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緒沢タケル編5 騎士団戦最終章 決着


アーサーはしばらく息を呑んでいた・・・。

先ほどアーサーがタケルに吐いた言葉に嘘はない。

だが、彼は一つだけ言っていない事があった。

 「・・・そうか、

 なら、戦う以上、手加減はしない・・・。

 実はな、オレは正直、お前を舐めていた部分もあった。

 お前は家督を継いだ姉に守られ、ぬくぬくと育ってきたおぼっちゃんだとな・・・。

 それも訂正しよう・・・、

 ただ、死んでもオレを恨むなよ・・・!」


 ぬくぬくと育ってきた・・・?

 姉に守られ続けてきた・・・だって?

 否定はできない・・・。

 そうだよ、その通りだよ、

 事実だ。

 だが、

 だからこそ、ここで引いてはならない!


決めたのに・・・!

姉・美香を支えると誓ったのに、

それすらも叶わず、

姉の意志を継ぐとか偉そうなことをぬかしといて、

ここでまた、自分で決めたことすら投げ出したら、

今まで、自分が目指していたもの全てを否定してしまうことだ!


 あの時・・・、

 両親が死んだ時の・・・初めて見た美香の泣き顔・・・、

 弟にすら見られまいと、

 明かりも消した祖父の部屋で、うめき声一つ立てず泣いていたあの時・・・、


あれから10年以上過ぎて、自分が何の成長もしていないというのなら、

いったい、自分は何のために生きていたのか!?

アーサーが父の意志を継ぐ?

騎士団の精神を伝えてゆくだと!?


 それはオレも一緒だ・・・

 だからせめて・・・

 あと一回・・・最後の力を・・・!




少しでも気を抜いたら意識は跳んでしまうだろう・・・。

タケルは左腕を失っているために、

天叢雲剣を持つ右腕を前方に構えるだけ・・・。

アーサーは今まで通り、両手で剣を中段に構えタイミングを待つ・・・。

もはや、タケルには何の手もないはず。

パワーも・・・スピードも・・・、

その華麗なる技さえも・・・!

ならば何を待つこともない!

このまま一気に・・・!

 

 

 「うぉおぉぉぉっ!!」

両腕を振り上げ、アーサーは一気にタケルに斬りかかる!!

タケルは反応するので精一杯だ!

互いの剣が激しくぶつかり合う!

だが、片手のタケルではもちろん、そのパワーに抗える訳もない!

 「先ほどの戦いの時とは逆だな!

 終わりだ、緒沢タケル!」


あっという間にタケルの顔面にまでエクスカリバーの薄く光る刃が迫っている。

あと、数センチで・・・!

ただの強がりだったのか・・・、

いや、タケルの最後の・・・

アーサーとの戦いからも彼は学んでいたのだ・・・!

神剣天叢雲剣の・・・更なる能力を!!


 バチッ!

アーサーは驚愕っ!

 今の青白い火花はっ!?

エクスカリバーとせめぎ合う天叢雲剣から散発的な電光がっ!

 まさか!?


 バチバチ バチッ!

見る見るうちに天叢雲剣からほとばしる光の放電っ!

 「これはっ、まさか天叢雲剣のっ!?」

  いかん!

だが、天叢雲剣の雷撃の発動までにはかなりの時間がかかるはず!

その前に、タケルの息の根を!!



・・・だがタケルはアーサーの対処を許さない!


 ・・・アーサー、

 お前が教えてくれたんだ・・・!

 神剣を発動するのに、力を臨界点までためる必要もねぇってな!


もし、逆に頭が冷静なままなら、

左腕を失った状況で天叢雲剣が発動できたかどうかは疑わしい・・・。

極限にまで追い込まれた今だからこそ、

天叢雲剣はタケルの思いに発動を始めたのだ!

姉、美香や、タケル達の両親、緒沢家が先祖代々伝えてきた神剣・天叢雲剣!!


 美香姉ぇ・・・

 この最後の攻撃を天叢雲剣は裏切らなかった・・・

 最後の最後に応えてくれたぜ・・・!

 紋章・・・ルドラの鎧・・・そしてみんな・・・

 重いモンを支え続けてきたのは、アーサーだけじゃないっ

 そのことさえ自覚出来るのなら・・・、

 間違いなく、天叢雲剣はオレの意志に応えてくれる・・・。

 そうなんだろ? 美香姉ぇ・・・。

 

 

アーサーが、身の危険を察知した時にはもう遅い、

既にタケルは天叢雲剣を・・・


さらなる電流の迸りがアーサーのカラダを麻痺させる!

反撃も逃走も・・・

エクスカリバーの発動すらままならない!!


 「・・・天叢雲剣あまのむらくもぉぉぉぉっ!


 叫べ いかづちっ!!」


そのパワーは、モードレイユを倒した時より、明らかに威力の低いエネルギーだ。

だが初めて天叢雲剣を見た者は誰しも驚愕せざるを得ない!

タケルとアーサー!

二人のカラダを蒼いスパークが襲い続ける!!

 「き! 貴様ぁっ!

 こ、これじゃ、おま、えも!」

 「じょ、上等だァ!! ア、アーサー、

 て、めぇも、み・み・み道 連れぇええええええ!!」

 

 

タケルは天叢雲剣の発動の為の精神エネルギーを最小限にし、

その分、発動までのタイムラグを短いものとした!

だが、それはいいが、互いへの距離があまりにも近接しているため、

そのダメージはタケル本人にも・・・!

しかしタケルはひるまない。

放出エネルギーを最小限にした代わりに、

一回で全てを使い果たすのではなく、その精神力が続く限り、

勝負がつくまでエネルギーを放射し続けていたのだ!!


 「あ あ あ あ タ ケ る き さ あ あ あ あ あ あ あ あ っ 」 

アーサーのカラダから煙が湧きあがる!

直接的なダメージは、間違いなくアーサーの方が大きい。

もう、その瞳は何も映していないどころか、既に白目を剥いているようだ、

いや、アーサーどころか、

もうタケル自身、意識がなくなりかけている・・・。


そして・・・いつの間にか、

はっきり何時ということも言えずに、

天叢雲剣の発動は消えていた・・・。

いまや二人のカラダは、

微動だにせず立ちつくすのみ・・・。

 


次回、騎士団編最終回!


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