表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
435/676

緒沢タケル編5 騎士団戦最終章 語られない物語~剛勇の騎士ガワンその3

 

頬の筋肉も寸断されているのだろう、

ガワンは顔面をこわばらせながら口を開く。

 「お・・・恐ろしい・・・タケルよ、

 お前は恐ろしい男だ!

 太陽の下で、この私がここまでされるとは・・・。

 再認識したぞ・・・!

 お前はやはりこの世にあってはならない者だ!!」


その右腕は無残な姿になっている。

胸の傷は内臓まで達していないのか、致命傷ではないのだろうが、

どっちにしろこれ以上、戦えるわけもない。

 「ガワン! ・・・言いてぇことはそれだけかよ!

 命が助かったんなら降服しろ!

 お前らの狂信にこれ以上、オレはつきあうつもりもない。

 助かった命、大事にしやがれ!」

 「ふ・・・フン、

 自分がヒーローにでもなったつもりか?

 おめでたい奴め!

 確かに貴様の精神は立派なのかも知れん、

 日浦が称賛したようにな・・・!」

 「またかよ、

 ・・・そんなもんは知らねーが、オレは姉貴の意志を継ぐ!

 お前らを止めるってな!!

 無駄に命を奪いたくねーんだよっ!」

 

だが、そんな言葉にガワンは興味などない。

 「お前や、緒沢美香は尊敬に値する・・・。

 だが、お前らは自分たちのカラダに流れる邪神の血を知らなさすぎる・・・。」

 「ああ!?

 スサノヲとかポセイドンのことかぁ!?

 そんな伝説にかまってられるかぁっ!?」

 「スサノヲ? ポセイドン?

 ・・・ふん、そんなデタラメを信じているのか・・・、

 いや、スサノヲやポセイドンの神話そのものがデタラメなんだろうが・・・。」

 「・・・何を言っている・・・?

 この期に及んで何を言い出す、ガワン!!」

別にそんな大昔のお伽噺など信じているわけでもないが、

そこを否定しても話が逸れてゆくだけなので、タケルはガワンの言葉の続きを促さざるを得ない。

 

 「・・・よく聞け、緒沢タケル・・・!

 お前らの副官カール・サルペドンは否定するだろうが、

 お前達の崇めるモノの本当の正体は・・・、

 人間にとって神などと言える存在ではない!!

 遠い昔、大いなる神に逆らい、

 この世に暗黒をもたらした破壊の邪神!!

 だからこそ神はその裁きを与え、地獄の底に封じ込めたのだ!!

 ・・・言うに事欠いて、その暗黒の邪神を復活させる?

 そんな事は神の使命を体現するこの我らが許すわけにはいかん!!

 例え、このカラダが朽ちようとも・・・!」

 

 ボタッ、ボタッ・・・!


相変わらずガワンの出血はやまない。

このまま戦闘を続けたら、間違いなく出血多量で死にいたるだろう。

ガワンの言葉を真に受けるタケルではないが、

このままガワンが引き下がらないこと・・・。

それだけは完全に理解できた。


 ・・・どうする。

 残った左腕も破壊すべきか・・・。

 だがそこまでして生きながらえさせることに意味はあるのか・・・?

 ダメだ・・・!


命を奪うことなく、この男を戦闘不能にさせることなど・・・。

タケルは最後の言葉に望みを託す。

 「あのなぁ、お前の盲信なんか知らねーってんだよ。

 みんなにゃ悪いけどスサの教義もな!

 ・・・分かってるのは、次の一撃でお前は死ぬぞ?

 もうこれ以上、争っても無駄だってのがわからねーか?」

 

 「フ、そんな戯言こそ無駄だ・・・。

 私の意志はわかったか?

 お前を倒せないなら、ここで私は死を選ぶ。

 ウーサー様やケイの後を追う・・・、それだけだ。」


 「・・・~っ!!」


タケルは首を振って最後の攻撃に出た!

