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緒沢タケル編10 酩酊のデュオニュソス 村に貢献するタケル達

ぶっくまありがとうございます!

総合評価100ptになりました!!


さて、一気に話の流れが変わってしまったが、見ず知らずの他人と殺し合いをするよりかは遥かに平和で健康的だ。

スサのメンツは男性中心なので、体力仕事を請け負う形になる。

何でも、デュオニュソスのテメノスの周りには、幾つか林や岩場があり、

野生の動物がいろいろと出没するらしい。

そこでターゲットとなるのが、時として村の生産物を荒らしてゆく猪の存在だ。

この野生の猪は、

村の人間に「めくらいのしし」と呼ばれている。

表現方法が気になる方もいるかもしれないので、

ここからはブラインド猪とでも呼んでおこうか?


元々、地底世界に光などない・・・。

故に、この地で住む動物の進化の方向性は、

暗視に優れるタイプか、又は逆に視力を退化させるタイプどちらかに偏らざるを得ない。

 

この猪は、嗅覚を発達させる代わりに、視力を減退させ、

その頭部の目に位置するところには窪みはあるものの、薄い皮膚がその上を覆い、

眼球に値する物は一見して分からない。

オリオン神群が擬似太陽を創造し、その生態系にも多くの影響を与えつつあるが、

いまだ3000~4000年の過渡期にあっては、劇的な変化を遂げてはいない。

恐らく地上の猪とは生態も異なるのかもしれないが、直ちに狩猟班が編成された。


・・・ここでミィナが起きてきた。

 「か、狩りと言えばアタシだろぅ・・・! ぅぷっ・・・!」


 大丈夫か、ホントに・・・?

まぁ、汗を流せばアルコールは抜けるだろうが。

タケルも当然、狩猟チームに入ろうとしていたのだが、

グログロンガにきっぱり断られた。

 「・・・都会育ちのタケルに狩りは向いてない。」


悪気はないのだが、グログロンガの言葉は直球だ。

狩猟チームは「そういった経験」の豊富な者を中心とされたのだ。

 ちくしょう、

 ・・・やってみたかったのに・・・。

 

ではタケルの方はどうだろうか?

主に体力や力自慢の者は土木チームだ。

デュオニュソスの村では、

ほとんどの人間が、酒造りか農業に携わる仕事についている。

勿論、他の人間もいるが、多くは外部の村との交易に頼っている部分が多いので、

いわゆる工事関係の専門が少ないのである。

そこで体力の有り余っているスサ達に目をつけたのだ。

・・・そして現在、この村で作業が進められているのは、

村の端にある集落近くに、井戸を掘ることである。

地上の工作機械があるわけもないが、

十数人の力自慢の加入は、村の工事の進行に多大な貢献を及ぼす。

と、いうわけで、タケルや酒田さんはこっちのチームに回されたのである。

 


なお、フリーター時代、いくつか体力任せの仕事を経験したタケルだが、

見栄っ張りな部分があるので、

カラダが思いっきり汚れたり、汗臭くなりそうな仕事は敬遠していた。

本格的な工事の仕事は初めてである。

まぁ、機械油まみれと言うわけでもないので、これはこれで新鮮か。

そろそろ、互いの言葉も、名前や単語くらいは分かるようになってはきているし、

昨夜の飲み会である程度は打ち解け始めている。

 やってやろーじゃあ、あーりませんかぁ!!


初老の筋肉質の現場監督の指示の下、

タケルは他の「労働者」の3倍は働いて見せる。

若さ・体力ともに健康体だ。

 組織のトップが率先して働かないとな!


結局、井戸の方は一日二日で出来上がるモノでもないが、

予想以上のピッチで作業がはかどったらしく、現場監督大喜び!

ジェスチャーで、

この後、飲んでけ、とタケル達を誘う。

 また、今日もか!?

 


そして、夕方前には狩猟チームも帰ってきた。

こちらは道案内の地元の青年数人との混成チーム。

何と、二頭ものブラインド猪を担いでの凱旋である!

男どもに猪を担がせ、優雅に鞭を振り回しつつのミィナが先頭だ。


 「おおおお、でっけぇの捕まえたなぁ?

 これがブラインド猪?

 うっわ、目玉ねーじゃん!」

驚嘆するタケルにミィナは上から目線で自慢する。

 「ほーっほっほっほ!

