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緒沢タケル編6 オリオン神群編序章 進化と適応

またもやブックマありがとんです!!

 

サルペドンの壮大な話はさらに続く。

 「さて、では何が我々と対立するかと言えば・・・

 ふぅー・・・、

 どこまで信用できるかな?


 タケル・・・みんな、

 我らスサが、かつて神々の怒りにあい、逃げ延びた者たちの末裔である事は、

 もう説明の必要はないな?

 我々は出身地域はバラバラだが・・・、

 それぞれの神話に基づき、

 その崇める祖先神の末裔である事を受け継ぎ今に至る・・・。

 日本ではスサノヲがそれにあたり、

 私はギリシア神話のポセイドンを・・・、

 クリシュナはヒンドゥー教のルドラを・・・。


 それらは敵対する神々の攻撃に遭い、王国は打ち砕かれた・・・。


 もしその過去の伝説をギリシア神話で読み解くとすれば・・・、

 我々は神々の王・・・

 ゼウスとその一派に襲われてスサの祖国・・・

 アトランティスは滅んだのだ・・・。」

 

タケルにしてみれば、以前聞いた話ではあるが、

自分の頭にこびりついてると言うわけでもないので、

改めてスサの歴史を思い起こす。


確か天空の神々は、

地上の人間を悪しき存在だとして攻撃を加えたと・・・。

そしてサルペドンの以下の説明は、タケルの心を読んだかのごとく、

タイミングのいいものだ。

 「そうだ、こいつらオリオンの厄介な所は、

 自分たちをその天空の神々の子孫だと思い込んでいるということなのだ。

 我々スサを、

 いや地上の人間たちを一度は滅ぼしかけた・・・な。」

 

 「何のために!?

 第一自分たちだって人間だろ!?」

 「・・・神々の立場に立てば、

 人間は堕落した愚かな生き物なのだという認識なのだろう。

 そして忌々しきこいつらオリオンは、

 自分たちを、その神々の正統な後継者と自認していることだ。

 その発想は騎士団に近いが、

 彼ら騎士団は自らの罪深さも自覚していたのに、こいつらはさらに悪質だ。

 神々の代弁どころか、

 自分たちがその神々になったつもりでいる。

 先ほどこいつらの事を『オリオン』と呼んだが、正確な呼称は『オリオン神群』・・・、

 先ほどタケルが倒した男は『山の神トモロス』・・・。

 ギリシア神話にも登場する『神』の化身と自ら信じ込んでいたのだよ。」


このメンバーの中で、最も敬虔なクリシュナがサルペドンに問う。

 「化身ですと?

 では山の神など、ギリシア神話にあってはあまりメジャーな神ではないと思いましたが、

 まさか他にも・・・?」

 

 「そのまさかだ、

 オリオン神群の主な構成は、

 古代ギリシア神話の神々の「万神殿パンテオン」そのものだ。

 かつてのミケーネ文明では、

 一都市や一村落ごとに一つの神が存在し、

 それぞれが寄り集まって、一つの文化集団をなしていた。

 それがそっくりそのまま、地下世界に再現されている。

 いや、そっくりそのままとは言わないか、

 その危険思想をエスカレートさせてと言うべきだろう。

 地下世界には、

 彼ら一人一人神々の神域・・・テメノスからなる集団が存在し、

 その頂点に神々の王ゼウスが君臨する。

 この地上に出てきてこのウィグルを襲ったのは、そのゼウスの野望でもあるのだろう。

 これは恐らくだが、

 彼らにはかつて地上を追われた、という憎しみの感情が根底にある筈だ。

 それが極端な選民思想に発展させ、

 地上の人間を堕落した悪しき存在だと思い込んでいる。

 かつて神々が人間を滅ぼそうとしたように、

 今一度、地上の人間を滅ぼすつもりなのだろう。

 ・・・騎士団が世界を混乱に陥れた直後のこのタイミングなら、

 それも容易い、と判断してのことだろうな・・・。」

 

一同、話を飲み込むので精一杯だ。

事前情報も何もなく、そんな事言われたって理解できるはずもない。


会話はそのままクリシュナとサルペドンの応酬が続く。

 「しかし、サルペドン様、

 こいつらの装備を見てください!

 まさしく時代錯誤と言えるような、低い文明レベルではありませんか?

 ウィグルはもちろん軍事化された村ではありませんが、

 ここまで蹂躙されるなど考えづらいのでは!?」

 「その疑問は当然だな、クリシュナ。

 ・・・これは彼らが選民思想を発展させた原因とも言えるのだが、

 ここからは私の判断だ。

 間違っているかもしれないことを前提に聞いてくれ。

 当初、彼らは我々と変わらぬ普通の人間だった・・・。

 だが、地上から地底へ・・・、

 その極端な環境変化と磁場の影響を受けた彼らの遺伝子は、

 その人間と言う種の隠された因子を発現させた・・・。」


 「遺伝子? 隠された因子!?」

 

 「ここに縛られている兵士の年齢はいくつに見える?

 20代から30代に見えるか?

 さっき聞いたら56歳だそうだ。

 タケルが殺したトモロスは80歳を超えるらしい。

 今やオリオンの平均寿命は200歳を超えるだと・・・。」

 

 あのハゲ頭が80越え!?

 どうみても40ぐらいのおっさんにしか見えなかったぞ!?


それどころか、サルペドンの次の発言はさらに信じがたいものだった。

 「驚くのはまだ早い、

 私は、彼らトモロスやそのゼウスなどと言うのは、

 本来、神官か司祭程度の存在でしかなかった筈だと思っている。

 だが、彼らが自らを神だと思いあがる要因ともなるもの・・・、

 その選民思想を暴走させた原因ともなっているもの・・・。

 それは、磁場の環境影響によって肥大した精神能力、

 そこには信じがたい能力が存在している・・・。


 実例を聞いた方が早いな、

 キミ・・・ウィグルの生き残りの少女よ・・・、

 あまり思い出したくもないだろうが・・・、

 村人たちはどうやって殺されていったんだ?」

 



残酷な質問です、鬼畜サルペドン・・・。


なお、この世界では新しい単語が時々出ています。

神域テメノス」・・・要はその土地の神様が治める直轄地とお考え下さい。


他にも実在したミケーネ時代の都市名や人名も出て来ます。

神さまは混じっちゃってますね、

ミケーネ時代に名前が確認されてるギリシア神話の神さまはそう多くないので。


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