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フラア・ネフティス編1 英雄誕生

 

・・・その男、それはランディ。


背後に黒雲と稲妻を従え・・・、

真っ黒な「ルドラの鎧」で身を包んだランディが・・・、

全身全ての筋肉・細胞を活性化させて、

たった一騎でイル兵の軍勢のど真ん中に駆け出したのだ!!


 バカラッ・・・バカラッバカラッバカラッ!

 「・・・ぁぁぁああああああああっ!!」


既に彼の脳髄からは、

大量のアドレナリンが分泌っ!

鷹の如き彼の目は、

接近しつつ最も位の高いと思われるイル兵に向かって狙いをつけた!!

当初、多くの・・・

多くのイル兵が注意を向けたのは、

雷に対してのはずだった・・・。

だが、振り返ったその方角からは、

地獄の入り口を思い起こさせる真っ黒な黒雲・・・

そしてそこから魔王のように湧き出た暗黒の騎士!

さらには尋常ではないその接近するスピード・・・、

その騎馬を守るかのように轟く雷鳴っ!

 


 

この草原にいる全ての兵士が、

その信じ難い光景に、攻撃する事もできずに動きを止められてしまったのだ。


ランディの進路にいる障害物・・・イル兵・・・。

蛇に睨まれた蛙のように、

彼らは逃げる事すら考えられずに足をすくませる。

そして・・・ランディは・・・

その右手の両刃斧・ギザルムを・・・!

 「ぅぁぁぁぁぁあああああ!!」


草原に鮮血と肉の固まりが転げ落ちる・・・!

一つ・・・二つ、三つ!  

・・・無数の肉片!!


あっという間だ!

彼の通り道にいるイル兵のカラダが、

裁断機を通したかのように切り刻まれていく!

他の兵は、いきなり自軍に起こったこの信じ難い状況を受け入れる事などできなかった!

全ての兵士がパニックを起こし始めたのである!

 

 

イル兵の指揮官も、

ようやく後方から近づく影の正体を察知した。

元々イルの軍は、

組織だった命令系統もしっかりしてるとは言えない寄せ集め・・・。

適当にテンデンバラバラ動くことが殆どだ。

指揮官も、部族の中で高位の者だと言うだけで、

部隊編成能力が高いというわけでもない。

彼は城攻めを無視して、

ただ一騎・・・ランディを排除すべきと考えた!

 「何をしているっ! ただ一騎だ!!

 射殺せぇぇ!!」


・・・だがそれも無駄だ。

この密集地では味方に矢が当たる。

全員、同士討ちを躊躇して矢を射ることも出来ない。


 「この役立たずどもがぁぁ!!」

業を煮やした指揮官は自ら矢を構える・・・!

なめらかな動作で・・・二本連射!

さすがにこれだけのイル兵を束ねるだけはある。

 

 

勿論ランディは、

標的が放った矢を打ち落とすべく長柄斧を振るう!

 「うっ!?」

ところが、弾いた筈の矢の後ろにもう一本!

 (やばいっ! よけられ・・・)


指揮官は当然、周辺のイル兵・・・

そしてランディすらも死を意識した・・・!


指揮官の二本目の矢は正確にランディの左胸を貫く・・・いや、

 ガリィン!!

 「・・・ッ!?」

 「なにぃっ!?」


当たり前だ・・・!

マシンガンの銃弾ですら傷一つつけられなかった、

未知の金属で造られた「ルドラの鎧」・・・。

この時代の弓矢如きで穴を開けられる筈もないっ!

 


 

一瞬戸惑ったのはランディも同様・・・、

だが、すぐに標的の位置を再確認・・・

驚愕の表情を浮かべたままの指揮官を・・・!

 「うわあああああああっ!!」


ランディの横薙ぎが、

指揮官の頭蓋を真っ二つに弾き飛ばすっ!


そして一気にランディは、

総崩れのイル兵を掻き分けテルアハ城門の前へ・・・!

また、これら一連の光景を、

ただただ固まって見ていたアルヒズリの城兵たちも、

ここへ来て、

ようやく事態を把握したのである。

 「こ・・・これが陛下の言われた事か!

 おおおおお、まさしく預言の通りぃっ!

 城門開放っ!

 全部隊・・・突っ込めぇ!!

 奴らを生かして帰すなぁぁぁっ!!」


城主の掛け声に、

全ての兵隊達がときの声をあげる。

ほぼ直後、

ダムの水を一気に放流するかのように、

城の兵隊達がなだれ打った。

 


 

・・・すでに勝敗は決していた。

パニックに陥ったイル兵・・・

失われた指揮官、

バラバラのイル兵たちは、

小隊を組んで戦うアルヒズリの軍勢に絡め取られ、

ほとんど嬲り殺しにされている・・・。

それほどまでに、

アルヒズリの男達に溜め込まれた憎しみは深い・・・。

さすがに騎馬術では、

イル兵の方が上回る技術を持っているので、

完全に敗走態勢に入ったイル兵の一部は、アルヒズリの兵から逃げおおす事に成功している。

だが、ここまで圧倒的に叩き潰されては、

そうそう、次の攻撃をかけるまでに部隊を再編成しなおす事は難しいであろう。


そして・・・

半分自殺するつもりで特攻かけたわけなのだが、

最後には全く意外な結果となったがために、

放心した顔のランディは、

拍手と歓声を以って、

このテルアハの城に迎え入れられたのである・・・。

 



以前、質問がありましたので。


武器の「ギザルム」は固有名詞でもなく、別に曰くあるものではありません。

「青龍刀」とか「ハルバード」と言ったように武器の形状に与えられた名前です。


次回はランディとエア王との謁見です。

ようやくこの舞台の背景が少しずつ明らかになります。


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