もう片腕同然のガワンに、斧を振り上げるスピードはない。

隙だらけだ、

一気にその胸を突いて全てを終わらす・・・!

それがタケルの選択・・・。


 ドガッ・・・


ガワンの左胸に天叢雲剣が突き刺さる・・・。

間違いなく致命傷だ。

ガワンは両腕を振り上げたまま固まっている・・・。

誰もがタケルの勝利を確信した・・・

たった一人、


 ガ ワ ン を 除 い て!

 




 「なっ!?」

剣が抜けない!!

既にガワンの目は遠いところに行っている・・・。

だが!

その両腕はゆっくり・・・

最後の力を込めて動き始めたのだ・・・。


 「ふっ、いつか・・・誰かが言っていたな・・・。

 午後の明るい日差しの中で、私の胸が剣によって貫かれると・・・。

 その予言は当たりだが・・・ここから先は・・・。」


まずい!

頭上はルドラの兜が保護しているものの、

この巨大な斧を振り下ろされれば首や頸骨が破壊される恐れがある。

また、軌道を逸らす余裕がガワンにあれば、

首と鎖骨のわずかな隙を狙って・・・!


再びタケルの生存本能が・・・

 


 剣を手放す?

 ・・・斧のリーチは長い・・・逃げられない!

 このまま突っ込む・・・!

 それでもガワンの斧は止まらない!

 一か八かで天叢雲剣を発動・・・間に合うわけがない・・・!

 ならば、ここは真っ向、受け止めるだけだ!!


すんでの所で、タケルはガワンの左手首を掴むことに成功する!

斧は兜の角部分にあたったが、ギリギリでダメージは喰らわない!

・・・ここは最後の力比べだ!

ガワンの左腕+大斧!

タケルは右腕のみで・・・!


しかしもはや瀕死の筈のガワンに、何故ここまでの力が!?

生命力すらも太陽の下で倍加しているというのか?

それとも、これこそガワンの本当の強さなのだろうか!?

だが・・・タケルも引くわけになど行かないのだ!!


 「お お お お おっ!!」

 「ヌゥゥゥウウウウッ!!」

 

 

力の均衡は続く・・・!

だが次第にガワンのカラダに変化が・・・。

当たり前だ、

いくら生命力があろうと、

血を流し続け、臓器を破壊されて・・・、

だが、一瞬でもタケルが油断すれば、

ガワンは必殺の一撃を繰り出すことは、タケル自身よくわかっていた。

・・・ならば。

左腕に勁を溜め込む・・・。

一秒もいらない、

その意志さえあればカラダの中で勁を循環させることが可能だからだ。

最後の呼吸でエネルギーを準備させ、

刹那のタイミングで左手の剣を手放し、ガワンのみぞおちにその手をあてがう。

右手には全力を込めたままだが、この分業は可能だ!

それがタケルの恐ろしさの一つなのである。

まさしく戦いごとに進化していく・・・。

 


 

 「フンッ!!」

タケルの放った波動は津波のようにガワンの全身に拡がった!!

全ての体組織が一瞬、活動を停止する!

その瞬間、タケルは右腕をも放し、

クルリと反転、振り向きざまに今一度、天叢雲剣を両手で握りしめる。

 「らあああああッ!!」

ガワンの全身の筋肉は弛緩したまま・・・。

一気に引き抜いた剣を大上段に構え、

タケルの最後の一振り・・・!!




そして、

ガワンの巨体はゆっくりと地上に沈む・・・。


ついに・・・過去の騎士団において、

その華やかな戦歴の殆どに名を連ねて活躍した最強の騎士・・・

ガワンがその命をここに閉じたのだ・・・。


 そして舞台は最後の決戦場・・・古城アヴァロンへ・・・。

 


カーリー先生のドヤ顔。



そしてダイジェスト版は次回で最後。

最終決戦は手抜き無しで行きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRoid版メリーさん幻夢バージョン
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