緒沢タケル編6 オリオン神群編序章 タケルの決断
本日、運営さんから性的表現修正確認されたと連絡いただきました!
これでこの物語が削除される恐れはなくなりました。
・・・ところどころ歯抜けになってますが、
時間見て埋めるようにしていきます。
・・・そりゃ確かに憂鬱だろうな・・・。
恐らく騎士団の彼らも、事を起こすまでに相当、悩んだはずだ。
TV中継で見た前総司令官のウーサーは、
自分たちの行動の結果、自分が地獄に落ちることまでも覚悟して決断してたという。
そしていま、それをひっくり返されて、
彼らの心中はどんな思いなのだろうか?
それを考えれば、一口に「許す」という言葉さえも適切とは思えない。
彼らに殺された罪のない民間人のことを考えれば、
自分が勝手に彼らを免罪することもできないし、
彼ら自身、それを望むとは思えない。
自殺する者だって出てきてもおかしくはないはずだ。
・・・いや、クリスチャンって自殺しないんだっけ?
だが、ウーサー自ら命を絶ってるところを見ると、それもあてにはならないし・・・。
タケルにできるのは想像を脹らますことだけだった。
どのみち、この今の状態では、
他人に相談することもままならない。
自分を覗き込む仲間たちの前に、
ようやく、右手を上げることに成功し、
彼らを安堵させる。
そのうちアベ先生が容体をチェックして、
異常がないことを確認すると、
みんなほころんだ表情のままタケルの部屋を退出する。
タケルにしても、
このまま、すっげー気分の悪い状態で起きていることより、
もう少し睡眠をとってもよさそうだ。
栄養はチューブを通して入れてくれるらしいから・・・
安心して・・・
アベ先生は、気を利かせて睡眠導入剤も調合していたようだ。
次に目を覚ます時には鼻からのチューブも外せるだろう。
悩むのはこの後・・・、
それこそタケルの苦手な分野とも思われる、いろいろな難題が待ち受けてるのなら、
今、眠れるだけ眠っておくべきだ・・・。
戦士に休む暇などないということは、
この後、タケルはさんざん思い知らされることになるのだ・・・。
タケルが目を覚ましてから一週間後、
まだギブスや点滴は外せてないが、
車椅子でベッドを離れることもできるようになっていた。
アベ先生からは、切断された左腕の指先の運動も始めるように言われている。
何とか動かすことはできるようだが、
モノを掴んだ時の感触に違和感がある。
逆に右手で、ギブスから露出してる部分の左手を触ると、
これも変な感触だ。
本当に元通りになるのだろうか?
その日の午後、
アベ先生がサルペドンを連れてタケルの病室に入ってきた。
二人で会話に熱中し過ぎていたためか、
ノックし忘れたようだ・・・。
「・・・まぁ左手の癒着は想像以上の速さです、
この分なら・・・」
メガネをかけたアベ先生は、
扉を開いた後、ベッドの上のタケルと視線をあわせて、
まさしく目が点になった。
「あ」
タケルはバツが悪そうに左腕を下げる・・・。
その左手の先には
鉄アレイ・・・。
「た・た・た・タケル君!
君は何をあわわわわわわ・・・!
い、いま、何を持っていた・・・
何を持ってるんですか、君はああああああ!?」
「え? あ? いえ、その
左手のリハビリをですね・・・へへ。」
「へへじゃないでしょうがあああああ!!
私は指先の運動をしなさいと言ったのですよぉおおおお!!
キミは腕が切り落とされたって自覚はあるのですかあああ!!」
あっという間に鉄アレイを取り上げられるタケル。
それにしても信じがたい回復力だ。
今や髪も伸び、耳も完全に隠れたボサボサ頭のタケルは、
うすら笑いで何とかごまかそうと必死だ。
「え、いやあ、
病室の中、何もすることがなくて、
そーすっと、やっぱり体がウズウズというか、少しでも鍛えとこうかと・・・。」
アベ先生、もう半狂乱だ。
この人、血圧とかは大丈夫なんだろうか?
一方、サルペドンは開いた口がふさがらない。
医学知識は彼も専門外だが、
ここまでの回復力を見せつけるタケルに呆れるというか、
本当に驚いているのだ。
だが、サルペドンもここに驚きに来ているわけではない。
そろそろ、タケルにも戦闘以外でスサ総代としての仕事をしてもらいに来たのだ。
「タケル、具合は良さそうだな?」
「ああ、なんとかね、
左手はまだ完全じゃないが日常生活はなんとかなるぜ。」
「そうか、それは良かった。
それではそろそろお前にやってもらいたいことがあるんだが・・・。」
ギクリ・・・!
「あ? な、何を・・・?」
「何をじゃない、
お前はスサのトップなんだ。
まずは騎士団との戦いの総責任者として、
あいつらを今後、どうするのかお前の考えを言ってみろ。
別にスサは、お前の考えが全て通るような独裁型の組織じゃないから、
お前の意見が現実離れしてるようなら私が却下してやる。
こないだ、私が現状を伝えてから時間はたっぷりあったんだ、
何も考えていない筈もあるまい。」
オレがトップだって言うなら、
もう少し敬えとは言わないが、
それなりの礼儀をとれよ・・・。
ブツブツ文句を言いたいのを堪えてタケルは少し考えた。
勿論、今まで何も考えてこなかったわけではない。
一度、タケルは病室の窓を見た。
窓の外に何があるわけでもない、
頭の中を整理してみたかったのだ。
新キャラ登場はもう少しお待ちください。