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フラア・ネフティス編3 追い詰められるフラア

 

ラシが都として栄え始めたろ、

既にその丘には、誰も立ち入ることができなくなっていた。

旧ウィグル王国時代の建物らしきことは、すぐに判断することができたのだが、

人が居住していた痕跡もないし、町としての機能もなさそうであった。

単純に「何らかの広く大きな施設」がそこにあったようなのである。

その遺跡の内部への入口はいくつか見受けられるが、

大量の土砂が侵食していたり、

入口が崩れる心配があったり、

大勢が入れるようなスペースもなかったりと、

調査の手が入ることはこれまでない。

若者たちが冒険心で中に入ることはできても、精々入り口付近まで・・・。

その奥へと足を踏み入れることはできなかった。


それは建物の安全性の話だけではない。

・・・奇妙な音・・・、

施設の中から聞こえる山鳴りの様な音・・・、

そして時として、内部に足を踏み入れた者から、

大量の人影を見たとの報告が為されたからだ。

 


もしかして聞こえてくる音は山鳴りではなく、

幽霊たちの恨みの声!?


この施設を探検してくると言って、

帰ってこれなかった人間もいたと言う。

そういった事実が膨らんで、

この施設は完全に近場の怪奇スポットとなった。

尾ひれがつくと、

かつてこの建物の中に閉じ込められ生き埋めにされたとか、

さもなくば、天変地異を鎮めるための人身御供では?

とか、もう・・・いろいろ。


フラアにしても、そういった噂は何度も聞いている。

当然、いつもなら恐ろしくてそんな場所には近寄りたくもないが、

今は、自分の身の寄せる場所はそこしかないという気もする。

拷問や死刑の心配に比べれば幽霊なんて・・・!


 やっぱり怖い・・・。

 




丘の中ほどまで登ってきただろうか?

幽霊の出る遺跡の怖さもあって、

一度、フラアは元来た道を振り返る・・・。

その時、彼女はまたもや衝撃を受ける事となった。


丘の中腹からは、

ラシの都が一望できるが、

今は夜なので、城壁付近の各所に焚かれてる篝火が唯一の光源である。

・・・もう、月も落ちてしまったし・・・。

ところが、

ラシの北門付近から、いくつもの篝火が連なって、

何とフラアのいる方角に向かってくるではないか?


 追手?

 でもどうして?

 まさかコーデリアに裏切られた!?

 


 何をバカな・・・

 裏切るも何も・・・例えそうだとして、

 元々彼女は・・・

 味方でもなかったじゃないか・・・。

 それとも、お兄ちゃんが捕まって口を割っちゃった?

 ・・・可能性はあるけども・・・。


すぐにフラアは自分の疑い深い考えを恥じてしまう。

 そうだ・・・

 ランプの明かりや・・・足跡が・・・。

 夜とはいえ、私の姿を目撃した人が他にもいるかもしれないし・・・。


どっちにしろ、行き先は変更しようもない。

追いつかれる前に遺跡の内部に入り込むのだ。

そうすれば、追手がやってきたって見つかることはないはずだ!

フラアは息を切らせて、あとひと踏ん張りだと自分に言い聞かせた。

心臓の高なりが激しくなる。

 でも進まなきゃ!




 早く・・・!

 はぁ、 はぁ・・・!

 早く ・・・遺跡の入口はどこ!?

 

追手に見られないように、

ランプはできるだけ体の陰に隠していたが、

何しろ暗くて、何度も躓く。

思うように歩くこともできない。

追手は遠慮なく松明を照らしているので、

追いかけてくるスピードが違う。

果たして逃げ切れるのだろうか?


この辺りには、

2、3年前に一度だけ来たことあるが、

結局、内部への道は見つけられなかった。

「ここはいけそうなのかな?」ってレベルの暗がりを見つけただけだが、

自分を含め、怖がりの女の子たちでは中に入れる筈もなかったのである。

 ・・・あれは確かこっちだったと思うけど・・・。


記憶を頼りに進むが、

考えてみるまでもなく、昔訪れたのは昼間である。

こんな真っ暗な夜では、どこに何があるのかすら記憶と合致しない。

何度も同じ場所をグルグル歩き続けて、フラアは一つの事実に気づく。

 

 

こないだの雨で、地面がところどころぬかるんでいるのだが、

・・・自分の足跡がモロに浮き出ているではないか?

追手の兵はこれを頼りに近づいているのか!?


では・・・せめて岩場を見つけるか・・・、

いや、足に泥がついてたら意味がない。

結局、内部への出入り口を見つけるしかないのだ。

フラアは今辿っているルートをあきらめ、上の方を見上げた。

崖のようになっている岩場がある。

草木も生えてるが、

一部登りやすそうな個所を見つけた。

 なんとか滑らずに登れる?


傾斜は意外ときつくなさそうだ・・・。

うまくいけば、足跡もごまかせるかもしれない・・・。

 


 

登っているのはいいのだが、スピードがもう全然遅い・・・。

何しろ体力も限界に近いのだ。

カラダの節々の痛みは完全に麻痺しているが、

きっと一度休めば、次にカラダを動かそうとする時、

自分のカラダをいかに痛めつけてしまったか、

まざまざと自覚出来るに違いない。

そうこうしてる内に下の方からザワザワと兵隊たちの声が聞こえてきた。

10人以上、いるのだろうか?

仮に、夜の闇にまぎれて隠れ続けることができるかもしれないが、

彼らが陽の登る時までここにいたら、あっという間にみつかってしまうだろう。

 まだ・・・もっと先に進まないと・・・!


もうフラアは、自分がどこを歩いているのか、完全に見失っている。

この辺りは、以前近づきもしなかったエリアだろう。

イタチやタヌキぐらい、この辺をうろつき回ることはあっても、

人間が通った形跡もなさそうだ。

 


 

その時、フラアの耳に大声が聞こえる。

 「おおーい!

 ここで足跡が切れてるぞ!!」

 「そんなバカな、どこにも行けないじゃないか?」

 「・・・まてよ? この上はどうだ?

 植物が邪魔して足跡はごまかせるぞ?」


兵隊たちが彼女に気づいた!

 こんなに早く!?

もはや、フラアは何も考えることすらできず、

恐怖と絶望で、フラフラよろめきながら、バランスを崩していく。


 ボコッ・・・





・・・その瞬間、彼女の足元が消失した・・・。

 「 え っ ! ? 」

激しい土砂の崩壊する音が、

フラアの足元から耳へと登っていく・・・!

いや、自分が地面の下へと吸い込まれていったのだ。

地盤の弱くなった地面は、

フラアを飲みこみ、彼女を遺跡の内部へと招待することになったのだ。

・・・今日、4回目の落下・・・!

 



https://www.nicovideo.jp/watch/sm34525430

ユニティちゃんライブステージにフラアや伊藤麻衣ちゃんをぶち込んでみました!!

衣装は仮のようなものですので気にしないでください。

もう一人は、まだ物語未登場の御神楽ルカちゃんです。

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