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緒沢タケル編5 騎士団戦最終章 闘いの行方

二回に分けようかと思いましたが一気に。

 

古城アヴァロンの中門エントランスに降り立ったタケルと、待ち構えていたランスロット!

両雄、再び相まみえる。

前回はランスロットの圧勝。

タケルは手も足も出なかった。

そして今、彼らのカラダが交差すると、

次第に両軍の戦闘は鎮まり、互いの戦士の戦いぶりに目を奪われる。


 見える・・・!

相次ぐ豪傑との戦闘を繰り返した結果、

タケルの目にはランスロットの動き・・・剣筋・・・、

辛うじて、と言わざるを得ない段階だが、

前回のように「歯が立たない」ということはなくなっていた。

・・・勿論、気の休まる暇もない、

一瞬の油断が命取りだ。


一方、ランスロットもタケルの成長ぶりに驚愕の色を隠せない。

スピードと手数で優勢に見えるも、

タケルのパワーをまともに受けたら、あっという間に形勢逆転だ。


傍で見ているガラッハドは、

できうる限り冷静に二人の戦いを分析しようとしていた。

緒沢タケルのこれまでの戦い・・・、


 李袞戦ではその卓越した体技、

 彼の体格のみに頼らないその技力の高さを見せつけられた。

 イヴァン戦では野獣の動きをも思わせる、常識を踏み超えた野生の力をタケルは発揮した。 

 ライラック戦、ガワン戦では、緒沢家が伝えてきた秘伝の真髄・・・、

 西洋剣術では考えられない独特の技法を・・・、

 そして更には、太陽の元にあったガワンすら圧倒したそのパワーを・・・!


自らの兄ランスロットの強さは誰よりガラハッド自身が知っている。

そのランスロットと今、緒沢タケルが戦っている・・・!

果たしてこの勝負の行方は・・・!?


二人の剣が直接打ち合うことはない。

ランスロットがそれを受ければ、

金属強度とタケルのパワーで武器を粉砕される恐れがある。

故にランスロットは、

タケルの剣筋を流したり、滑らせることはできても、

真正面から打ちあってはならないのだ。

逆にタケルはそんなことは気にしなくていい。

剣ごとランスロットのカラダを断ち切ればいいのだ。

ガワン戦で使った「祓いの剣」はここでは必要ない。

あれはパワータイプのガワンにこそ有効だからだ。

とはいえ、タケルの剣筋には様々な攻撃方法が繰り返されていた。


 時には剛、時には柔!

変幻自在のタケルの戦い方に、わずかでも優勢に渡り合えるランスロットは、やはり天才の名にふさわしい戦士と言えよう。

 

二人の争いは熾烈を極めた・・・!

もはや二時間以上打ち合い続けている。

そのうち、ランスロットにも懸念が生じてきた。


 タケルは戦いのうちに成長を遂げる・・・。

 このままでは自分が不利ではないだろうか?

 いや、それよりも当面、気にしなくてはいけないのはスタミナだ!

 この自分とて最強の称号を与えられた男、

 この先、一時間でも二時間でも戦い続けられるが、

 緒沢タケルはどうなのか!?

 自分を上回るスタミナを保持しているのか!?

 だが、コイツはここまでほとんど休みなく戦い続けてきたのに・・・!

 そしてこの重い筈の鎧をつけて・・・。

 

やがてランスロットは結論を下した。

 やはり、緒沢タケル・・・

 コイツは化け物だ!!

 サー・ガワンが危惧したように、早めにケリをつけなければならなかったのだ!!

 

彼の腰のホルスターには小口径の拳銃がある。

別にこれでタケルを殺せるなどとは考えていないが、

一瞬の距離を取り、これでタケルを狙えば大きな隙ができる。

そこへ自らの剣を叩きこめば・・・!

騎士の名にあっては恥ずべき行動かもしれないが、この最後の戦いにそんな甘い事を・・・。

だが、その内ランスロットは、もっと恐ろしい事実を発見してしまう・・・。


 打ち合うタケルの剣にかすかな光が・・・!?


肉眼で捉えるのは至難の技かもしれないが、

戦っているランスロットにははっきりわかった・・・。

帯電しているのだ・・・。

時折、放電するかのような電流音すら聞こえる。

 緒沢タケル・・・

 無意識のうちに天叢雲剣を発動させているのか?

