緒沢タケル編3 永遠の別れ 狂気の決定
先程ニュースで知りました。
フラアの生母の名前のアスタナシアに関してですが、
元ネタはウィグルのアスターナ古墳からと書きましたが、
カザフスタンの首都名がアスタナなんですね。
まあ、カザフとウィグルは言語学的に近似の筈です。
一応、このコメント書いたディジタリアス乱入の後書きにも追記しておきました。
それにしても新しい首都名、
ヌルスルタンて・・・。
デリヘルメリーさんの新しいお店かと・・・。
「日浦よ!」
テーブルの別の席から大きな声が飛んだ。
黒いスーツを着た中年男性・・・南欧支部支部長ケイだ・・・。
「・・・お前にそんな権限などあるとでも思っているのか!?」
「は、い、いえ、申し訳ありません・・・。
ですが推薦する資格は持っているはずです。
勿論、現段階でどうこう言うのは時期尚早だと思いますが、
皆様の考慮案件として、話を留保していただけないでしょうか?
まずはデータを・・・」
「必要ない・・・!」
日浦の右手から、
浅黒い肌の巨漢の男が、腕を組んだまま太い声をあげる。
騎士団最強と呼ばれる男・・・「太陽の騎士」ガワン。
そしてガワンは言葉をつなぐ。
「日浦よ、
お前がそこまで言うからにはなかなかの人材なのだろう。
だが、騎士団にスサの人間を入れることは罷りならぬ!」
「何故です!
彼は我々の敵にはなりません!
・・・ましてや、もしこれを機に、スサと協力関係を得られれば、
我々の活動もさらに行いやすくなるのですよ!?」
「フンっ・・・、
なるほどな、お前の考えそうなことだ・・・!
だがお前は物を知らな過ぎる・・・、
スサがどんなに危険な者達がわかっておらぬのだ!」
温厚な日浦も、ここまで自分の提案を批判されて気が昂ぶっている。
興奮して身を乗り出したところに、親友ライラックが助け舟を入れた。
「皆さん!
・・・そう頑なな態度を取る必要もないでしょう?
義純・・・お前もだ。
良いではないですか?
その・・・タケルとかいう男が、協力してくれそうだと言うなら協力してもらいましょう・・・。
彼らと衝突した時に、
思いがけず、我らに利する行動を取ってくれるかもしれないではないですか?
それまで、義純に責任を以って管理してもらう。
いかがですか?」
長身で、紅く柔らかい髪の持ち主ライラックの提案は、
日浦義純の本意とは大きくかけ離れた所にある。
だが、ライラックのそのアイデアは、
日浦のメンツを潰さない為である事は十分、理解できるし、
多分、これが一番現実的な方針ではあるのだろう。
・・・今はこれ以上の主張は得策ではない。
日浦は已む無く席に座った。
・・・議場は異様に静かだ。
発言しない者は頑なに沈黙を守っている。
そろそろ日浦も気づき始めてきた。
この異様な雰囲気は、
自分の突飛な発言のせいではないことに。
そういえば、ウーサーは重要な決定があると言っていた。
既にガワンやケイと言った古参は、当然その内容を知っているだろう。
また、騎士団長ランスロットや、
その弟ガラハッド、
そして、ウーサーの甥にあたるモードレイユも知っているのかもしれない・・・。
日浦は隣の席の、
色白の男に小声で囁いた・・・。
「イヴァン・・・
今日の最大案件について知ってるか?
オレはてっきりウーサー様のご子息の事だと思ってたんだが・・・。」
そして話しかけられたイヴァンは半ば呆れたような顔で言う・・・。
「・・・日浦・・・ホントに何も聞いていないのだな・・・。
まぁ無理もないか、
お前には決して承服できないような内容だしな・・・。
今は聞くな。
そう待たずとも、その話になるだろう・・・。」
そしてまさにこの後、
ウーサー・ペンドラゴンから、
日浦義純を地獄の苦しみへと誘う、騎士団狂気の決定がなされる。
そしてそれは、
まるで決壊するダムのように、世界を破滅への方向へと押し流してしまうのだ・・・。
会議・・・そして夕食の後、今回の集会は解散となる。
ウーサーも、
軍の最高のポストに就いているため長居はできない。
このまま少し休んだら、すぐにとんぼ返りだ。
・・・彼は自らの居室に向かう。
その部屋の重い扉を開くと、
そこには一人の侍女がちょうど紅茶をいれているところだった・・・。
「ウーサー様、お帰りなさいませ。
いま、暖かい紅茶が入ったところですわ。」
・・・数秒、間があったが、
いかついウーサーの顔が突然くしゃくしゃにゆがみ始めた。
「ベアトリチェ・・・!
おお、私のベアトリチェ!!」
なんとしたことか、
ウーサーは彼女の側まで駆け寄り、
いきなり膝をついた。
端から見たら、なんと情けなく見えることか。
さらに驚くべき事に、小柄なその侍女の、
白いストッキングで覆われた両の足に彼はしがみついたのだ。
「まぁ、ウ、ウーサー様っ?」
「私は・・・ついに、ああ、恐ろしい!
私はとんでもないことを・・・!
ベアトリチェ・・・
神は私をけしてお赦しにはならない・・・!!
私は地獄の業火に苛まされる!!
どうしたら・・・私はどうしたら良いのだ!?」
・・・最初は戸惑っていた侍女だが、
やがて彼女は自らの柔らかい太ももをウーサーの好きにさせ、
・・・優しく、
彼の頭を自分の下腹部に押し当てる。
「かわいそう・・・可哀想なウーサー様、
本当は心優しい貴方なのに、
誰も貴方の心の苦しみを理解してあげられないのですね?
この世界のために、たった一人でその苦しみを背負おうというのですね?
だいじょうぶ・・・
神様は貴方を裏切りませんわ・・・。
いいえ、もし神が貴方を裏切ったとしても、
騎士の方たちが貴方の元を離れようとも、
ウーサー様には・・・この私が側にいてさしあげますわ・・・。」
「おお・・・! ベアトリチェ!
私だけのかわいいベアトリチェ!!」
彼女は静かにウーサーの髪を梳く・・・、
透き通るような顔を妖しげに微笑ませて・・・。
ベアトリチェ・メリー。
髪型やコスチュームは今後、変更するかもしれません。
そして次回更新より再び日本へ。
最期のシーンです。