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緒沢タケル編9 森の神シルヴァヌス 霞たなびく森

酒田のおっさん

「・・・これなんだけどよ。」

デン

「・・・うおおおおおっ!

こんなどアップのポーズよく撮れたな!?」

クリシュナのおっさん

「これは・・・けしからん(胸)ですな。」

グログロンガ

「おまえたち・・・よくもまあ戦いの最中にそんなもの・・・。」


酒田のおっさん

「お? そういう割にグログロンガ興味津々じゃねーの!」

グログロンガ

「い、いや! そんな事はない!!」(目が泳いでる)


マリア

「皆さん、何を見てらっしゃるんですか(殺)?」

一同

「「「「な、なんでもないですっ!!」」」」

マリア

「・・・はぁ、やれやれ、

あれ? タケルさん、そちらにいらっしゃったんですか?

さすがにあんな下卑た集まりには顔出したりしませんよね・・・?」


タケル

「・・・は、はい、あ、当たり前じゃないですかあっ!!」

(良かった・・・あと少しタイミングずれたら、あの中に混ざるところだった・・・)


マリア

「サルペドン、こちら没収してきましたよ?」

サルペドン

「・・・手間かけたな、マリア・・・

ん? これは?」

マリア

「なんですか、サルペドンまで・・・。

あなたもこういうのが好みなんですか(滅)?」

サルペドン

「い、いや、そうでなく、

このアルテミスの表情・・・目線とか・・・なんかノリノリで写ってないか?」

マリア

「・・・そういえば・・・。」



地底世界を旅するスサの一団は、

狩猟の女神アルテミスの神領地テメノスを越え、

新たなエリアへ向けてと移動を始めていた。

ミィナをはじめ、数人が負傷している為に、あまり急いで進んでいるわけでもない。

何人かの斥候を放って、慎重に歩みを続けている。


時折、道の分かれ道などのようなものがあると、

ちょうど、大きな肉食獣の骨か何かの標識のようなものが見受けられる。

これが、標の神ヘルメスが残した標識なのだろうか。

地面にブッ刺さっているそれらは、簡素な組み立てを施されており、

恐らくミケーネ文字とやらで表記されているようである。

ちなみに解読はサルペドンしかできない。

当然、先頭のタケルはサルペドンの到着を待って聞くことになる。

 「サルペドン、今度はなんて書いてあるんだ?」

 「ふむ、・・・あと10キロ程で、

 森の神シルヴァヌスのテメノスだそうだ。」

 

 「森の神? シルヴァヌス?

 聞きおぼえないなぁ、あんま有名な神じゃない?」

 「そうだな、どちらかというとマイナーな地方神だ。

 だが、油断はするな、知名度と危険度は全く違うからな。」

 「ああ、わかってるよ・・・。」


アルテミスのテメノスを過ぎた頃から、

周りの景色に異変が生じていた。

異変と言っても慌てて対処するようなものでもない。

気温が幾分下がって、

オレンジ色を基調としていた周りの風景が白みはじめていたのである。


 「霞がかかっているのかな・・・?」

独り言めいたタケルの言葉に、科学者肌のデン・テスラが反応する。

 「赤みがなくなっているってことは、

 溶岩流も存在しないってことだろう。

 単純に冷たい空気との気温差が、このガスを生み出しているのかもしれない。」


しかしそうなると、気温やガスの説明はできるのだが、この光はどこから来るのだろう?

うすぼんやりとした光は、

霞の中を抜け出す事が出来ずに、世界一面に溢れている。

 

森の神か・・・。

そう言えば、緑が増えてきた。

シダ類は地上のものと区別できなさそうだが、

そこかしこに生えてる植物は、見た事も聞いた事もないものばかりだ。


 ブゥゥン・・・

何種類かの昆虫もわずかだが飛び回っている。

蜂だろうか、蠅だろうか?

よく見れば、どちらの種に属するかはわかりそうだが、

今は前を進むことが先決だろう。

だが、慎重なるクリシュナがここで声をかける。

 「みなさん、肌の露出を控えた方が良いのでは?