 まぁ、アタシにかかればこんなカンジ?

 感謝しろよー、タケル?

 アタシがいなきゃ、ご馳走も食えないんだからさー?」

 「えっ、ちょっと待て、今晩これ食うのか?

 村の人たちの備蓄食材になるんじゃないのか?」

 「だからさー、一頭、そっちにして、

 一頭今晩、またみんなで振る舞えばいいじゃねーかよ、

 とりあえず、デュオニュソスのおっさんに報告しようぜ~♪」


しばらく二の句が出ないタケルを他所に、

その後、グログロンガが珍しく微笑を浮かべて通り過ぎる。

 「・・・まぁ、言うほど楽な狩りじゃなかったが、

 確かに彼女は筋がいい。

 優秀なハンターだ・・・。」

 

 「はぁ~、グログロンガが人を褒めるなんて滅多にないもんなぁ~、

 あ~、やっぱオレもそっちのチームやってみたかった~。」


そして報告を受ける万年酔っぱらい男、デュオニュソス。

両方のチームの監督者から結果を聞いて、またもや上機嫌で顔をほころばせている。

 「素晴らしすぎるぅぅ!

 今夜もご馳走ぉぉ!!

 ええ、ええ!

 一頭は今日中に食べきってしまいましょう!

 もう一頭も、この村の少し先に洞窟を利用した天然の冷蔵庫がありますので、

 保存の方も大丈夫かと。

 いや、燻製肉でもこしらえましょうかね!?」


 やっぱり今夜も騒ぎになるのか・・・?

どうやら、今夜は村を挙げての宴と言うより、

気に入った者同士や、それぞれの有力者が個別に宴会を催すとかぬかしやがった。

だが、これ以上、世話になるのもいい加減、厚かまし過ぎるので、

今朝みたいに二日酔い続出にならないよう、

タケルは全員に飲み過ぎんなよ、と強く言い含めておいた。

 

タケルは「宴ではない」という前提で、

今晩もデュオニュソスと夕食を共にする。

時々、名前を聞く「神の奴隷」という職分の者もその席には同席している。

身分が高いんだか、低いんだかよく分からないが、

いかなる役職であろうと、このデュオニュソスの村では、あまりそんな小さい事にはこだわらないらしい。

さすがに三日目ともなると、いろいろな疑問をぶつけあったり、

お互いに生じている誤解を解きあったり、様々な知識を教え合ったりと、

ますます気心が知れてくる。

さすがに今晩は夕飯を早めに切り上げ、

時間を持て余すと、

同席していた「神の女奴隷」の息子と思しき子供が挨拶にやってきた。

母親の方は、宴の時、給仕してくれていた女性でイニヤと呼ばれていた。

他にも広いデュオニュソスのゲルの中には、何人かの子供たちが遊んでいる。


 「デュオニュソスさん、彼らはあなたの子供?」

あまりよくは知らないが、

タケルのイメージでは、ギリシア神話の世界は一夫多妻っぽいカンジだ。

お妾さんが何人かいたとしても驚くにはあたらない。

ただ、その子供たちはデュオニュソスとは一切関係ないらしい。

 

 「ああ、私のこのゲルには、村の子供達の立ち入りは禁じてませんので、みんな遊びに来るのですよ。

 掟では、一定の年齢までアルコールはご法度だが・・・、

 まぁ、たまに親の目を盗むのも・・・ね。」

なるほど、何人かは顔の赤い奴もいる。

タケルも興味が出てきたので、

彼らの輪の中に顔をのぞかせてみると、

白と黒の石を並べて卓上ゲームをしている者もいる。

 囲碁? オセロ?

まぁ、それに類するゲームだろう。

時間があるので試しに参加させてもらった。

考えてみれば、見た目は彼らは子供だが、

ヘルメスぐらいの年齢だとしたら、タケルより年上かもしれない。

ルールはマリアさんが通訳して教えてもらって、

今晩も楽しいひと時を過ごした・・・。

なお、タケルはこのゲームに負けた。

最初なので負けたのは悔しくない。

でも・・・明日はリベンジできるだろうか?

おっと、いや、明日はこの地を・・・。 

 

次回、スサのメンバーたちに変化が・・・。

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