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フラア・ネフティス編3 取り調べ

 

肝心のフラア達がどうなったかだが、

当然のことながら、審問や監獄は家族全員バラバラの部屋に入れられた。

審問所は常時30人までは拘留することができ、

一つの区画に4~5名ほど、ぶち込まれている。

一応、区画ごとに男女は分けられてはいるが、

建物自体、それほど大きなものでないので、

大声でも出せば互いの存在を確認することはできるだろう。

もっとも、

そんな事をすればたちまち看守に暴力という懲罰を与えられる・・・。


審問所の真下には、野球場の広さほどの庭があり、

周りは金網で囲まれている。

内側には仰々しき演台や何本かの柱が忽然と立っている。

それが何なのかは説明しなくてもわかるだろう。

この王都ラシに住む者は誰でも知っている・・・。

ここは公開審判所となり、

その時には一般市民も自由に立ち入れるようになるのだ。

そう、

それは魔女と認定された者たちを処刑する儀式の時に他ならない。

 

そして・・・

この審問所の独房に連れてこられた時点で、

その人間が生きてここから出られるのは、

確率にしてわずか15%程なのだ。

教会関係者に特別なコネがある者、

賄賂・浄財・・・

名目は何でもいいが、特別な寄進を行える財力を持つ者などがそれにあたる。

それ以外の者は、

まず間違いなく、眼下の刑場の柱で磔となるのだ。

勿論、ラシで中流以下階級のネフティス家は後者に属する。


この審問所では、

魔女の疑いのある者たちから証拠を引き出すために造られているが、

簡単に言えば拷問で彼女たちの口を割らすのが目的だ。

そこに真実などありはしない。

教会の上級職に就く者が、

小難しくでっち上げたストーリーに合う答えを、

審問吏が「あらゆる」手段を使って被疑者から引き出すのが、

この館の本来の目的なのである。

 

・・・そして予想されることとは思うが、

その職員に女性などはいない・・・。

 


 

審問室はちょうど4つあるが、

職員、すなわち審問吏がフル活動するわけでもないので、

ネフティス家の取り調べは順番に行われる。

その間、彼ら家族がお互いの姿を確認できる機会などない。

互いを励ます事も気遣うこともできないのだ。

だが、

自分たちの家族がどんな酷い取り調べを受けているかは、

「自分の身で味わう」ことで容易に想像が付けられた。


 「は・・・放してください!!

 こんな・・・マグナルナ派の人がこんな非道な行為を・・・イヤぁッ!!」


審問室だって?

なら、この部屋の怪しげな道具は何に使うのか!?

床の粘りつくような感触や、

鼻につく何とも表現しづらい刺激臭は、

いかなる取り調べを行えば漂ってくるのだろうか?

黒いフードをかぶった屈強な男たちは、

その口に厭らしい笑みを浮かべながら、

力ずくでフラアの上半身から衣服をはぎ取っていた・・・。

 

勿論、彼女が縮こまって自らの胸を隠そうとしても、

彼らが許すことなどあり得ない。



晒しものだ・・・。


悔しくて情けなくて涙が出てくる。


これから何をされるのか!?

ここまでされているのだ、

ただの尋問で済む筈もない。

世間知らずのフラアとて、

もう、大体の方向性は見えてきた・・・。


だけど、自分がそれに耐えられるのだろうか?

いや、例え堪えたにしろ・・・

この先、自分達の運命は・・・

あの磔の先に・・・。

 

 

 いやよ!

 負けたくないっ!!

フラアは、自分の身に起きている理不尽な境遇を、どうしても受け入れる事ができなかった。


 自分は悪いことなど何もしていない・・・

 何も間違ったことなどしていないのに!


それなのに、

玩具のように扱われることなど、何としても許せるはずがなかったのだ。

だが今のフラアにできることは、

心の中の意志を確かめるだけ・・・。

彼女はその眼を二人の審問吏に睨みつける。


 絶対に・・・

 絶対に頭を下げてなるものか!

 あなた達の望む振る舞いなど決して取りはしない!


その決意だけは自分の心にしっかりと刻みつけていた。

・・・だが同時に心の片隅では、

恐怖と不安は、確実にその頭をもたげようとしている。

少しでも気を緩めれば、あっという間に心は折れるかもしれない。

 


果たして、

今まで普通に生きてきた一介の少女が、

どこまでその心を挫けずに耐えられるというのだろうか。


既にフラアの両手首両足は、革の拘束具で吊るされ、

両脇を閉じることも難しい。


二人の審問吏はそれを愉快そうに口を開けて眺めている・・・。

そして審問吏は、

更に勝手な事をほざいている。


 「・・・こいつは・・・上玉だなぁ、

 今まで中々いなかったぞ、これだけの娘はぁ・・・へへっ。」

 「おいおい、あまり役目を忘れるなよ?

 それに魔女のチャームに魅入られると、オレ達の身が危ない。

 この女の隅々まぁで調べるのはいいが、

 天使シリス様の名の下に、

 我らは理性を失ってはならんからな?」

 「ヒヒッ、りょうかぁぁい!!」


何がりょうかぁいだ!

 「ふざけないでっ!!」

 


胸糞悪いシーンが続くかも。

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