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緒沢タケル編5 騎士団戦最終章 裏切りの騎士

 

 「お・・・お前・・・!

 モードレイユ!?

 こ・・・これは一体どういうマネだ!?」


だがモードレイユと呼ばれた男は、

動じず無言で二発目の弾丸を発射する。


 「ぐぁっ!!」

ランスロットがアスファルトの地面に崩れ落ちた・・・。

今度は左足を撃ち抜かれてしまったようだ・・・。

モードレイユは、ランスロットの乗ってきたエアバイクに近寄ると、

そのコントロールパネルをチェックしている。

通信機器がONになっていないのを確かめているらしい。


もちろん、タケルには何が何だかわからない。

 ランスロットに名前を呼ばれたからには、こいつは騎士団の男?

 なんでオレを助けるんだ?


タケルはもはや、

新たに現れた男に眼を奪われるが、

逆にモードレイユはタケルを一瞥したかと思うと、

興味なさげに視線をランスロットに戻した。

 


 

・・・そのランスロットは前髪を道路に垂らせたまま、

モードレイユを睨みつけている・・・。

 「モードレイユ・・・、

 貴様、まさか・・・!」


そしてようやくその男は口を開いたのだ・・・。

 「人間を滅ぼす・・・?

 騎士団が地球を救う?

 バカ言うなよ、ランスロット・・・。

 そんなガキの戯言に誰が付き合うってんだよ・・・。」

 「な・・・なんだとぉっ!?」

それまで冷静だったランスロットが激高する。

・・・仲間に背後から撃たれれば当然かもしれないが・・・。


少しだけ光が見えたかもしれないタケルだが、

次に放ったモードレイユの言葉が、

再びタケルの心を警戒させた。


 「・・・人間をこの地上から消してどうしようってんだ・・・。

 いいか、ランスロット!

 人間はな、滅ぼすんじゃない・・・!

 飼いならせばいいんだよっ!!」

 


もちろんランスロットも、

こんな若造に言わせっ放しにさせはしない。

 「貴様、ふざけるな!

 そんなことは円卓会議でさんざん激論しあっただろうっ!

 お前もやむなく賛成したはずだ!

 それも・・・

 会議中に今みたいな主張など、いつお前の口から出たっ!?」

 「そぉりゃあそうさ・・・。

 あのメンツで、オレみたいな新参者の意見なんか聞きゃしねーだろ?

 ウーサー叔父さんもイッちゃってたっしなぁ・・・。

 まぁ唯一、甘ちゃんの日浦義純がまっとうな事、言ってたけどさ、

 長年騎士団に貢献してきた筈の、

 アイツの反論すら、お前らは否定しやがったよなあっ・・・!?」


 この男は騎士団の裏切り者?

 そ・・・それはわかる。

そして騎士団の今度の決定に、

この男は従うつもりがない・・・

という事まではタケルにもわかった。

だが・・・それは自分やスサにとって、

好ましい事態と言えるのか・・・?


一方、反撃を試みようとしたランスロットに更に三発目の銃弾が・・・。

 「グァッ!!」

 

今度は右足首だ・・・。

 「調子に乗るなよ、ランスロット!

 いくら強いと言ったって・・・

 いくら力があるからって何をしていいわけでもない、

 どんな状況でも勝手に振舞えるわけもない!

 お前らが・・・、

 お前らが他人の命を選べる道理なんかどこにもないんだッ!!」


 「モ・・・モードレイユ、

 なら貴様はどうするつもりだっ!

 この騎士団を裏切り・・・、

 スサに寝返るとでも言うのか!?

 だが・・・スサとて何もできまいっ!

 この腐った世界を指をくわえて見ているだけしかっ!!」

 「はぁ~ん?

 誰が騎士団を裏切るっつったよ?

 オレはこのままだぜ?

 世界を変えたいんだろう?

 だったらもっと効率がいい方法があるってことだよ。

 知りたいか?

 ランスロット、おまえさえいなけりゃ、この騎士団なんてバカの集まりさ、

 ちゃーんとオレがコントロールしてやる、

 ・・・全くいいチャンスを作ってくれたぜ、

 計画を実行に移すのはもう少し先かと思ったんだが、

 そこで寝そべってるタケル君もいい活躍をしてくれたよ。」

 


そこで初めて、モードレイユはタケルに向かって声をかけた。

 「・・・まぁ、そういうわけさ。

 オレもあんたには別に恨みもないんだ。

 オレに攻撃しようなんて思わないでくれよ?