 いや、もしかすると・・・。


タケルは前回の戦いで、

ランスロットに「実力で倒す」と言いきっていた。

ならば今は、戦いに集中しきっているタケルが、本人すら望まぬうちに発動しかかっている天叢雲剣を、必死に抑え込んでいると言った方が正しいのかも?

 


ランスロットは一度、逃げるように距離を取る。

周りの誰もが「息を整えるため」、

または「次の攻撃の準備」と考えた。

実際、それらは間違ってはいない。

タケルにしても、実のところ息も絶え絶えだ。

引いたランスロットに追撃をかけるのも一つの選択としてはありだが、

タケル自身、息を整えるべきだと思っていた。


互いの視線で彼らはそれを合意する。

ランスロットが話をするタイミングは今しかないだろう・・・。

 「タケル・・・一ついいか?」

 「はぁ、はぁ、何だよ・・・。」

 「自分で気づいているのか?

 ・・・その剣が青く光っているのを・・・。」


タケルは自分の剣を見下ろすことすらしない。

隙ができるのを警戒しているわけではない。

単にランスロットの聞きたいことなどわかりきっていたからだ。

 「ああ・・・、なんとかな。

 だが、前も言ったろう、

 お前が剣で戦う限り、こっちも同じ条件でやってやるよ・・・!」

 

ランスロットはかすかに笑った・・・。

自分の愚かな思いつきを恥じたのだ。

互いの命運をかけた一戦だからこそ、

この場は正々堂々、お互いの力を出し切らなくてはならない!

今こそランスロットは覚悟を決める・・・!

今度の攻撃で最後だ!!


柔らかな構えから、何の前触れもなく、

まさに時間が飛んだかのような、ランスロットの特攻!!

タケルは反応するだけで精一杯だ。

そしてタケルに息をさせる暇を与えないほどの連続攻撃の嵐!!

追い込んでいるこの状態なら、打ち合いだとしても剣を折られる心配もない!

・・・だがタケルも、ただ追い込まれているわけではなかった。

ランスロットの剣を弾く瞬間、その度ごとに手首に勁を込め、

ランスロットの腕に少しずつ負担を与えていたのだ・・・!

ここで二人にあった差は、そのカラダの頑健さと言えるだろう。

そしてそのため、タケルに剣を弾かれたときの剣の距離、

及び次の攻撃までのタイムラグ・・・、

それらに関し、ランスロットの認識と現実の間にわずかなズレが生じる・・・!

ランスロットがその違和感に気づいた時には、

既にタケルが反撃の構えに入っていた・・・。

 


 

二人の真正面でそれぞれの剣が激突!

 しまった!

と思った時には既に遅い!!

一瞬の均衡状態に入ったかと思われた次の瞬間、ランスロットの紅の剣が 

  パキィンッ!!


と、

美しい音を立ててどこかへとはじけ飛ぶ・・・。

勝負は決していた・・・。


タケルは、天叢雲剣をランスロットの脇へと振り下ろした状態・・・、

ランスロットはその手に、折れた紅の剣を構えたまま棒立ちに近い状態だ・・・。


長い・・・

とても長い時間が止まっていたかに思われたが、

実際は1~2秒だったのだろう、

城の固い石畳の上に、折れた紅の剣の剣先が落下して突き刺さった・・・!

 


そこにガラハッドの悲痛なる叫びが・・・!

 「兄さぁーんっ!!」

ランスロットの足元に大量の血液が落ちる・・・。

ほんの、数秒・・・、

ふたたび時間が凍った後、

湖の騎士ランスロットのカラダが地面へと崩れた・・・。


 勝った・・・!


タケルが勝てたのはほんの偶然・・・、

やっとみつけたわずかな隙・・・。

そこへ最後の力を振り絞って打ち込んだ一打・・・。

しかも、急所を辛うじてだが避けることもできた・・・。

 これで戦いが終わるのか・・・。


ようやく勝利の実感をつかみ始めたタケルに、

援軍スサからの大歓声がそれを確かなものと感じさせる。

あとは、ランスロットの降服宣言を聞けばいい。

それで全てが終わる・・・。

 




次回・・・ここに新たな人物が。

「アーサー」

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