表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
471/676

緒沢タケル編8 狩猟の女神アルテミス 襲撃

 

確かな足場がある事を確信したインディアン・グログロンガは、

ロープを掴みながらではあるが、一気に地面へと飛び降りた!

 スザッ!


 「・・・花だ・・・一面花が咲いているぞ!?」

確かにそれは小さな野草だ。

地上で見慣れた種類のものでこそないが、

そこにあるのは、間違いなく小さな花びらを咲かせた草花たちだ。

辺り一面に咲き誇っている・・・。

茫然と辺りを見回すグログロンガの後に、

続いていた部下やタケル達が飛び下りてくる。

 「・・・こいつは・・・。」


そして更にその先に、

彼らを待ち構えていたのは、とてつもなく巨大な空洞世界だった・・・。

自分達が降りてきた縦穴の、さらに奥に、

それこそ天井数十メートル程の高さにまで拡がる空間・・・

遠くには、ぼんやり霞もかかっているせいもあるが、

奥行きがどうなってるかは見通す事も出来ない。

 

 

 「それにしてもこの光はどこから・・・。」

辺りの鉱物を観察していたデンが警告する。

 「どこかにマグマの流れがあるんだろう・・・。

 岩石が溶けかかっててうっすらと光ってるんだ。

 みんな熱気を感じたら迂闊に近づくなよ・・・。」


全員、しばらく辺りを観察するしかない。

そして、かなりの距離を降りてきたのだ、

男性陣のフォローがあったとは言え、非力な女性のマリアは辛そうだ。

ここはサルペドンが気を使う。

 「マリア、ミィナ、お前たちは無理をするな、

 しばらくここで休息をとるといい。」


見れば結構、しんどそうだ・・・。

これはどうしようもない。

ミィナは虚勢を張って強がっているが、

同じ女性のマリアが、遠慮なく「休みたくてうずうずしてる」視線を自分に投げかけているのに気づくと、

ニヒっと笑って、自分もそそくさとしゃがみ込んでしまった。

 

その間、体力のある男たちは周りを偵察に行く。

「草原」という表現がふさわしく、

辺りはなだらかな平地が続いている・・・。

いや、右手の少し先に小高い丘があるようだ。

自分達が降りてきた縦穴の背後は行き止まりになっていて、

進むべき方向は今のところ限定されている。

ただ、道らしい道がなく、

どこまでも自由に行けそうな草原では、いずれどこかで行き止まりになってしまうのではないだろうか?

捕虜に聞いてみると、

とりあえず、このまま草原のど真ん中を突っ切れば、

オリオン神群の村に着くはずであるとは言っている。

だが、彼はこの辺りの者ではないようで、

その村が「誰」の管轄であるかは一切知らないようだ。

滅多に自分の暮らす村から出ないのであれば、それも仕方がない。


ここでは、スサの一団全員が未知の領域に足を踏み入れたことで、

適度の緊張感と興奮、

そして子供が感じるような期待感を抱いていたのは間違いない。

だが、敵が現れるかも・・・

という心の準備ができていたにしても・・・、

この草花が生い茂る草原に、

全く別の脅威が存在することなど、誰も予想だにしていなかった・・・!


・・・それは少しずつ接近していたのだ・・・。


最初にその存在に気づいたのはマリア・・・!

 「・・・みんな! アレ何っ?」

彼女の声が向かった方向を全員、振り向く!


 ・・・何も・・・?

いや、何かの盛り上がりが動いてる・・・!

こっちにゆっくりと向かってくる。

人間ではない・・・他の、何か・・・。

周りの景色の色と保護色のため、

視認できたのはあまりにも「それ」が接近してきてから・・・!


 あれは・・・!

頭の高さは2メートルにも及ぶかという・・・

尻尾までの体長は10メートルを超えるであろう、視るもの全てを身動きできなくさせるほど巨大な・・・トカゲ!?

・・・いやトカゲというより・・・


 「きょ、恐竜っ!?」

「それ」は間違いなく、スサの人間たちに狙いを定めてやってきたのだ!

咄嗟に酒田が38口径の拳銃を二発撃ちこむ・・・!

だが、巨大トカゲの皮膚を間違いなく傷つけたものの、ダメージを与えた気配はない!

固い皮膚が余りにも厚すぎる!!

  

 キヒィィィィィッ!!


人間の耳にギリギリ聞こえる音域!

巨大トカゲの鳴き声か!?

まるで超音波のような高い音域の鳴き声だ!

そしてトカゲは一度首をもたげた後、信じられない速さでスサの一団に突進してくる!

 「うっうぉぉぉぉっ!?」

銃が効かなくては手も足も出ない!

尻ごみして今にも倒れそうな酒田の前にタケルがダッシュ!

その右手には雷撃を呼び起こす神剣が!

今こそ、その絶対的な破壊力を誇る神剣の凄まじさを見せつける時だ!!


 「天叢雲剣・・・叫べっ! いかづちっ!!」





えーと・・・

・・・何も起きません・・・。


 あ れ!?

不発である!

タケルも一緒に慌て始めた。

鋭い剣の切っ先は、虚しく空を切るばかり・・・。

相手が人間なら落ち着いて剣の能力を発揮できたのであろうが、

突然、見た事もない巨大トカゲにびびっている精神状態では剣の力は引き出せない。

雷撃の発動には、恐怖は勿論、焦りも不安も禁物である。

  

 「えええええええっ!?」


 やべぇ、やばすぎる!!

いくら天下無双の強さと剛力を誇るタケルでも、自分より遥かに巨大な野生生物と戦うには心の準備ができていない!

 じゃあ剣撃で!?

剣の切っ先が鋭くても、あの厚い外皮を切り裂けるのか!?

今や、倒れる酒田と茫然と立ちつくすタケルのうち、

果たして巨大トカゲに襲われるのはどちらが先か、

もはや数秒後の未来はどちらかしかない・・・。

誰もがその情景を予感した次の瞬間、

破裂するような衝撃音がトカゲの顔面から・・・!


 バチィィンッ!!


巨大トカゲが激しく上体の身をよじる!

当然、瞬間的にその突進はストップされる。

何が起きたのか、

何と女性のミィナが得意の鞭を振り回し、

見事、巨大トカゲの顔面に強烈な一撃を入れたのだ!

 


ミィナたん、初っ端から大活躍。

次回、迫る恐竜を撃退することができるか!?


現存するワニで最大の大きさが7メートルクラスらしいですね。

最初全長20メートルにしようとして・・・

25メートルプール想像したら・・・ないないないないない!!

そんなんいたら地下世界の人たちみんな喰われる!

ということで、今回のオオトカゲさんの全長は10メートルオーバーにしました。

でもこの地下世界のどこかにはそんな巨大な恐竜もいるかもしれません。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRoid版メリーさん幻夢バージョン
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