めたり邪魔をしたりはしない、と言うことでよろしいのですね?」

 「はぁぁい、一緒に騒げる方々がいなくなるのは淋しいですがぁ、

 仕方ないのですよねぇ~?」


 白々しい・・・!

喉まで出かかっている言葉だが、マリアはそれを抑え、

ミィナや酒田の近くまで歩いて行く。

 「みなさん、あなたがたにも確認します。

 酒田さん、あなた達はどうして騎士団と戦ったの?

 あの時のご自分のは命を賭けていたはずですよね?

 クリシュナさん、あなたは、亡き先々代緒沢家当主や、美香さんにいまのあなたの姿を見せられるの?

 グログロンガ、あなたの故郷がどうなっているのか忘れてしまったの?

 あなたの家族やご先祖様など忘れてしまったのかしら?」


それらマリアの厳しい問いかけ・・・、

だがその言葉は本当に彼らの耳に届いているのだろうか?

 

酒田はムキになって反論する。

その口調はすでに尋常じゃない・・・。

まるで麻薬でもやってるのか、精神に変調をきたしているのか・・・。

 「忘れちゃあないさっ!

 オレ達はオレ達の信じるモノの為に戦った!

 だがな、

 ここは戦場じゃないっ!

 闘う相手もいないっ、

 オレ達が正気を失っている?

 ちげーよ!

 いいかっ!?

 人間寒い所に行ったら厚着をする、

 反対に暖かい南の国に行って、服を重ねるバカはいない!

 それだけの事だ!

 だいたいな、タケルもマリアさんもオレ達をなんだと思ってるんだぁっ!

 オレ達が操られているっ!?

 そーじゃねーっ!!

 オレ達は真実にたどり着こうとしているんだっ!

 自分達の意志でなっ!

 ここには平和と自由があるっ!

 デュオニュソス様はその象徴でしかねぇっ!

 あとはオレ達次第なんだ、

 邪魔すんじゃねーやっ!!」

 

ありえない・・・

酒田がマリアに向かってこんな口調をするなんて・・・。

確かに理屈はある程度、筋が通っている。

酒田なりにしっかりと自分の考えは持っているようだ。

しかしその異常さはタケルにもわかった。

 平和?

 あんな攻撃的な口調で?

確か、こないだのデュオニュソスの話によれば、

アンテステリア祭までに、その人間の殺伐とした精神を洗い流すとか何とかいってたはずだが・・・、

それは嘘なのだろうか?


マリアはそれでも引き下がらない。

 「待って!

 あなた達は分かっているの!?

 理性のタガを外して、本能のみに身を委ねると言う事がどういう事か・・・。

 ミィナさん・・・!

 ここの村人たちの家族構成に気づいてましたか!?」


いきなり話をふられたミィナは、何の事だかわからないようである。

 「は、はぁ? 知らねーよ、

 何が言いたいんだよ!?」

 

マリアの語る推測は、

ちょっとでも考えれば誰にでも思いつきそうな、

それでいて、今この場においては誰にとっても驚くべき内容であった。

 「デュオニュソスのゲルの中には、夜になっても大勢の子どもがいました。

 帰る家はあっても、その家族の結びつきは薄いようです。

 ・・・何故か、

 それは彼らに母親は居ても、父親が不明確だからです。

 私の言うことが分かりますか!?」


まだ男性経験の少ない(?)ミィナは、ただきょとんとするばかりだ。

そこでマリアはデュオニュソスに話を振る。

 「デュオニュソスさん、

 正直に答えていただけるのですよね?

 アンテステリア祭になれば、参加者は全ての理性をなくし、本能で行動する・・・。

 男女の行為も然り!

 1対1になる保証すらないのじゃありませんか!?

 生まれてくる子供は、父親が誰なのかさえわからない!

 そんなケースだってあるのでしょう!?」

 

今の指摘は、ミィナよりもタケルの方が衝撃を覚えたようだ。

いや、ミィナでさえ、

話の内容は分からないでもないのだが、

理性が薄くなってる今では、話を理解するのに少しテンポが遅れただけなのかもしれない。


そしてデュオニュソスは確かに正直なのだろう、

聞かれたことには、何の躊躇いもなく答える。

 「ああ、そう言う事もあるでしょうな?

 村人たちは毎年の事ですからな、

 事前に、なるべく意中の者同士はくっつこうとするのですけどね、

 やはり男女の中はそれで割り切れるモノでもないのでね?

 いつのまにやら、一人の女性に数人がかりで襲いかかる事もあるかもしれません、

 勿論、女性の方も、一人とは限りませんよ!

 何が起こるかわからないから、面白いのですよ!」


そしてアンテステリア祭の正体に気づいたマリアは更に・・・。

 


 「毎年、祭りは行われるのですよね?

 ・・・なら、年毎に相手が変わる可能性も・・・。」

 「そうですなぁ、

 例えば、あなた方の給仕を申しつけていたイニヤと言う者には、

 10人ほど子供がいますが、その子供の父親は何人いるのでしょうかねぇ?

 ハハハ、私にもわかりませんっ♪」


さすがにそこまで言われて、

まだ幾分、理性の残っているミィナは怖気づく。

そこを見計らって、無言のタケルがミィナの腕をゆっくり掴んだ。

まるで、お前をそっちに行かさない、

とでも主張するかのように・・・。


ミィナは、驚いたようにタケルの顔を見上げるが、

その力に抗う事もなく、ゆっくりタケルに引っ張られる・・・。

だが、それを指をくわえて見ている男どもではない。

秘かにミィナを狙っていた男たち・・・、

村の青年ウェテリウス、その他、

さらにグログロンガや一般のスサのメンバーすら、

ミィナを奪い返そうとタケルににじり寄ってきた!

その眼には狂気の光を帯びて・・・。

 


次回最終局面!

長かった章も終わり間近です。


デュオニュソスによる最後の追い込み!!

彼の計画は間もなく・・・

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