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緒沢タケル編8 狩猟の女神アルテミス ミィナ参戦


そのまさかだ・・・!

 「はぁーい! ミィナちゃんだよーん♪」


 う そ で し ょ ?

タケルが呆れかえるのも無理はない。

これまでの話を彼女は聞いていたのか?

ミィナはご自慢のムチをバチンバチン鳴らしての登場だ。

しかも、こいつも自信満々の笑みを浮かべている・・・、

でもその根拠は!?

 「ぅおっ、おい! ミィナ!

 お前、今の話、聞いてねーのかよ!?」

 「まーかーせなさいって!

 女は女同士、何の遠慮もなくやれるってこと!」


 いや、それはそうだけど、そんなんじゃなくて・・・!

止めようと追いすがるタケルをミィナはチラ目で確認・・・

彼女の右腕が反応するっ!

 バチィッ!!

 「うぉっ!?」

タケルの足元の土草が舞い上がる・・・。

ミィナが、その閃光のような鞭を一閃したのだ。

 

視えなかった・・・。

意表を突かれたせいもあるし、

視界の外から鞭が振り下ろされたせいもあるが、

これまで騎士団の精鋭たちと戦うことによって、本物の戦士として磨かれてきたタケルの動体視力を上回る動きを!?


 「・・・脅かしてすまねーなぁ、

 でも止めるなよ?

 こいつらと戦う、一番強い理由を持っているのはあたしなんだ・・・!」


さっきまでのおちゃらけた様子は一切ない。

当り前か、

・・・彼女の家族が殺されてから、まだ二、三日しか経っていないのだ。


ミィナはそのまま、サルペドンの脇まで来ると、彼を見上げて頼みごとをする。

 「わりぃ、ちょっとあの女に聞きたい事があるんだ。」

通訳の願いのようだ。

・・・もっとも、彼女が何を聞きたいかは想像に難くない・・・。

そしてミィナはアルテミスの正面に構える。

 「・・・あたしの生まれ育った村は、お前らオリオン神群とやらに大勢殺された!

 一つ答えな、アルテミス・・・?

 あんたは、あたしの村を攻撃した連中と一緒にいたのか!?」

 


やはり質問はそれか・・・。

当のアルテミスは弓こそ下げているが、

その質問に胸を揺すりながら挑発的な視線を送り続けるままだ。

 「どうなんだ!? 質問に答えろよ!!」

アルテミスは髪をかきあげ、ようやくミィナに向けて口を開いた。

 「ざーんねーん♪

 あたしは行かなかったわよぉ?

 め―んど臭くってぇ!!

 ・・・それで、だからどうなの?

 あたしがあなたの仲間の仇でなかったのなら・・・、

 このまま尻尾丸めて帰るのぉ?」


そこでミィナは、再びニヒッと笑う。

 「・・・はん、良かったな、

 なら、命だけは奪わねーでやるよっ!」

ビシィッ!

戦闘準備完了! 

ミィナの鞭が生き物のように暴れはじめた!

 

それを見てアルテミスも嬉しそうに舌なめずりする。

 「あーらあら?

 せっかく生き延びるチャンスを棒に振っちゃってぇ?

 まぁ・・・そんな貧相な胸をして、もう成長しそうにないなら・・・、

 生きてても仕方ないのかもねぇ?」


アルテミスは、

言葉と同時に自分の胸とミィナの胸を指さして比べるような仕草をする・・・。

もう、サルペドンの通訳の必要はないだろう、

それが何を意味したか、誰の目にも明らかだ。


 「・・・(ブチ!) 余計な世話だ、このやろうぉぉ!!」

怒りにまかせてミィナがダッシュ!

アルテミスが微笑を浮かべて弓矢を構える!


この距離では弓の独壇場だ、

剣より間合いが大きい鞭とはいえ、その有効射程距離は3メートル程か?

果たしてアルテミスの弓矢をくぐって、ミィナは攻撃を行えるのか!?

 


そうこうしてるうちに、

鮮やかとも言える程の美しい動きでアルテミスは弓を引く!

しかも驚くべきことに、ただ普通に放っただけではない、

二本同時に発射している!

その二つの矢は空気を切り裂きながら、真っすぐミィナの元へ・・・!

 「ぅうぅりゃあああっ!!」

再びミィナの鞭が生き物のようにうねる!

次の瞬間!

彼女の前方の砂地に、勢いを失った二本の矢が力なく落下したのだ!


 おおおっ!

背後からの歓声にミィナは誇らしげだ。

 「・・・へっへーん、

 思った通りだ、

 矢の軌道を操れるったって、

 あたしの鞭先のように思い通りに動かせるわけじゃないみたいだね?

 あくまでも矢の飛ぶ方向にしか、軌道を変えられないんだろ?」

 


先制攻撃を外されて、アルテミスの笑みが消えた・・・。

得意の矢を撃ち落とされ、機嫌を損ねているのだろうか?

アルテミスが追撃してこないのを判断して、すかさずミィナが距離を詰めよる。

 今度はあたしの番だ!!

ジグザグにダッシュして狙いを定めさせず、

ミィナはアルテミスを間合いの中に捉えた!

 まずはその弓を弾き落として・・・!

凄まじい加速度を加えミィナの鞭の先端がアルテミスを襲・・・

 スカッ!


 ・・・あれ?

勢いのついた鞭はアルテミスのカラダを外れ、足もとの砂埃を舞いあげる。

 今度こそ!

バックハンドとフォアに切り替えながら、

往復ビンタのようにアルテミスのカラダを左右から・・・!

 スカッ!  スカッ!!

 あれ? あれれっ!?


 ・・・まさか・・・。

それを見て愉快そうに笑うアルテミス。

 「キャーハッハッハァ! だから言ったでしょう!?

 私の思い通りに軌道は曲げられるって・・・。

 あなたの鞭も例外じゃ、・・・ないの!」

 


数日前の会話

アルテミスの奴隷アイキワロ

「地上に行かなくてよろしいのですか、アルテミス様?」

アルテミス

「ん~、地上の景色は見てみたいけどぉ・・・

気が乗らなーい。

アテナお姉さまだって行かないしぃぃ。」

アイキワロ

「・・・なるほど・・・。」


ストーリー上、気にしなくても構いませんが、

彼女が地上に行かなかった本当の訳は、その内、なんとなく今回の戦いでお分かりになるかと・・・。

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