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緒沢タケル編5 騎士団戦最終章 戦争終結

だが・・・最初にぐらついたのは・・・

いや、先に地面に倒れたのはアーサー。

もはや意識もなく、カラダを痙攣させるだけ・・・。

そしてほぼ前後して、

タケルのカラダもアヴァロン城の固い石畳に沈み込んだ。

二人とも意識を失っているのは誰の目にも明らかだ・・・。


次に静寂を破ったのはランスロット。

彼も半死半生なのだが、戦いの終結を宣言せねばならない・・・。

 「ガ、ガラハッド、終わりの合図を出せ・・・、

 我らは・・・負けたのだ・・・。」

 「しかし、兄さん、これは引き分けでは!?」

 「状況を考えろ・・・

 もう、我らには奥の手は残っていない・・・、

 いや、支えるモノが残っていないのだ・・・、

 これで終わらないと、混乱が始まるだけだ・・・。」

 


そのランスロットの危惧は当たっていた。

彼ら二人が動きを見せたために、

我に返った騎士たちが、

指揮官もいない状況で争いを続行しようとしたのだ。

アーサーを助けに向かおうという者もいれば、

タケルに止めを刺そうとする者もいる。

中断していた戦闘を再開させようとする者も・・・!


 「サルペドン!」

互いの最高指導者が意識不明、

騎士団の次席であるランスロットも、最早それに代わることすらできない。

ならば、スサの副司令官であるサルペドンにマリアが頼ることは自然な成り行きだ。

だが、彼女の声には、

何か他の者に分からない「含み」があるようにも感じる。

そしてサルペドンは頷くことすらせずに、

アヴァロン城への湖の対岸に一人立った・・・。

その姿を見つけ、

サルペドンに狙いを定めようとする騎士団の兵士たちの姿も見受けられたが、

それら全てを無視してサルペドンは片手を上げた・・・。


 その時 何が

 


戦闘を行おうとする全ての者・・・

いや、付近一帯にいる人間全員が意識を「それ」に向けられた!

身動きできる者など一人もいない、

騎士団も、スサも・・・!


 グラッ


 ゴゴゴゴゴゴゴ ドズン!

 ドドドドド・・・!


大地が揺れる!!

アヴァロン城周辺・・・

それどころか、

まるでこの世がひっくり返るのではないかというほどの、激しい轟音が全てを揺らす!!

もはや、立ち続けていることもできやしない!

その場にいる全員が、

地べたに伏せって、行動不能を余儀なくされていたのだ!

 


そこから、10秒か15秒ほどか、

その間の揺れは、永遠にも感じられるような長いものであったが、

既に破壊されていた城壁の一部がさらに崩れただけで、

地震そのものによる被害はなさそうではある・・・。


揺れは次第に収まっていた・・・。

まだ、木々やそこら辺のモノが揺れているようだ・・・。

マリアですら、頭を抱えて寝そべっている。

立っているのは・・・、

ただ一人、カール・サルペドン・・・。


彼はこの地震など、何もなかったかのような涼しい顔をして、

先ほどの片手を上げたまま、不動のままなのである。

そして彼は、湖全体にまで響き渡るような大声をあげた・・・。

 


 

 「戦いは終局した!!

 これ以上の戦闘は無意味である!!

 双方直ちに矛を収めよ!

 今後の両軍の方針は双方の代表者同士で交渉する!

 ・・・先ほどの地震はお前たちの言う神の意志だ!

 それに逆らうことは何人たりとも許されはしない!!

 繰り返す!

 これで戦闘は終了したのだ!!」


誰もがその声に逆らうことができなかった・・・。

先ほどまでのタケル達の超自然的な戦闘に続き、

さらに衝撃的な大地の怒りを前にして、この威厳ある怒声・・・。


しばらく騎士団も、次に自分たちがどうしていいのか、

すぐに判断もできずにとまどい続けていたが、

「完璧なる騎士」ガラハッドがランスロットの指示に従い、

全軍に無線をとばす。

 「・・・こちら円卓の騎士、カッサンドラ部隊隊長ガラハッド、

 総員、全ての行動を取りやめ、以下の命令に従うように!

 騎士団本部長ランスロットの言葉を伝える。

 未だ戦闘状態にある者は、武器を置き、

 負傷している者の手当てに向かえ。

 各小隊の責任者は、部隊兵の状況を確認し次第、

 アヴァロン城中庭ホールに集合、

 そこで次の指令を待つように・・・!」

 


悪い夢から醒めたように、騎士団の兵たちが城の中へと戻っていく。

スサの兵たちも似たり寄ったりだ。

信じられない結末に喜ぶのも忘れている。

サルペドンの言葉の後に、

マリアが詳細な命令を下すにつれて、

ようやく、全員、戦いに勝利したことが理解できたようなのだ。

すぐさま、タケルの元に救護班が出向き、

落っこちている左腕とタケルを回収する。

出血や火傷が酷い・・・、

手遅れとならない内に救命措置を取らないと・・・。


夕日が沈むころには、

まるでこの場で戦闘など何もなかったかのような静けさを取り戻した。

今や、アヴァロン城内で、

騎士団長老たちと、サルペドンを中心とするスサ幹部たちとの間で、

暫定的な話し合いが行われた。

その内容については、この場で述べる必要もない。

それについては別の機会に譲りたいと思う。


今、はっきりしているのは、

スサと騎士団の、

この長い、多くの命を散らせた戦いが、

ようやく終わったという事で十分と言えるだろう・・・。


「終わった」・・・?

果たして、本当にそうだろうか。

いや、むしろこれから始まるのだとしたら・・・。

 



ここまでお読みいただきありがとうございました。

長い、緒沢タケル編の序章とも言える騎士団編が終了しました。


この後は、

騎士団との戦闘中に命を失った、女性幹部の郷里に赴くところから事態は進展します。

そこで出会った奇妙な一団、

新しい仲間を加入させ、タケルは更なる戦いに身を投じます。

これまでの常識が役に立たない世界で苦戦を強いられますが、

次の物語で語られるべきものは、

タケルの体に流れる古代神の血・・・。

騎士団編でもしばしば言及されていた古代の神ポセイドンの謎に迫ります。

果たして人間がこれまで伝えてきた神話とは事実なのか?

神とは何か、その正体は!?


・・・もっとも、全てが明かされるのは、

遠い未来の世界にて・・・。

 

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