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緒沢タケル編3 永遠の別れ 天叢雲剣

30000PV達成しました。

皆様お読みいただきありがとうございます!

 

さて、自分の家なので当然なのだが、

白鳥亮は、段取り良く美香とタケルの世話を焼く。

 「じゃあ、美香ちゃん、

 とりあえず、荷物を・・・。」

 「ありがとう、

 でも必要ないわ、

 このまま着替えて道場に行くから。

 亮はタケルに着替え場所を案内してくれる?」

美香はかってしったるなんとやらか、

自分で更衣室へと向かった。

基本的に白鳥家に女性用更衣室なんてあるはずもない。

一つしかない更衣室を便宜上美香が使うだけだ。

・・・てことはタケルは・・・。

 「えーと、タケル、

 道場の脇に物置あるんだけど・・・

 そこで着替えてもらっていいかな?」

 「あー、どこでもいいっすよー、

 なんなら道場でも・・・。」

 「それはオレが許さん、

 そしてもし許したら美香ちゃんに二人とも怒られるな。」

 「そ、そっすね、すいません・・・。」


神聖なる道場だ、それは当たり前だろう。

タケルはあまりそういう事を気にする性格ではないので、いつも誰かに注意される。

 

白鳥も、

タケルがもはや剣道の世界にいる者ではないと分かっているので、

そこまできつく言うつもりもない。

そこで彼の興味は次に向かう。

 「まー、でもどうなんだい?

 オレは勿論ダメだけど、

 姉弟でも同じところで着替えるのにはやっぱ抵抗あるの?」

 「はぁ?

 まぁ、二人だけなら気にもしませんけど、

 一応、他所様のところですしねぇ?

 家んなかじゃ、オレなんか下着姿だけでうろつく事もあるし、

 姉貴も際どい格好の時もありますよ? 

 バスタオル一枚とか。」

 「ま・・・まじか!」

 「・・・あのっすねぇ?

 基本的に遺伝子一緒なんすから、

 嬉しくも何ともないすよ?

 オレだって、洗面台で顔洗ってる時、

 気がつくと自分の鏡に映った顔が、

 姉貴の顔に見える時があるぐらいなんですから。

 もちろん骨格や肉付きは違うけど、

 自分ら双子だと言われても驚きゃしませんよ。」

 「やっぱり姉弟ってそんなものかぁ・・・。」

そう言われてみると、白鳥にも思うところがある。

二人の姉弟は性格が正反対なせいか、

しばしば見られる彼らの表情に、なかなか共通点は見受けられないのだが、

久しぶりに会ったタケルは、かつての泣き虫とは別人のようだ。

 

さて、タケルは中国拳法用の、

麻が入った生成りの道着に着替え終わった。

下は黒のズボンで、靴は・・・拳法用のがあるが、剣道場には履いて入れない。

裸足で道場に上がる。

昔やってたように、一礼して中で待っていると、

すぐに白い袴に着替えた美香もやってきた。


・・・この姿を見るのは何年ぶりだろう?

凛々しい・・・という言葉が相応しい。

薄い化粧に短くそろえた黒髪は、誰しも魅了されるに違いない。

美香は竹刀も木刀も持たず、先ほどの長い箱を抱えたままだ。


 「・・・じゃあ美香ちゃん、オレは残念だけど・・・。」

 「ええ、ありがとう、亮・・・。

 それじゃあ、済んだら声をかけに行くね?」

 「ああ、ごゆっくり・・・、

 タケル・・・しっかりと覚えろよ・・・。」

白鳥はゆっくり扉を閉めると、屋敷の母屋へと向かう。

その気になれば各所にカメラをしかけて、

緒沢家の秘伝を盗み見ることも不可能ではないのだが、

彼も格式を重んじる昔ながらの人間だ、

そんなことまでして見たいとも思わない。

 

 

・・・今まで部外者であるタケルも、

その部分は気にもかかるところでもある。

 「・・・なぁ、美香姉ぇ、

 門外不出って言ってもさぁ、

 なんだかんだで他人の目に触れる事もあるんだろう?

 実際、お題目だけじゃねーの?」

 「そうね、・・・時代が時代だしね、

 現当主、緒沢美香としては、

 あまり神経質になることもないとは思っているわ。

 大体、これからあなたに見せる物は、

 見よう見まねでは決して真似できないものだから・・・。

 その分、タケル・・・

 生半可な気持ちでは覚えられないわよ?

 ・・・集中!」


言葉の最後に美香は大声を出した。

タケルの気持ちを引き締めるためだ。

美香の目が真剣そのものになっている・・・。

 「タケル、正座!」

号令をかけた美香も床に座る。

女性っぽい座り方でなく、膝を開き気味にした男っぽい座り方だ。

 

もちろん、その姿勢はタケルも同様が、

・・・この空気・・・タケルは苦手だ・・・。

遠い昔を思い出すから・・・。

いっつもぶたれて、打たれて痛い思いをして家路に着く。

今や、多少の痛みにはへこたれないが、

過去の記憶だけはどうしょうもない。


さて、美香とタケルは2メートルと離れてない場所に向き合って座っていたが、

美香は例の木箱の鍵を開ける・・・。

独特のかび臭い匂いがここまで匂う。

蓋をゆっくりと外すと、幾重にも和紙で包装された長い物体が現われた。

・・・中身はさっき、聞いた・・・

緒沢家のご神体の剣である。

美香の細い指が一枚ずつ、和紙を外す。

タケルの目も釘付けだ・・・。

そして、そこから現われたのは・・・


 これは!?

 

 

これはいつの時代のものだ!?

てっきりタケルは、

サビだらけの古臭い剣が出てくると思い込んでいた。

・・・とんでもない、

サビなど全くない。

まるで作られたばかりの、黄金に朱色が差し込んだ不思議な色合い・・・、

柄と刀身は一体化しているようだが、

柄に掘られた文様は、確かに神代を思わせる渦巻き文様・・・。

握りの部分がやけに長い・・・。

 これが・・・!


 「これが、緒沢家が代々伝えてきた神剣、草薙の剣・・・

 別名、天叢雲剣あまのむらくものつるぎと呼ばれている・・・。」


この剣から、何かを感じる・・・!

気のせいかもしれないが、

何か威圧感と言うかオーラのようなものというか・・・。

 「あまの・・・むらくものつるぎ?」

 「勿論、他言は無用、

 公には、愛知県の熱田宮にあることになっているんだから・・・。」

 「えええっ!?

 それがなんで緒沢家に!?」

 「こっちが本物・・・

 向こうは遠い昔にレプリカに変えられているわ。」

 



ついに神器

天叢雲剣登場です。

最初なので、正式に

あまのむらくものつるぎとルビ打ってますが、

長ったらしいのでこの後は


あまのむらくも と省略した呼び方になるでしょう。

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