 ・・・まぁ、そのケガはランスロットより重傷だろうけどな・・・。」


そこでタケルが興奮する。

だが、もはやその声は弱々しい・・・。

 「ちょ・・・ちょっと待てよ!

 なら・・・お前、モードレイユって言ったか?

 何がしてーんだ?

 ここでランスロットを消すってーのか?

 なら・・・なんだ?

 後で騎士団にばれないよう、オレに黙っておいてくれとでも・・・言うのか?」


そこまで聞いて、突然モードレイユが愉快そうに噴き出した。

 「・・・プ、フハハハハッ! 

 な、何言ってんの?

 い、いや、悪い悪い、

 けど、ウハハ、そ、そんな夢物語あるわけねーだろ!

 ハハ、安心しろよ、あー、腹イテーっ・・・ 

 いま説明するからな?

 いや何、タケル君、オレは君に最高の戦果をくれてやろうってのさ。」


 「あ?」 

とりあえず馬鹿にされたことはタケルにも分かった。

普通なら凶悪フェイスでビビらしてやりたいところだが、そんな体力は残っていない。 


 「そう、つまりタケル君、

 ランスロットを倒したのは君の功績にしてあげるっ、てこと・・・。

 なに? ちょっとは君も考えたことを実行するだけだよ?

 さっき、飛び道具でもあればとでも思ったんじゃないか?

 つまりね?

 このオレに撃墜された緒沢タケルは、

 さらに最強の騎士ランスロットに追撃され絶体絶命。

 ところが、止めを刺しに不用意に近づいたランスロットに、

 なんと君は隠し持っていた銃で反撃・・・。

 油断していたランスロットは命を失う。

 そこへ駆けつけたこのオレが、騎士団本部長の仇を取ったって寸法さ。」


 「な・・・!?」

 「なんだとぉっ・・・!!」

それはタケル、ランスロットどちらもほぼ同時にでた反応だ。

モードレイユはさらに続ける。

 


 

 「その結果、どうなる?

 オレの地位は上がり、

 ・・・そうだな?

 オレの母さんは日本人だったから・・・、

 この後、直接この辺りを任されることになるかもしれないな?

 まぁ、そのままスサを叩き潰してやるよ、

 いや、有益な奴らなら、スサのメンバーは生かしたほうがいい。」


話の途中のようだが、ランスロットは構わない。

 「馬鹿を言え!

 貴様の考えの方がファンタジーだっ!

 会議で言ったはずだ!

 我らの人数では、戦うことはできても、国や人々を治めることは不可能だ!

 第一、オレ達に同胞や家族を殺された者たちが、そう易々と従うわけがないだろうっ!!」


モードレイユは呆れたように溜め息をつく。

 「・・・あのな、よく考えろ、ランスロット?

 世界中の人々を殺したのは・・・騎士団なのか?」


 ・・・はぁ?

 何を言い出したんだ?

 ・・・何をいまさら・・・。

 

タケルもランスロットも意味がわからない。

そこへ勝ち誇ったようにモードレイユが笑みを浮かべる。

 「この軍事進攻を証言してるのはウーサー叔父さんただ一人さ・・・。

 まぁ、世界の首脳や軍部は当然知ってるだろうが、

 一般人は騎士団の存在なんて知りもしない。

 どこの世界も同じだろ?

 勝てば官軍、

 負ければどんな崇高な理念を持っていたところで、邪悪の権化。

 ん? まだわからないか?

 スサはそこで初めて利用価値が出るってことさ。

 だからスサのみんなは、

 時が来るまで生かしておいてあげるよ。」


タケルはまだ飲み込めないが、

いち早く察した、ランスロットの次のセリフで彼も全てを理解した・・・。

 「モードレイユ・・・貴様・・・

 我らのやってきた事を・・・

 スサに全てなすりつけるつもりなのか・・・っ!?」

 



この章で描きたかったことはバトルシーンではありません。

それはもう少し先になります。


次回衝撃の事実が明らかに!


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