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緒沢タケル編5 騎士団戦最終章 タケル怒られる

今回、初登場のアベ先生。

タケル負傷時には時々、物語に出てきます。


あの戦いから三日が過ぎていた・・・。

カラダのアチコチに包帯を巻きつけながら、

それでもタケルは鎧をつけつつ、スサの訓練場にいた。

目の前には剣術指南役の白鳥亮がいる。


 「・・・そんで、いいんだな、タケル・・・。」

 「はい、お願いします!

 どうせ、この鎧に打ち込まれるなら怪我には影響しませんし・・・。」

 「・・・よし・・・。」


しばらく緊張した時間が続くが、

白鳥亮が一気にその間合いを詰めよった!!

右肩に切りかかると見せて、左の肩あてに強烈な一撃が見舞われる!!

 バチィッ!!

 

ちなみに勿論、竹刀を使っている。

タケルは「湖の騎士」ランスロットとの敗戦で、

もっと自分が強くなるべきだと考えていた。

このままでは勝てない・・・。

もっと・・・もっと強くならないと・・・。


 「どうだ?」

 「はい、ギリギリで太刀筋は見えました・・・、

 だけど、やはり兜をかぶったままじゃ、視界が限られるのが痛いですね・・・。」

白鳥はそれはもっともだと思う反面、

違うことも気にかかる・・・。

 「あ、ああ、それは仕方ないな、

 その分、ダメージを減らす効果を選ぶかどうかだからな、

 ・・・だが、それより・・・、

 タケル、オレの剣はランスロットのそれと比較してどうなんだ?」


もちろん、それはタケルも真っ先に感じたことだ・・・。

いや、気を遣ってもしょうがない、

美香ですら、白鳥をコテンパンにしていた。

ここは姉を倣おう・・・。

 

 

 「・・・はい、すいません、

 ランスロットの剣は見ることすらできませんでした。

 全力で打ち込んだ太刀筋を途中で切り替えるなんて・・・、

 しかも正確に狙ったところに打ち込める技術は、

 白鳥さんも同等だとは思いますが、

 スピードに差がありすぎる・・・。」

 「・・・・・・。」


白鳥は己の無力さを思い知る・・・。

男子学生界では敵なし・百年に一人の逸材ともてはやされたところで、

上には上がいる。

ランスロットが、年上であることや、

実戦経験者であることは考慮しつつもショックは大きい。

いや・・・今は自分のことよりも・・・。

 「だが、タケル、そうマイナス面ばかり強調するのもどうかと思うぞ、

 あの時のお前は、全身ボロボロだったんだろ?

 それで反応が遅れたのもあるんじゃないか?

 あと、もう一度立ち会った時、

 ヤツの太刀筋を予測することもできるのだから・・・。」

 「いえ! それらは全て踏まえてます!

 反応できなかったことと、

 見ることすらできなかった差は大きいです!!」

 


もともと、タケルは剣術に絶対の自信を持っているわけではない。

中国拳法を学び、体術や運動能力は誰にも負けない自信をつけていたが、

剣を持った戦いとなると・・・。


 「じゃあ・・・タケル・・・、

 美香と・・・彼女と比べたら・・・?」

タケルは一度白鳥に視線をあわせるが、

すぐに顔を見上げ考え込む・・・。


 美香姉ぇと稽古したのはいつが最後だ・・・? 

 中学生?

 家では、箒とかスリッパではたかれる事はしょっちゅうだったが、

 そんな事ではもちろん比べられない・・・。

 ・・・ていうか、

 今、冷静に考えても、なんであんなに手が早いんだ、美香姉ぇは・・・?

 いや! そんな事はどうでもいい!

 「・・・どうですかね、

 あの時より、美香姉ぇも上達してたろうし・・・、

 何より、白鳥さん、姉貴の本気って見たことあります?」

 

 

勿論、常にひたむきな美香が、

試合で手を抜くことはない。

だが、それはあくまでも剣道の勝負内での話だ。

緒沢家の秘剣を使うこともないし、

何より大会そのものにほとんど出ないように努めていたのだ。

理由は簡単だ。

男子学生チャンピオン白鳥亮でさえ歯が立たないその技術で、

女子の大会に出てしまったら、

どんな大会だろうが彼女ひとりで話題をかっさらってしまう。

スサ総代の立場である彼女が、

そんな全国的に名前を広めるわけにもいかなかった。

故に彼女の本当の腕を知る者は限られたものだけ・・・。

白鳥亮でさえも・・・。

 「・・・タケル、

 恐ろしいことを言うな・・・、

 確かに彼女と練習してて、アイツが手を抜いてるようにも見えないが・・・、

 じゃあ本気で全力を出してたかと言うと・・・。」

 

 

タケルは自分の記憶を思い起こす。

 「騎士団の・・・

 日浦さんは、美香姉ぇとランスロットの腕を知っていた・・・。

 その上で美香姉ぇの方が上だと言ってたらしいんです・・・。」

 「そいつが何で美香の腕前を知ってるんだろうな・・・?

 どこかで彼女がその腕を見せたことがあったのか?」

 「さぁ・・・?

 もう二人ともいませんしね・・・、

 とにかく、姉貴がそこまでの腕前だと言うなら、

 オレもそれに追いつけない事はないと思うんですよ、

 問題は時間が限られているということ・・・。

 お願いします、白鳥さん。

 協力してください・・・!」

 「タケル、勿論だ、

 だが、オレはお前に聞きたいことがある。

 お前、中国拳法じゃ敵なしなんだろう?

 こないだの亜細亜支部支部長との戦いにも拳法で勝ったんだろう?

 同じ考え方をすることはできないのか?

 相手の攻撃を読むという点では、

 拳と剣の違いがそんなに大きいことか?」

 

タケルの目からウロコが落ちる。

 あ・・・

 そういやそうだ。

敵の攻撃を受けるという点では、

それに触れることのできない剣や刀では確かに違いがあるが、

見るだけなら・・・。

 「・・・そうか、

 そういやそうっすね!?

 ダメだ、オレ剣道へのコンプレックスあったから別なものとして考えすぎていた・・・。

 そうだ、

 剣先を見ようとする必要はないんだ、

 相手の視線やカラダ全体の動き・・・、

 そして気の流れが読めれば・・・、

 そうだ、それを忘れていた!!

 白鳥さん、ありがとうございます!!

 ・・・あの、もう一度さっきのを!!」

 

 

その時、訓練室のドアが開いた。

4人の男女がそこにいる。

サルペドン、マリア、ダイアナ、

そして白衣に眼鏡をかけたアフリカンなアフロの中年医師、アベ先生。


 「・・・タ・・・タケル君!!

 き・・・君はここで何を・・・!?」

 「 ・・・ あ ・・・。」

 「あ、じゃありません!!

 君は全身の骨にヒビが入って2週間は安静と言ったでしょう!!

 そんな鎧まで着て何をしてるんですか!!」


スサ内部の人間は、

外人だろうが全員、日本語は堪能だ。

多少のイントネーションの違いはあるが、みんなベラベラなのである。


 「あ、ごめんなさい、アベ先生!

 ・・・でもじっとしてらんなくて・・・!」

 「ちょっと、ダイアナさん、手伝ってください!

 ホラ早く、病室に!!

 それと『阿部』じゃありません!

 私の名前のアクセントは『あ』に来るんです!」


文章だとわかりづらいが、

サッカーのペレとかマラソンのアベベとかと同様の発音をしてほしいらしい。

変なとこにこだわる先生だ。

 

一時の休息です。

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