第3話
ありえない・・・、
携帯ならともかく、この自宅の電話は身内しか知らない筈だ。
「・・・ふざけおって!」
そこへ不意に携帯が鳴った。
何処の誰じゃあ、クソッタラァ!
喉まで用意した言葉だったが、今度は発信者が表示されている。
・・・真二だ。
「おぅ! 真二ぃ!
ええとこにかけてきた、
わしにつまらんマネしよるアホがおってな・・・」
男の言葉が終わらないうちに、真二は怯えた様子で訴え始めた。
『せ、先輩! 事務所に誰かいるんです!
で・・・電気も切られて、上の部屋の窓が割られました!』
彼らの事務所は三階建てで、一階はガレージ兼物置だ。
普段は二階をメインに使い、部屋は上の階を含めて六つある。
今夜は真二が夜の番というわけだ。
「・・・真二! 落ち着かんかい!
鍵はかけとろう?
上から入られたんか?
そいつは一人なんか?」
・・・自分達の事務所に侵入する・・・
それが何を意味するか彼らにはもちろん、わかっている。
死人が出ることも覚悟せねばならない。
『あ、ハイ、ひ・・・一人やと思います、
それに、もしかすると女かもしれ・・・ません。』
それは意外な返答だった。
「 あぁ?
そんなモンにびくついとるんかぁ!?
・・・待たれ、何で女や思うんじゃ?」
そう聞きながらも、男には予感めいたものがあった。
『す・・・すいません、先輩が事務所を出てから、電話が何度もあったんです・・・
女の声で・・・「わたし メリー」・・・って (遠くのほうで大きな音) !!』