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緒沢タケル編1 スサ

今日、焦った事実。


主人公の名前・・・

「緒沢タケル」で良かったんだっけ・・・?


確か最初「織」沢タケルだったような・・・?

全部パソコン打ちだから気づかなかったというか、気に留めてなかったというか・・・。

他媒体で一か所だけ「織」表記見つけたから直しといたけど・・・

他にもあったらどうしよう・・・。

 

タケルの背中に冷たいものが走る・・・。

日浦はゆっくり笑って、空気を変えようとした。

 「どこかで聞いた話だろ?」

 「・・・そうっすね・・・。

 ・・・なんか、ヤベェ話みたいっすね・・・。」


何がやばい話なのか、タケルはよくわかっていないが、

緒沢家の伝統に連なる事を、ちょっぴり自覚している彼には、

どうでもいい話には聞こえなかった。

日浦は話を続ける。

 「プラトンにはポセイドンがどうなったかは記述されていない、

 実際、どのギリシア神話を探しても、

 ポセイドンが大地の底に封じ込められたなんて話なんか存在しない。

 ・・・確かに明治には、スサノヲとポセイドンを比較する研究は日本でも沸きあがったが、

 それはあくまでも海の神としてだけなんだ。

 もっとも、スサノヲは父親のイザナギに命令されただけで、実際には統治していない。

 だから、一般的にはスサノヲとポセイドンに、共通点なんか見つけられないはずなんだけどね?」

 「・・・そうでしたっけか・・・。」

 

 

もうタケルに追いつける話ではなさそうだ。

後は相槌を打つしかないだろう。

日浦は気にしていないようだけど。

 「だけど話が拡大するのはこれからでね、

 その日本に来た学者は、世界中の同様の伝説を収集していたんだ。

 彼は既に世界中から特定のパターンの伝説を探し当て、

 それが神話ではなく、『実際に起きた事実を伝える物語』と考えたんだ。

 すなわち、


  遙かな大昔、この地上を支配していた巨大な力を有していた神、

  それが、他からやってきた新しい神々の大群に敗れる、

  そしてどこか、人間の目の触れないところで、永久的に閉じ込められ続ける、

  だが、いつの日かその戒めを解き、この地上に復活する、


 細かい点や内容は、それこそ各文化によって様々だが、

 この基本的な流れを伝説として今に伝える子孫達・・・、

 この日本では緒沢家がそれに該当する。

 その学者が行った決定的な事は、

 世界各国に散らばる、その同様の伝説を伝える者たちを一堂に引き合わせてしまったことなんだ。」

 「えっ? 世界中の? 明治時代に!?」

 

 「そう、勿論、世界情勢やそれぞれの都合もあるから、一遍にと言うわけではない。

 だが、そこから昭和初期に、

 第二次世界大戦の激動時代をも越え、

 もっとも色濃く伝説を伝える緒沢家を旗頭として、

 それこそ世界中の国々、政治的イデオロギーとか関係なく、

 決して日の目を見ることなく秘密裏に、

 現在緒沢美香が総代を務める『スサ』は発展してきたんだ。」


 「・・・信じられねぇ、

 いつの間にそんな・・・、

 だって何でそんな秘密にするんだ?」

 「世界中に散らばった子孫達が属する宗教文化では、

 この伝説そのものをタブーにしているところがほとんどだ・・・。

 しかも厄介な事に、彼らは国の王族だったり、有力な豪族であることが多いんだ。

 その彼らが、自国で主要な宗教に相容れない伝説をおおっぴらに伝えているなど、

 決して明らかに出来ることじゃない。

 ・・・考えてみるんだ。

 この日本は元々多神教だから、神様がいろいろいたって不思議でもなんでもない。

 だが、今や世界の殆どは厳格な一神教だ。

 『今、現在の神に敗れた過去の神が復活する』だなんて教義は、

 絶対に、どこの国や宗教でも認められることではないんだよ 。」

 

ようやくタケルにも話が飲み込めてきた。

 「あ・・・だから、日本のウチが選ばれた・・・のか?」


 「うん、それだけじゃあないんだろうけどね、

 その経緯は、本当は僕よりキミのお姉さんのほうが詳しいはずだ。

 ただ、話を進める上でキミに教えてしまったが、

 あまり、この話を僕から聞いたなんて、

 できれば美香ちゃんには言わないでくれると嬉しいんだけど・・・。

 怒られそうで・・・。」


タケルは思わず苦笑した。

この男と美香がどんな関係かは知らないが、

美香を怒らせたときの怖さは自分がよく知っている。

・・・この男もどこかで美香を怒らせたことがあるのだろうか?

 

 

 「・・・大体そこまでは理解できました。

 ・・・まぁ、確かに家督を継がないオレには関係ないとは思うんですけど・・・。」

タケルも今の若者だ。

怪しげな宗教や古臭い伝統など、うざいだけで興味なんかない。

ただ、「それ」を女性である美香に、

押し付けてしまう事へのうしろめたさがあるに過ぎない。

できれば姉にも、

そこら辺の女子大生同様、能天気に遊ばせてあげたい気持ちはあるのだ。

自分が、「緒沢家」の何もかもを受け継ぐのならそれは可能であろう。

だが、幼少時から常に神童と呼ばれた美香に比較され、

緒沢家を継ぐには「不適格」との烙印を押され続けたタケルには、

今更、その決定を跳ね除けるだけの覚悟も勇気も持っていなかった。

・・・むしろその伝統への反発心さえ持っていたのである。



・・・日浦は話を続ける。

 「うん、ここまでの話・・・、

 実際彼らの伝承が事実かどうかはどうでもいいし、気にしなくてもいい。

 ただ、そういった伝承を拠り所にして、

 緒沢家の下に多くのメンバーからなる一団ができあがったこと、

 それだけをまずは把握していてくれ。

 それで、ようやく本題なんだ。」

 

 「あ? は、はい!」

どうやら、ここからがこないだの襲撃事件の話のようだ。

一体、どんな展開になるのだろう。


 「結論から先に言うと、

 ・・・証拠も何もまだ見つかってない。」

 「あら?」

ガクンと上半身だけこけそうになるポーズを取るタケル。

ここら辺は茶目っ気というか、サービス精神旺盛な若さゆえのノリだろう。


 「申し訳ないね、それを調べている途中だったのさ、

 確たる証拠か、それに準じるだけのものでも見つかれば、

 ちゃんとキミのお姉さんに、

 直接、話をしようかとでも思っていたんだけど・・・。」

 「え? ちょっと待ってください?

 あなたは・・・日浦さんは探偵なんですよね?

 依頼主は姉貴なんですか?」


日浦はしばらく黙っていた・・・。

コーヒーを飲み干そうとしたが、もうカップは空のようである。

残念そうに、代わりにグラスの水を飲んだ。 

 




ポセイドンとスサノヲの共通項には、

三貴神、馬、牛・・・あたりもありますね。


それとこの先でいつか述べるでしょうが、

女神に対する恐ろしい事件を起こす事・・・。


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