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緒沢タケル編1 一掃

ぶっくま、ありがとうございます!


あれ?

配分間違えた?


今日はいつもより少し長めです。



そりゃあ、こんな大男に背後にまわられれば誰でも驚くであろう。

後ろめたい事をしていればなおさらだ。

タケルは、

今にも腰を抜かしそうな男を見据えながら、言葉をかけようとする。

 「おいおい?

 ウチに用があんなら、ちゃんと玄関から訪ねてくれ・・・あ?」


タケルは言葉に詰まった・・・。

相手の男は帽子を目深にかぶり、

顔も暗がりではっきりとは見えなかったのだが。


 「おまえ・・・日本人じゃ・・・」


その時、美香が大声をあげた。

 「タケル! 危ない!!」


逆の通り道からいきなり男が飛び出してきた!

手には刃物を握っている!

 「うおおおっ!?」

機敏な動きでタケルは反応!

すぐさま身をひねり、男の腕に自らの腕をあわせ、

それを支点に丸太のような後ろ蹴りを振りぬく!

・・・あたったが手ごたえは今ひとつだ・・・!

 

 直撃は避けられたか・・・!

だが、顔を見上げると、

いつの間にか、その場には数人のガラの悪そうな男たちが集まっている。


 「美香姉ェ!!」

そしてその内の何人かは、美香に向かって攻撃をかけようとしていたのだ!


しかし・・・

 「イヤァァッ!!」

美香はひるまない!

これも彼女の想定内なのだ。

目にも止まらぬ太刀捌きで、

あっという間にごろつきどもの刃物を木刀で叩き落していく!

暴漢達は自分達の目を疑わざるを得ない・・・!

それどころか、武器を失った者たちは、

自分の腕の激痛と驚愕に思わず後ずさる。

その間にタケルは美香の元へとたどり着いた。

 「美香姉ぇ、

 こいつら、日本人じゃねーぞ!?」

 「・・・みたいね?

 あなた、ケガしなかった!?」

 「なめんなぁ!?

 美香姉ぇ以外にオレを傷つけられるヤツなんていねーよ!」

 


 

暴漢達は一時、様子を窺っていたが、

恐らくリーダー格であろう、一人の男が何やら合図をかけた!

すぐさま、蜘蛛の子を散らしたように逃げ出すのを、タケルは追おうとする。


 「て、てめぇら! どこ行きやがる!!」

 「ダメ! 待ちなさい、タケル!!」

 「ああ!? 何で止めるんだよ!?」

 「他にも仲間がいるかもしれないわ!

 相手が車で襲ってきたりしたら!?

 もし、拳銃まで持っていたら!?

 考えなさい!!」


そこまで言われれば、さすがにタケルも追う勇気はない。

自動車にはねられたり、銃で撃たれて無事で済むわけもない。

そこらへんのチンピラならともかく、

得体の知れない外国人じゃあ・・・。


 「わ、わかったよ、

 じゃ、じゃあ家に入ろう、警察には!?」

 「・・・後で連絡するわ・・・。」


 ん?

頭の緩いタケルではあったが、

姉のその返答は理解できなかった・・・。

というか、

常に冷静・的確な判断を行う姉らしくないと思ったからだ。

 「後で!?

 今、すりゃあいいじゃねーか!!」


弟のその当然の質問に、

美香はすぐ答える事が出来なかった・・・。

いや、弟の目を見ることすらも。


 「美香姉ぇ・・・!?」

美香は無言で振り返って家の中に入ろうとする。

 「・・・おいおい!」


タケルが家の中に入ったところで、ようやく美香は口を開いた。

 「タケル・・・あなたの言うとおりだけど・・・、

 この件は・・・私に任せて!」


 「? ちょっと待った!

 ストーカーや変質者じゃねーんだろ?

 どういうことだ!?

 あいつらの心当たりあんのか!?

 また、襲ってきたらどうすんだよ!!」

 

美香は慎重に言葉を選ぶ。

 「・・・心当たりは・・・。」

 「あんのか・・・?」

 「でも、彼らは・・・。」

 「ああ・・・?」

 「私を狙ったのかしら・・・?

 それともあなたを狙っていたのかしら?

 タケル・・・あなたにも心当たりは?」

 「えっ・・・!」


そう言われると、タケルも身に覚えがないとはいえない。

これまで路上やクラブなどで、

外国人とトラブルになったこともないこともない。

この身長と強さだと、大体、相手をのしてしまうが、

同時に相手に深く自分を記憶されてしまうのである。


 「・・・でもなぁ、

 今の東南アジア系じゃねーかぁ・・・?

 オレ、米兵や黒人とケンカしたことはあるけど、

 あんまり、アッチ系とトラぶったことないぜぇ!?」


ほほう?

 「・・・随分派手にやってるのね、

 私の知らない所で?」

 「げぇっ! しまった!

 クチが滑った・・・。」

 「今はいいわ・・・、

 でも拳法関係の知り合いには・・・?」

 「タイ人はいるけど、そっちはみんな礼儀正しいぜ?

