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緒沢タケル編4 スサ 美香の真実

 

サルペドンの主張は、タケルにも十分すぎるほど・・・

いや、誰の口から出ようとも関係ない。

すべきことは一つだけ・・・。


正直、タケルには古代の神の話などどうでもいいのだが、

これまでの何人かから聞いた話を総合すれば、

スサの行動原理・・・、

及び騎士団の行動原理は大まかに理解できたのは確かなことだろう。

・・・後は日浦義純のような、・・・各個人のと問題だ。

彼と・・・今後どう向き合うべきか・・・、いや、今はそれよりも・・・。


タケルは少し考え込んでから口を開く。

 「・・・あの、マリアさん、白鳥さん、それに・・・サルペドン。

 さっきも言ったけど、オレはやるよ・・・。

 騎士団を止めなきゃいけないのは、絶対だ。

 オレにできることならなんでもする。

 ・・・別にスサの総代なんかはどうでもいい。

 サルペドンが総代にふさわしいかどうかは、そっちで勝手に決めてくれよ。

 オレがここに来たのは、美香姉ぇを殺したのは誰か、

 まず、それをはっきりさせたかっただけだ。」

 

そしてサルペドン!

 「だからどうでもよくないのだ、バカめ!」

 「ああっ!?」


・・・また・・・ケンカごしに・・・。

 「タケル、いいか!?

 これまでスサがまとまってこれたのは、

 緒沢美香の能力とカリスマ・・・圧倒的な指導力があってのことだ。

 だから騎士団も我々に一目置いてきたのだ。

 彼女亡き今・・・、彼女の力に匹敵するだけの指導者を抱かぬ限り、

 我々に勝ち目はないのだよ・・・!」

 「ちょっと待てよ! 

 アンタがやれば話が早いんじゃないのか!?」

 「言ったろう、

 私にはその資格がない・・・!

 美香のような指導力もない・・・。」

 

 指導力がない?

 そんな風には見えねーぞ!?


そこへマリアが再び話に加わった・・・。

 「タケルさん、今のサルペドンの話が・・・、

 彼が美香さんを襲う理由がないことの証になるのですよ・・・。」

 「な、なんでっ!?」

 「自分自身に厳しい戒めを与えていたのは、美香さんだけではありません。

 ・・・彼も同じです。

 他人から見れば謙虚なだけに見えるのかもしれませんが、

 サルペドンは自らを、このスサ・・・

 いえ、緒沢家に尽くす事を自分の責務と決めているのです。

 私から見ても、彼に指導者の素養は十分、備わっているとは思うのですが、

 もし緒沢家を排して、彼を無理矢理、総代にしてしまうのなら、

 きっと彼はこのスサから脱退してしまうでしょう。」


 「け、謙虚ぉ!?

 ・・・いや、それは、まぁいいか!

 緒沢家に尽くす・・・

 って、さっきの態度やオレへのセリフと全然違うじゃねーか!?」

 


 「あたりまえだ!

 今のお前が総代になったところで、

 ・・・それがスサや緒沢家の為になるのか!?」


・・・ようやくタケルにも全ての事情が飲み込めてきた。

つまり、カール・サルペドン・・・この男は・・・。


 「じゃ、じゃあ、いったいオレにどうしろってんだよ!?」

 「まだ、わからないのか?

 ・・・緒沢タケル、お前が成長すればいいだけだ・・・。

 お前の姉、緒沢美香に匹敵するぐらいにな・・・!」


タケルは口を開けない・・・。

マリアはふぅ、と溜め息をつく・・・。

彼女もいろいろ苦労が多いのだろう。

 「・・・ようやく、結論になりましたね・・・。

 一時はどうなることかと・・・。」


そして、サルペドンの止めのセリフ。

 「どうせ、この男は普通に言ったって、話半分でしか聞けないヤツだ。

 今は、美香を失った悲しみが大きすぎる。

 このぐらい、ガツンと言わないと自覚できないのさ・・・!」

 

 

しばらく会話に参加してなかった白鳥が目を剥いた。

 「えっ? 待ってくださいっ、

 今までのケンカ越しのやりとりは全部、やらせ・・・?」

その一言に、一番驚いたのはタケルだ。

 「ええっ!?」


マリアとサルペドンは・・・

サルペドンが笑うのは初めて見た・・・、

二人とも微笑を浮かべている。

 「言ったろう、お前の性格は把握している。

 美香からも、お前のことはさんざん聞かされていたしな。」

 「そ、・・・そんな。」

 「スサの仕事をしてない時の美香は、姉バカだよ、まさしく。

 タケル、お前が高校の空手大会で優勝したとか、

 北京の武術大会で日本人でありながら、対戦者を全員ノックアウトしたとか、

 それこそ、

 そこら辺の女子校生のように、飛び跳ねながらオレに自慢しにくるんだ。

 そんな美香の思いを・・・裏切るなよ・・・。」

 

 え?

 

 美香姉ぇがそんなマネを?

 オレの事で!?


タケルには美香のそんな姿を想像すらできない。

中学まで美香の剣術の足元にも及ばず、

逃げるように、素手で戦える武術を求めて必死に身につけた。

・・・その動機が美香には気に入らず、

各大会で優勝した時も、美香が手放しで喜んでくれた記憶などないのだ。

他人事のように、

「ふーん、良かったねぇ。」と、

感動の薄いお言葉をもらえるのみだった。


 いや、

 ・・・食いきれないほどのご馳走は作ってくれたかな・・・。

それだけでも十分、嬉しかったものなのだが・・・。

 

 「・・・オレ、

 本当に何も知らねーんじゃん・・・。」


たった一人の家族の事でさえも・・・。

 



次回、スサの主要スタッフの紹介になります。


まぁ騎士団編ではモブ扱いですので無理に覚えなくても構いません。


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