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緒沢タケル編6 オリオン神群編序章 決意

 

だが・・・、

思わずタケルは、この村の生き残りである少女の顔を視界に入れてしまった・・・。

今後・・・彼女と同じような目に遭う人たちがこれからも増えるであろう。

世界に再び笑顔が戻る日は一体いつ・・・。


 「おい・・・ サルペドン!」

タケルは覚悟を決めたようだ。

意を決してサルペドンに向き直る。

 「なんだ、決まったのか?」

 「スサの方針は変わらない!

 ・・・奴らを止めるぞ!!

 って、言ったら反対しねーよな!」


 どうせ、このオヤジ、次はため息をついて首を振るんだろう・・・。

 ・・・ほーら、サルペドン、やったよ!


 「ふーっ、反対はしない。

 だがな、その為には作戦やら調査やら、

 行動に移るまでにやることが山積してるぞ、

 わかってるな!?」

 

あったりめーだ!

 「じゃあ、その作戦とやら調査やらお前に任すぞ、サルペドン、

 オレはどうすればいいか、お前が考えろ。

 カラダを動かすのはオレがやりゃいーんだろ!?」


どうやらタケルも開き直ったようだ。

っていうか、今のところ、

捕虜から情報を聞き出すのも、今回の事件を一番よく知りうる立場なのはサルペドンしかいないのだ。

タケルが考えたってしょうがない。

だが、これまでの流れで、

サルペドンが易々とそれを承諾するはずもないと誰もが思ったのだが・・・。

 

 「タケル・・・貴様な・・・」

 「やかましい! 一つ聞くがよ、

 今度の戦いになるとして、

 このオリオン神群って奴らとどんな戦争になるってんだ!?

 相手が超能力者!?

 スサの近代武器は通じるのか!?

 まさかオレの天叢雲剣でしか対抗できないってんじゃねーだろうな!?」

 

 

そうなのだ、

ウィグルの村人の銃や武器は全く役に立っていない。

武器性能の問題ではないのだ。

攻撃そのものが封じられているようなのだ。

その戦意までも・・・。

下手をすると天叢雲剣だってどうなるのか・・・。

それを考えるとまっとうな戦いになるとはどうしても思えない。


・・・そしてその事を一番、理解しているのは・・・。




その時、マリアはその細い腕をサルペドンの背中に回す。

彼の決断を後押しするかのように・・・。

やがてサルペドンはゆっくりとその口を開いた・・・。

 「わかった・・・、

 だが、これだけは覚えていて・・・いや、覚悟してもらおう・・・。

 タケルよ・・・、酒田、クリシュナ・・・、

 下手をすればスサは全滅するかも知れん・・・。

 それだけ相手は恐ろしい敵だと考えておくべきだ。

 勿論、私もできうる限りのことは考えるが・・・。

 そして私に任せる以上、作戦には必ず従ってもらうぞ!」 

 

サルペドンの言葉は脅しではない。

事実、彼は本気でスサが消滅する恐れを危惧していたのだ。

いや・・・スサだけではない、

オリオン神群が本気になったならば・・・

神々の王たるゼウスや・・・

その他の、理解することすら困難な能力を持つ神々に戦いを挑まれて、

本当にただの人間たちが生き残れるのか・・・

そこが最も苦悩する問題だったのだ。



・・・その後、

少女は、生き残りの村人の避難所までタケル達を案内した。

そこは隠れ家的な集落なのか、

数百人程度の村人たちが、ひっそりと息を潜めていたのである。

どうやら、少女は独断でここを飛び出してきていたらしい。

村の族長と・・・、

その息子夫婦は生き延びていた。

族長の息子はまだ30代のようだが、

ほっそりとはしているものの、精悍な顔つきだ。

グレーの髪と、同じ色の瞳を持つ、印象的な顔立ち・・・。

いずれ、この村の族長の地位を引き継ぐのだろう。

余談ではあるが、まだこの夫婦に子供は生まれていない。

 

タケルやサルペドンは、

これまでの経緯を族長たちにひとしきり話し、

騎士団との戦い・・・ダイアナの死・・・そして、

西にある地底へと続く洞窟のことまでも説明を終えた。


すでに時刻は夜を迎えている。

今後、具体的にどうするかはさらに熟考を要するので、

一同、もはや避難所を後にし、移動要塞ガルーダに引き揚げ始めたとき、

その道中、彼らスサの背後に追いすがる者がいた。

 


・・・ダッダッダッダッダッダ・・・!

 「ねー、ちょっとー! ちょっと待ってくれよー!!」


タケル達が後ろを振り向くと、

今日、半日行動を共にしていた例の少女が息を切らせてやってきた。

 「はぁ、ハァ、追いついたぁ・・・。」

対応はタケルが応じた。

なんだかんだで、今日一番彼女と多くの時間を接したのは彼である。

 

 「やぁ、・・・どうしたい?」

昼間の痛々しかった表情は鳴りを潜め、

少女は少し、はにかんでいる風にも見える。

タケルは精一杯優しい表情を浮かべて彼女を迎えた。


 「えっ、あ、あのさぁ、

 ・・・そうそう、アンタに・・・タケルっつったっけ?

 謝らないと、って思ってて・・・。

 危うくぶっ殺しかけただろ!?」


謝罪は素直に受け入れるが、その物騒な表現は何とかしてほしい。

タケルは苦笑いを浮かべる。

 「ああ、気にしてないよ、

 確かに服装似てたもんな・・・。」

 「それと・・・パパとママや・・・

 みんなの遺体を運ぶのも手伝ってくれて・・・

 ありがとう・・・。」

 

 だよな・・・やっぱりいい子じゃないか・・・。

 こんな目に遭いさえしなければ・・・


タケルも素直にそう思った。



次回、序章終了、

ようやく少女の名前判明します。


グレーの髪と、同じ色の瞳を持つ、印象的な顔立ち・・・。

いずれ、この村の族長の地位を引き継ぐのだろう。

余談ではあるが、まだこの夫婦に子供は生まれていない。


大事な部分です。

まだ生まれてないんですって。

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