 毒虫がいないとも限らないし、

 未知の病原菌を持っていたら免疫もない我らは手も足も出ない。」


うわわ、とミィナが大きな刺しゅうの入ったブランケットを体に巻きつける。

彼女の健康的な太ももが見れなくなってしまうのは残念だが、

アルテミス戦で包帯だらけなので、

まっとうな美的感覚を持っているのなら、そんな状態を喜んでいてはいけない。

傷が治ったらいくらでも見れる筈だ。

もっともマジマジと彼女のナマ足を見たら、

ミィナは、ニヒヒと笑いながら容赦のない蹴りをお見舞いしてくれるに違いない。

 

 

 ザー・・・

滝の音だろうか?

遠くから大量の水の流れるような音が聞こえてきた。

ちょうど斥候から無線が入る。

 『この先に高台から落ちている滝があります。

 そこには、分厚い木と大きな蔓が巻き付いた橋がかかっています。

 大勢が一度に乗っても安全かと思うぐらい、丈夫なものです。』


なるほど、20分ぐらい歩くと見えてきた。

霞の為にそんな広く視界が開けているわけではないが、

天辺が見えないほど高い所から激しい水が落ちてきている。

・・・そして確かに、前方を見やると、

欝蒼とした植物の世界が、

たたずむ彼らの前に暗く拡がっていたのである。

まるで、スサの一団を手招きしているかのように・・・。


 「ここからが・・・シルヴァヌスの森か・・・。」

 

既に数人の斥候はこの大きな橋を先に渡っているらしい。

スサ本隊も、いくつか集団ごとに確実に渡り終えた。

どうやら罠などの類はないようだ。

橋を渡っている最中に、橋ごと落とされたり、固まっているところを集中的に攻撃されたら、

最悪全滅する危険もあるので慎重になるのは仕方ない。


さて、

先程の標識が示した距離と、実際歩いた距離感・・・

及び橋を境界と考えた場合、

ここから先がシルヴァヌスの森・・・

すなわちその森の神とやらのテメノスと考えるべきだろうが、

村や家屋・・・人の姿などは気配すらない。

それだけ広大なエリアだということだろうか?

斥候には、人工の建造物や人間の姿を見つけたら連絡するように言ってある。

それがないということは、

未だ何の手がかりも得られていないということか。

逆にそれだけ、何もないということは、興味深く周りを観察できる余裕もある。

アルテミスの村付近では、

珍しい色した岩石や、奇妙な手触りの鉱物などに目が行ったが、

こちらでは地底の風変わりな植物がたくさん生えているのだ。

 


森特有のひんやりとした空気は地上と変わらないが、

草木の匂い、足もとの雑草・・・

時折手を伸ばすと、がっしりとした太い樹木が、

これまた見た事もないような形の葉っぱをたくわえている。

意識するしないに関わらず、誰でもこの場での感覚は鋭敏になるだろう。

グログロンガやマリアは勿論、

タケルにしても、自分の耳に入ってくるわずかな音も、聞き逃すまいと注意を払っている。

 「・・・滝の音だけじゃねーなぁ、

 そこかしこの茂みの中からも時折ガサガサしてるようだぜ?

 まぁ、大きさから言っても小動物だろうが・・・。」


その時、彼らの無線に雑音が入ってきた。

この地底世界に彼ら以外に無線を使う者などあり得ない。

先に行かせた斥候が通信を試みているようだが、操作に手間取っているような感じだ。

途切れ途切れに慌てているような音声が入る。


 「斥候、どうした? 音声がよく聞き取れない。」

デンが冷静に対処するが、何やら異変が起きたらしい。

 『・・・ジジ 底 し沼  一m・・・

 ジジ 緊 う もう  れ・・・! 』


タケル達の顔色が変わる。

無線の音を間近で聞いたものは、すぐに何が起きたか理解できたようだ。

 



新章です。

ステージ属性は


森、土、沼、霞、動植物、・・・そして闇と夜が・・・

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