表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
450/676

緒沢タケル編6 オリオン神群編序章 虐殺の跡


デンが映像分析の操作を始めてみるが、

分析官ダイアナが抜けたせいか、処理に時間がかかる・・・。

 「ちょっと待ってくれよ? グログロンガ、

 うーん、普通に人じゃないのか・・・?」

 「人間だとしたら、全く動いてないのは何故だ?」


いくつかのカメラが拡大されていくうち、

マリアが恐ろしい事実に気づいてしまう。

 「あ! あれって、まさか、ウィグルの民族衣装・・・!」


にわかに管制室がざわめく。

酒田のおっさんは信じられないとでも言うようにわめく。

 「ちょ、ちょっと待て、気のせいじゃねーのか!?

 ゆっくり歩いてりゃ、高速のガルーダからは止まって見えるだけじゃねーのかよ!」

 「・・・いいえ、さっきからどれも移動していません・・・。

 光の反射や陰に変化らしい動きすら見えないでしょう?

 それどころか・・・生活感の全く気配がない・・・。」


それ以上の観察は不可能だった。

ガルーダは上空で静止することも可能だが、ここは先に着陸するのが先決だ。

予定していた場所にスムーズに着陸成功し、一行はウィグルの村に降り立つ・・・。

 


人っ子一人いない・・・。


ガルーダのような大きな機体が轟音を鳴らして近づいてきたのに?

子供の姿すら見えない。

確かにエアポートなんて、余程のことがないと人間がいる場所ではないが・・・。

タケル・サルペドン・マリア・クリシュナ・酒田・・・及び部下数名・・・、

10人ほどのメンバーで、彼らは村の探索に当たることにする。

デンとグログロンガは留守番を・・・。


酒田のおっさんが無線を飛ばしている。

 「デン! どうだ?

 そっちからウィグルに交信は取れねーのか?」

 『昨夜は普通に連絡できたんだが・・・今日は一切ダメだ!

 さっきも今もノイズしか返ってこない!』


いざとなったら、グログロンガが部隊を引連れて、

高速エアバイク・マルトを出撃させることになっているが、

村人どころか不審者の姿すら見えないのだ・・・。

 


タケルは首をひねりながら、

誰かに・・・というつもりもなく、独り言のように口を開いた。

 「ま、まさか騎士団の残党に攻められたとか・・・?」

サルペドンが離れた位置からその疑問を否定する。

 「ありえんな、

 大体、騎士団がこんな小さな村を攻撃する意味がない。

 復讐なら、直接このガルーダに来るはずだ。」

マリアの問いの方が蓋然性はあるかもしれない。

 「ではサルペドン、

 中国かロシアが混乱に乗じて・・・?」

だが、それすらもサルペドンは懐疑を示す。

 「奴らならもっと派手にするだろう、

 世界がこれだけ混乱していれば、ジャーナリストの目も気にする必要もない。

 何のカモフラージュもなしに力ずくで蹂躙するだろう。

 ・・・だが、ここには火の手すら上がってない・・・。」


そして彼らはエアポートエリアを過ぎ、

村の入り口付近で信じられないものを目撃するのだ・・・。

 




死体だ・・・それも夥しい・・・。


見渡す地面のあちこちに、

ウィグルの村人と思われる者たちが、真新しい死体を晒していたのである・・・!

老いも若きも・・・女子供分け隔てなく・・・

やはり上空から見えたのは、彼らの死体だったのだ・・・。


大人たちの死体には、牛刀や猟銃を持っている者もいる。

酒田のおっさんがその猟銃の一つを取り上げた・・・。

 「発砲してる形跡があるぜ・・・?

 誰に向かって撃ったんだ?」


死体の顔は「驚愕」の表情が彫り込まれている。

一方、クリシュナが見つけたのは、

衣服をズタズタに切り裂かれた女性の死体だ。

 「酷い・・・、

 この傷は・・・獣に襲われたようです・・・、

 狼か虎でも・・・?」


ところどころ、同士討でもしたのかと思われるような、

もみあった死体も見つかる・・・。

一体何が起きたというのか・・・!?

 

タケルにしても、数々の無残な死体を見つめながら、

他に手がかりはないかと、一人、別の通りへ探索してみることにした。

怪我した左腕は固定こそしているものの、ギブスは外している。

その真下の腰には天叢雲剣も吊下げている。

いざとなったら、右手だけでも戦うつもりなのだろう。

戦闘に来たわけではないので、ルドラの鎧こそ装備してはいないが、

「紋章」も肌身離さず首からぶら下げたままだ。




 ゴトッ


 ・・・今の音は・・・?

一度タケルはみんなの方を振り返る。

視界には全員揃っている・・・。

今、音が聞こえた方向に仲間はいないのは間違いない。

では風か?

 ・・・そんなもん、

 この辺りでは吹いてねぇ・・・。

 


タケルは慎重に・・・、

仲間を呼ぶことも考えたが、

もし誰かが隠れているのなら、その隙に逃げ出してしまう恐れを考慮した。

 このまま、今の音の正体を突き止めてやる・・・。


一歩・・・また一歩と踏み出し、

建物の陰から顔をそーっと、覗いた次の瞬間!

ヒュッ、

という風切音とともに何かが目の前に迫ってきた!!

 「うわっ!」

天性の反射神経で避けたはいいが、

バランスを崩して思わず尻もちをつく。


 だが、倒れてる場合じゃない!

 い、今のはどこから・・・!?


モノが飛んできた方を辛うじて見やると、

そこに一人の人間・・・

年のころ17、8と思われる女の子が・・・


 あ・・・あれは鞭か!?

 使い古されたような鞭を握りしめ・・・、

 いや、そんなことより、泣いている・・・。


泣き崩した顔を、

必死でこらえているかのように立ちつくしていたのだ・・・!

 



次回、更なる来訪者たちが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRoid版メリーさん幻夢バージョン
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