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緒沢タケル編2 タケルと愚者の騎士 証拠隠滅

次回でこの章は終わりです。


 「ぐぁっ!?」


日浦の右肩に激痛が走る!

二人が振り返ると、

扉に二、三人の白衣の男たちが立っている。

手には・・・拳銃!?


 「見られたからには・・・やむを得んな。」

話に熱中するあまり、

静かに扉が開かれた事に気づかなかったようだ。


 「扉のロックの解除音は聞こえなかった・・・ぞ!?」

痛みに耐える日浦の声に、

白衣の研究者達は静かに答える。

 「カードキーでなく通常の鍵を使えば音は立たんよ。

 ま、それよりもいろいろ聞きたいのはこっちなんだがね?」


この状態では、日浦もタケルも反撃できる術がない。

いくらタケルとて、拳銃の弾丸に敵う訳ないからだ。

 いったいどうしたら・・・?

もはや何の手も打ち出せないタケルは、

救いを求めるかのように日浦の顔を見つめる。

日浦は・・・。

 

 ?

日浦は笑っていた・・・この状況で!?

いったい、どんな脱出法が?


その時、

研究所内にけたたましいサイレンが鳴り響く。

どうやら、地上の警備員が目を覚ましたか、

交代の人間がシステムを作動させたようだ。

いや、ことによると、

今、拳銃を構えてる研究者が知らせたのかも・・・。

慌てふためくタケルだが、日浦は一向に動じない。

むしろ、さらに余裕の表情を浮かべているようにも見える。


暗がりのためか、

白衣の者達は日浦の表情は見えないのだろう、

サイレンの音にも無関心で質問を続ける。

 「キミ達は何者だ?

 喋らないならこのままもう一発撃ち抜く・・・。」

 「あ・・・、え・・・!」

タケルがしどろもどろになりかけたとき、

日浦はゆっくりとタケルを制した・・・。

 「僕らが何者かって?

 そんなことを聞いてる余裕が君らにあるのかい?」

 「・・・何を言っている?

 もう一発撃って欲しいか?」

 


 

その時、

タケルの耳に小さな音響と建物の振動が響いた・・・。

研究者達も気づいたようだ。

不審な顔をして天井を見上げる・・・。

それを見て日浦は笑い始めた。

 「はっはっは、警報装置を鳴らすとね、

 僕らの仲間が遠隔信号で敷地内のいたる所に爆発物を発火させる手はずなんだ、

 どうする?

 すぐに消防車や警察はもちろん、

 明日の朝にはマスコミも群がってくるけど?」

 「き、きっさま!?」

すぐに白衣の一人が部屋の外に出て行った、

何らかの対処をするつもりだろう。

そして、彼らの油断と、注意がそれたスキを見つけて日浦が懐に腕を忍ばせる!

 「ハァッ!!」

 「ぎゃあっ!!」

最初から想定内の展開だったのだろう。

拳銃を持つ白衣の男の腕に、

日浦が無事な方の手で飛ばしたナイフが突き刺さる!

 

彼らはあくまでも研究者、

少々、銃の扱いは習っているようだが、

しょせん素人なのだ。

 「後は頼むよ、タケル君!」

 「うっす!」


銃がなければ、怖くもなんともない。

タケルは目にも止まらぬ速さで白衣の者の持つ拳銃を蹴り飛ばした。

部屋の隅に拳銃が転がると、

巨体ですごむタケルの前に、彼らはパニックを起こして部屋から逃げ出してしまった。


何ともあっけない・・・。

 「日浦さん、この後はどうするんです?」

日浦は腕を押さえながら、最後のカメラを構えた。

何枚か写真に収めていたが、もう十分なのだろう。

 「長居は無用だな、さぁ、帰ろうか・・ 」

 


 ビィーッ! ビィーッ!!


突然、先ほどのものとは全く違うサイレンが鳴る。

続いてアナウンスが・・・。

 『緊急警報! 緊急警報! レベルD発令! 

 繰り返す! レベルD発令!

 所員は速やかに退避せよ!

 所員は速やかに退避せよ!!』


さしもの日浦も顔色が変わる。

 「やばい!

 最初に出て行ったヤツが何かやったな!?

 ここからすぐに出よう!!」

 「日浦さん、まさか退避って!?」

 「さすがに一流企業だな!

 秘密の漏洩にはさぞかし気をつかっているんだろう、

 証拠が流出する前に、全てを隠滅しようって事さ!」

 

 

二人は急いで部屋を出る!

その時、

大きな衝撃音と建物全体が揺らぐ。

エレベーターは上に昇ってしまっている・・・

ダメだ、反応もしない!

日浦が叫ぶ!

 「これは僕の仲間の爆破ではない!

 早く出よう、

 奴ら何もかも吹き飛ばすつもりだ!!」

 「えええええええっ!?」


タケルたちは非常階段を見つける・・・ここはロックされていなかった!

最初から?

それとも非常システムが作動すると、

ロックが外れるのか?

もはやそんな事の検証はどうでもいい!

それより断続的に悲劇的な破壊音が遠くから聞こえる。

地下5階・・・

ここから逃げ切れるのか!?


度重なる衝撃と振動によろめきながら地下3階まで昇ると、

階段はそこで途切れていた・・・。

二人は顔を見合わせ、ドアノブをまわす。

 


 

・・・爆発はここにも既に及んでいた。

フロアの他の部屋のドアから炎が吹き出ている。

どうやってここから脱出する?

 「日浦さん!?」

 「タケル君、落ち着いて・・・!

 地上への非常階段は直通でないだけで、

 このフロアの他の場所から通じているはずだ、

 急いでそこにたどり着ければ・・・。」


その時だ、

恐らく非常システムというより火災に反応したのだろう、

廊下にシャッターが降り始めた!

 「いけない! タケル君早く!!」

廊下の仕切りごとに次々シャッターが閉まっていく。

急がないと!!

二人は駆け足で閉まり始めるシャッターをかわして行く・・・!

 「あれだ! あそこに非常階段が!」

それは目の前だ!

 だが先にシャッターが・・・。


間に合わない!!

 


研究所所員

「ん? 建築基準法? 美味しいのそれ?」

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