緒沢タケル編5 騎士団戦最終章 反撃・・・そして絶体絶命
デリヘルメリーさん、一部カットいたしました・・・。
今度は短い距離からの発動だ!
その光の強さは先ほどでもないが、
代わりに剣撃の度に光をまとわせながら攻撃してくる。
連発が可能なのか!?
もう、タケルの視力は殆どなくなっている。
あっという間にタケルのカラダは血みどろだ。
「はぁ、はぁ、やべ・・・ぇ 」
実際、もうタケルには余裕がなくなってきた。
正直、気を抜けば立っているのもきつい状態なのだ。
これまでゆっくり休む間もなく、連戦を重ねていたのだから・・・。
その気を緩めることもなく、緊張の連続状態にあったのだから・・・。
ついに固い石畳の上に、重い鎧ごとタケルは転倒した。
せめてカラダを回転させることによって、アーサーから少しでも距離を取る。
そんなことなどお構いなしに、アーサーに追撃されれる危険もあるが、
余裕のアーサーは王者の貫録を示すがごとく、ゆっくりとしか近づいてこない・・・。
アーサーは油断しているのだろうか・・・?
意を決したタケルは今こそ反撃の好機と捉える。
なら、こっちの攻撃も喰らえっ!!
転がりながらも態勢を整え、
起きあがる瞬間、野獣の突進!!
どんなにアーサーがそのエクスカリバーの発動を焦ろうと、
これだけの短時間で叶う筈もない!
「ぬっ!?」
流石にアーサーも虚を突かれたようだ。
タケルは最後の覚悟を決める!
自らのカラダに眠る最後の体力を振り絞り、
そのエネルギーを爆発させるべく・・・!
大地を踏みしめる足元・・・!
その力に膝や腰から生まれる脅威的なパワーを上乗せして!
「これが受けれるかアーサーっ!!」
エクスカリバーの発動が間に合わない事はアーサーも瞬時に判断!
もはやその両手剣だけで受け止める他はない!
ガギィンッ!!
耳を覆いたくなるような不快な衝突音の後、二人の力比べが始まる!
先のランスロット戦のように、どちらかの剣が折れるなどということはないだろう!
両者の剣は、共に伝説に生き続ける幻の神具なのだから。
「ぬぉぉぉぉっ!?」
どんどんアーサーのカラダが押し込まれていく。
体格そのものから差があるのだ。
パワーだけの勝負でタケルに敵う筈がない!
「アーサー!
・・・この状態からなら光を放っても無意味だぞ!
お前が俺の目を焼き尽くしたとしても、
それと引き換えに、お前のカラダを両断する!!」
それは脅しではない!
タケルにもそれだけの覚悟ができているのだ。
逆にアーサーには、この恐るべきタケルの反撃になす術がない。
彼が選んだ消極的な戦術は、
一度ひいて、そのエクスカリバーを発動させる・・・。
その隙に攻撃を・・・。
だが・・・タケルはそれを見越していた・・・!
強じんなボディバランスでアーサーは上体をひねる!
すぐにタケルは追撃をかけるが、一瞬の間合いが開いてしまう。
その間隙にアーサーはエクスカリバー発動っ!
タケルの目が再び役にたたなくなる!
・・・だが・・・!
「それがどうしたぁっ!!」
全て織り込み済みだ!
タケルの神速の反射神経は、
それ以上、アーサーが逃げる時間を与えない。
目に残る残像の位置にタケルは最後の一撃をかける!!
天叢雲剣を自分の肩口から横薙ぎ気味に振り下ろしたのだっ!
「らぁああああっ!!」
ザクゥっ!!
タケルの手に確かな手応えっ!!
致命傷・・・とまで確信できるものではないが、まぶたに残った最後の姿から判断するに、みぞおち付近から脇腹までを切り裂いたはず・・・!
これで・・・今度こそ全てが・・・終わる!?
「ぐぉぉっ!」
そしてアーサーの声・・・!
距離はすぐそこ・・・間違いない!!
すぐにタケルは声の方向を向きなおり、この後の判断を・・・!
「どうだ、アーサー!! まだやるのか!?」
・・・タケルの感覚は間違っていない・・・
確かに彼の天叢雲剣は、アーサーのカラダを切り裂いた・・・
アーサーは苦痛の声を漏らし、多大なるダメージをこうむった筈・・・
だが・・・!
その場の誰もが視力を奪われ、この戦いがどうなったか・・・、
認知できる者はいなかった・・・。
いや、ただ一人、サルペドンだけが、
そのサングラスの奥から信じられない光景を目撃したのである・・・。
タケルも何が起こったのか、瞬時に理解することは不可能だった・・・。
自らの左腕の感覚が消えていた事に・・・。
地面に転がる何らかの物体の音は聞こえた。
それが何なのか理解できたのは、
自分の左腕に、
声を上げることもできない激痛が襲ってきた後だった・・・!
タケルの左肩口から先が切断されていた!!
ルドラの鎧からむき出しとなっている二の腕には、何の防具もない!
そこにエクスカリバーの斬撃が、
無慈悲にもタケルの左腕を切断していたのだ!!
ぐぁあああああっ!!
声すら出せないタケルは、
その激しい痛みの中に意識の下で叫び声をあげていた!
何が起きた!?
斬り落とされたのか!?
アーサーに!?
あれだけの深手を負わせたのに!?
たまらず膝から倒れこむタケルの目がようやく見えてきた・・・。
「い、いったい、てめぇは・・・!?」
アーサーはタケルの目の前に立ちつくしている・・・。
彼のベストには、タケルの最後の斬撃によって斬り裂かれている跡がある・・・。
いや、間違いなくあの太刀筋はアーサーの肉をも切断したはずだ・・・。
実際、アーサーの顔は苦痛の為か、かなりの表情を歪めている。
しかし・・・。
次回
「魔女の祝福」
本人の出番はありません。
彼女は「天使シリス編」のキャラですので。
なお、長かった騎士団編も間もなく終了です。
しばらく女っ気なかったので、
ヒロイン登場させます。