 あんな柄の悪い格好してるヤツもいないし・・・。」

 

 

そういえばそうだ・・・。

どちらかといえば、今夜襲ってきた奴らはチンピラかヤクザか・・・、

そんな雰囲気だった。

タケルも美香も全く心当たりはない。

いや、美香は「全く」ではないが・・・、

自分の考えに確信が持てない・・・。

それが彼女の正直な感想だったのだ。


 「私もあなたも心当たりがない、となると・・・。」

 「おう?」

 「物盗りだったのかしら?

 本当は盗みに入る下見をしてただけだったり・・・。」

 「あ~、それが一番、あたりっぽいなぁ?

 昔からの年代物がたくさんあんだろ、この家?」


今は物置同然となってるが、

死んだ祖父母の部屋には、緒沢家が古来から伝えてきた曰くありげな品物がたくさんある。

タケルには、価値があるかどうか判断もできないが、

素人にしてみれば、金目の物が眠っているようにも思えるのだろう、この家は。

 

 

美香は、

結局、今回に関しては、自分の考えは過剰なものと判断したようだ。

 「いいわ、わかった、

 今から警察に連絡するけど・・・、

 タケル、あなたも今日は大変ね・・・。

 大好きな警察の皆さんに何度も会えて?」

 「・・・ぐはっ。」


美香は警察に連絡した後、再び料理を続ける。

どうせ警察がやってきたら、また中断する事になるかもしれないが、

そうなると食事を取れるのがいつになるか、わかったもんじゃない。

今、やれることをやる・・・。

それが彼女のポリシーだ。

冷静かつ豪胆、

緒沢家現当主、美香の行動力・判断力は、

この年代の他の平均的な女性には及ぶべくもない。

タケルもいろいろ考えてはいるのだが、

どうしてもそれは、その場限りの神経質的なものになってしまう。


 

タケルは自分の荷物を片付けた後、

姉の料理の手伝いをすべく、キッチンに戻ってきた。

 「美香姉ぇ、手伝うよ。

 何からやる?」

 「あら、今夜はいいわよ?

 珍しくいいことしたご褒美に私が全部やってあげるから。

 座ってテレビでも見てたら?」

 「ええ~?

 いきなりそんなこと言われてもなぁ~!?」

 「ふふっ、落ち着かないって?

 ・・・ま、たまにはいいでしょ?」

 「じゃあ、・・・せっかくだから・・・、

 お膳立てだけしとく・・・。」

 「くすくす・・・あら?」

 「ん?」


先に違和感を覚えたのは美香だ。

何を見る・・・

というわけでもなく、キッチン全体を見渡す。


 グラッ・・・

揺れているのか?


 「・・・地震?」

 

 「お?

 ・・・ホントだ、 揺れてるな・・・。」


揺れているといっても、そんな大きいわけでもない。

家の外なら気づかない程度だろう。

二人はしばらく様子をうかがってたが、

これ以上揺れが大きくなりそうにないことを確かめると、

再び夕飯の仕度を再開した。

タケルは独り言でもつぶやくように口を開く。

 「・・・最近多いな、地震・・・

 関東大震災でも来るんかなぁ・・・?」


美香も鍋に追加の具材を入れながら、

タケルの言葉に応ずるかのように声を出す。

 「・・・怖いわね、

 この家、古そうだから・・・

 建物、潰れたらあたし達ペシャンコね・・・。」

 「やめて、美香姉ぇ・・・シャレにならん。」


そうこうしているうちに警察がやってきた。

料理はある程度出来上がっている。

あとは暖めなおして盛り付けるだけだ。

二人は警察を出迎える・・・。

その後は、特にトラブルや問題もなく今日も終わろうとしていた。

既に夜の10時を回っている。

 



タケルは気疲れしてしまってグッタリだ。

 「ふぅぅ、美香姉ぇ、先フロ入っていい?

 今日は疲れた・・・。」

 「いいわよ?

 それにしても、警察の人にも言われたけど・・・、

 この家、大きい割りに昼は誰もいないから不用心なのよねぇ?

 家政婦さんと言ったって・・・、ねぇ?」

 「今更だよなぁ?

 そりゃ、オレはヒマな時間の方が多いけど・・・。」

 「アンタは早く仕事、見つけなさい!

 ・・・一人ぐらい雇う金銭的余裕はあるけどねぇ・・・。」

 「ホームセキュリティのアルソッコムくらいでいいんじゃん?

 あ、家政婦さん雇うんだったら、素直で可愛い子でね!」


美香は呆れた様にため息を吐く。

 「アンタは家政婦さんの平均的な年齢を知ってるの?」

 「ああ、やっぱ・・・そうだよね・・・。」


ちなみにタケルの好みは、明るくて素直な子だ。

・・・まわりに「素直な子」とやらが、

いないからだけなのかもしれないけど・・・。

 


ベアトリチェ

「いま、私を呼ぶ声が聞こえましたの!!」


メアリ・ラヴゥ

「違うから。まだ出番早いから。

・・・ていうか、私は突っ込み担当じゃない・・・。」




今日の仕事交代する人間が

具合悪いとかで救急車運ばれた。


・・・仕事場から帰れない・・・



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