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緒沢タケル編3 永遠の別れ ご神体

前回のあらすじ


白鳥さん

「ヒャッハーっ!

 ・・・てタケル お前オレの事をそんな目で・・・。」


タケル

「え、い、いや、似合いそうかなって思っただけで!」


 

美香がトイレに入っている間、

男二人っきりでの内緒話が始まる。

 「・・・いやぁ、ホント久しぶりだよなぁ、

 タケルも強そうになったし・・・。」

とは言いつつ、白鳥の口元は締りがない。

 「白鳥さん、

 姉貴とは今も、しょっちゅう会ってるんですか?」

 「・・・ん、まぁ、しょっちゅうでもないけど、

 たまに・・・でも、スサ絡みか大学の方だけで・・・。」

 「二人っきりでは?」

 「ないよ!」


少し、空気が重くなる。

タケルとしては姉の交際関係が気になる。

シスコンならば当然だ。


 「あの・・・白鳥さんって、

 姉貴とその・・・どこまでの関係・・・なんです?」

 「うううううう!

 想像できないかい? あのガードの固さを!」

 「白鳥さんでもダメなのか・・・? そうすっと・・・。」

 「むしろオレが聞きたいよ!

 タケル君、美香ちゃんには誰かもう、特定の人とかいるの・・・かい?」

 

 

 そんな事を言われてもなぁ・・・。

タケルには思い当たる人物は浮かばない。

 「いやぁ、想像もできねぇっす。

 時々、お誘いの電話はかかってくるみたいですけど・・・、

 大体はきっぱり断ってるみたいだし・・・。」

 「うーん、恋愛には興味ないのかなぁ・・・。」


その時、

タケルの頭に探偵、日浦義純の姿が浮かんだ。

特に根拠もあるわけでもないが・・・

 あの人はどうなんだろ?


 「年上の方が、いいんだろうけど・・・。」

 「えっ! それはどういう意味で・・・?」

と言ってる間に、美香が帰ってきた。

 「ごめんなさい、二人ともトイレ大丈夫?

 なら行きましょっか?

 亮、お願いね?」

 「お、おっけぇぇ! じゃあ行くとするかぁ!」

 


 

一行は緒沢家を出発する。

ここでもタケルはそわそわしっぱなしだ。

 これから何を見せられるんだろう・・・?

助手席には美香が座って、タケルは後ろの席だ。

まぁ、それはどうでもいい。


 「あのー白鳥さん・・・?」

後部座席からタケルが尋ねる。

 「ん? なに?」

 「白鳥さんも、スサの・・・人だったんですか?」


そう言われて、白鳥は一度、美香に目配せをする。

どこまで話をして良いものか、白鳥には判断できないからだ。

そこで後部座席を振り返ったのは美香だ。

 「スサは基本的に、各国または各民族の代表の氏族で構成されるから、

 亮は、正式にはスサの人間ではないの。

 ・・・でも、白鳥家は古くから、緒沢家と交流があった家だから、

 内情は通じているわ。

 現在はスサ剣術指南役、それが白鳥家の役割・・・。」

 

 

 「ふぅーん、いろいろ複雑そうなんだな・・・。

 ん? ってことは緒沢家の秘儀だかなんだかって話、白鳥さんには?」

 「・・・亮には見せられないの、

 普段は稽古をつけてもらったり、

 スサの若い人たちの修練に付き合ってもらってるわ。」

 「じゃあ、今日のも・・・。」

 「ほんとは、信州の旧緒沢家まで行ってもいいんだけど、

 大変でしょ?

 だから、今日は亮の道場を借りるだけ。

 ・・・それこそ向こう行ったら、あっちの人に挨拶したり、

 しきたりがいろいろあるから面倒なのよ・・・。」

 「なぁるほど、

 ・・・あ、そうか、そういや、美香姉ぇ、

 今日は久しぶりにそのネックレスかけてるな?」


美香の首元には、

ファッションとしてはおおよそ似つかわしくない、

大振りないぶし銀のネックレスがかけられている。

父親の形見なのだ・・・。

 


最近、ようやく真剣に考え始めたタケルは、

やっとそのネックレスの意味を知る。

 「これは、スサ総代の証だからね・・・。

 集会に行く時や、今日みたいな大事な日には必ず必要なのよ・・・。」


以前、タケルもそれに触った事はある・・・。

いぶし銀と言うか、光り方はむしろ鉛に近いようなのだが、

その硬さは鉛ではありえない。

きっと特別な合金なのだろう。

・・・そういえば・・・。


 「美香姉ぇ、

 そういえば、今日はそのごっつい箱も持ってきてるよな?

 それって、爺ちゃんの部屋で飾られてたヤツだろ?」

 「そうよ、中身は・・・タケルは見たことないわね?

 鍵がしっかりかけられているんだから・・・。」

 「ああ、何が入ってるんだ?

 緒沢家で昔から祀ってきた御神体だって聞いたけど?」


 

美香は膝の上に置いていた「それ」を、持ち上げて後ろのタケルに手渡す。

 「この形でわからない?」

いろいろな飾りや装飾があつらえてあるが、

この長さ、大きさは・・・。

 「刀・・・か!?」

 「惜しい! 剣よ・・・。

 国宝級・・・いえ、そんなものじゃ済まされないけどね、

 後で見せてあげる。」


さっきまでは無気力でいたタケルも、だんだん緊張の度合いを高めていく。

 真剣? それも国宝級以上?

 そんな宝があったのか、ウチの家!?


その後は、三人でとりとめもない会話をしながら、

車はやがて、古い塀で囲まれた大きな家、

武家屋敷を思わせるような古風な白鳥家に到着した。

 

 


ランディ

「あ? そのネックレス・・・。」

シャル爺さん

「どこかで見た気がするのう・・・。」


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