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緒沢タケル編3 永遠の別れ アヴァロン城の円卓会議

 

・・・ここはイギリス・・・。

大きな湖に囲まれ、

孤島のように浮かぶ古城アヴァロン・・・。

英国空軍幕僚長ウーサー・ペンドラゴンの別荘でもある。

だが、この城の真の正体は、

一貴族の別荘などという温和なものではなく、

中世キリスト教系秘密結社に端を発する「騎士団」の総本部こそがその姿だ。

年に数回、招集がかかると、

世界各国に派遣されている騎士団各支部長がこの城へと集まってくる。

普段でも、

生え抜きの「騎士」や、その称号を持たないまでも、

多くの才能や技術を持った研究者や戦士たちが、この城の守りを固めているが、

各支部長クラスと言えば、彼らの中でもエリート中のエリートと言えよう。


城の玉座の階下には、

大きな広間・・・そしてそこにはとてつもなく大きい円卓・・・ラウンドテーブルが設置されている。

席の数は13・・・。

つい最近まで、

その席に座れる人間は12名までであったが、

「完全なる騎士」ガラハッドが最後の席に座った事により、

このテーブル自体も完全なる完成を迎えた事になる。

 

 

総司令官ウーサー・ペンドラゴンの元、

騎士団本部長「湖の騎士」ランスロット

「太陽の騎士」ガワン

「勇敢なる騎士」ケイ

「豪剣の騎士」ライラック

「獅子の騎士」イヴァン

「忠節の騎士」李袞りこん

「双剣の騎士」ベリン

「名誉ある騎士」モードレイユ

・・・など。


他にも騎士の称号を得ている者はいるが、

騎士団の中核を担うのは、この席に座れる者だけであり、

これとは別に長老会・・・、

騎士の資格を返上し、一線から退いた者からなる集まりもあるが、

そこには、ガワン、ケイの出席が許されている。


そして勿論、この緊急集会に、

「愚者の騎士」日浦義純もやってきた・・・。

 


 

もともと、久しぶりに会う仲間たちである。

本来なら、

互いの近況や世間話で花を咲かす所でもあるが、

騎士団の緊急招集は、

深刻な事態であったり、一刻を争う状況も考えられるため、

どうしても神妙な顔立ちになる。

全員が揃ったところで、

騎士団長・・・

ブロンドの長髪、ランスロットが開廷を告げる。

前髪は片目を隠すほどウェーブをかけながら垂らし、

決して長身でもなく、平均的な身長の彼は、

ゆったりとした白いシャツに皮のベストという出で立ちだ。

・・・これが騎士団最高の戦士と言われる「湖の騎士」である。


 「諸君・・・!」

ランスロットと入れ違いに、

熊をも思わせる大柄な体格の男、ウーサー・ペンドラゴンが立ち上がる。

 


 

その体格や背筋は、

まさに軍人のそれである。

このテーブルでは最も高齢である事も手伝ってか、威厳もたっぷりだ。

 「世界各地での諸君の活躍は、

 このアヴァロンにも毎日のように報告が届いている。

 騎士団を代表するものとして、私は諸君達を誇りに思う!

 ・・・さて、今回諸君を集めたのには、

 勿論重大な決議を行いたいからなのであるが、

 それは最後にしよう・・・!

 まずは、いつもどおり、

 各支部長からの発表を聞かせて欲しい。」


何人かの発表の後、

極東支部支部長、日浦義純の番となった。

彼は立ち上がって周りを見回す・・・。

 「極東支部の日浦です。

 ・・・詳細はお手元に配った資料をご覧頂たいのですが、

 先日、私達の部隊は、

 多国籍軍事産業『デミゴッド』の末端である製薬会社に侵入しました・・・。

 かねてからの内偵どおり、

 人身売買、人体改造、恐るべき人体実験の証拠を入手、

 結果、この研究所を破壊する事に成功しました・・・。」

 

 

笑みを浮かべたウーサーは誇らしげだ。

 「さすがは義純だ・・・、

 我々の期待以上の働きをしてくれる・・・!」

 「恐縮です・・・。

 最終的にどういう結果を招くかは、いくつかパターンを想定しましたが、

 日本国の混乱を招く必要もないと思いましたので、

 彼らの忌まわしい計画は、闇に葬る・・・、という方針を採りました・・・。」

 「フム?

 白日に晒す事は考慮しなかったと?」

 「その結果を恐れました・・・。

 もし、それがニュースとなれば、

 日本はとてつもないスキャンダルで、

 その影響により、政治経済ともに大変な事になります。

 ・・・そして今回、ある民間人の協力もありましたので、

 なるべく彼に精神的負担を与えたくなかった、というのも理由の一つです。」

 「民間人?」

 「はい、本部には報告してありますが、

 私の権限においてその人物を参加させました。

 ・・・民間人と言ってもその血統は注目に値するものです。

 事実、彼は、私でさえ真似できないような素晴らしい活躍を致しました。」

 


 

 「ほう、何者だね?」

 「我々騎士団の監視対象団体・・・

 『スサ』の総代緒沢美香の弟タケルです・・・!」


テーブルの各席からどよめきが起こる。

もちろん本部詰めの者など、既にこの連絡を受けていた者はいるが、

日浦同様、滅多に本部に立ち寄らない者には信じられない情報なのだ。


 「義純! 正気か!?

 よりにもよってスサの人間を我らのプロジェクトに参加させたのか!?」

 「ウーサー様! お待ち下さい。

 緒沢家の血筋ではありますが、彼は何も知りません!

 未だ何のイデオロギーも信仰にも染まっていないにも拘らず、

 彼の心には正義と慈愛があります!

 しかも、その戦闘センスは、

 今まで我々が認識していた実力を遙かに上回っているのです!

 もし彼が、騎士団の精神を理解できるのならば、

 彼は騎士団の重要な人材となるでしょう!」

 




過去に掲載した別の媒体では、

モードレイユの称号には別の名前を使ってましたが、

最近、新しい情報見つけましたので、ここからはこっちで。


・・・ライラックもなんかないかな・・・。

検索してもカードゲームのばっかりで・・・。


今回初掲はベリンかな。

イヴァンは「レディ メリー」の方で名前だけ出してますね。


なお「デミゴッド」の人体実験結果は、

「天使シリス」編で斐山優一君が嫌というほど相手にすることになります。

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