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月の天使シリス編3 夢の真実


優一の知りたいのはそんな事ではない。

 「いや、その『四人の使徒』ってのから話してもらいたいな?」

 「ああ、そうか、悪いな、

 実はオレも良くは知らん。」


優一の眉が吊り上がり、あからさまに不機嫌そうになる。

まぁ無理もないか、

そんな返答されたんじゃ・・・。

それを見て、結城八郎は大振りなジェスチャーで言い訳をした。

 「ああ、すまんすまん、

 それでもちゃんと説明する。

 ・・・実はな、この数年、

 世界中の特定の人間が同じ内容の夢を見る・・・

 って奇妙な現象が起こっていてな。」


ド ク ン ッ !


この時、初めて優一のカラダに変化が・・・。

彼の瞳孔がわずかに収縮する・・・。


 「それでな、ちょっとオカルトな内容かと思うだろうが、

 オレの所属する団体にも何人か、

 そういう夢を見たヤツがいるんだ。

 そいつらの話によると、

 この夢はこの世界のどこかの誰かが、

 不定期にラジオメッセージのように、

 全世界に・・・その意識をテレパシー?

 うん、ま、テレパシーだかなんだか分からないが、

 そんな手段で送り続けているらしいんだ。」

 

 

 「・・・らしいって、どうしてそんな事が言えるんだ?

 あんた等の狭い集団だかの話じゃないのか?」

 「違う・・・

 オレらの家系は、日本の他の暗部の家柄にも繋がりがある。

 オレらの氏族自体はそんなに大きなものではないが、

 そういったパイプから世界の情報が流れてくるんだ。」


普通に考えれば、

すぐにこの場から立ち去ってもよさそうなのだが、

その「夢」とやらを、

子供の頃から定期的に見続けていた優一に、

その選択を選ぶことはできなかった。

 「・・・で? 世界の情報って?」

 「ああ、

 それで世界各国でその夢を見る者が多数現れた、

 と報告が来るようになったのさ。」

 「その夢を見る者に何か共通項はあるのか?」

 

 

 「う・・・ん、それもよくわからん、

 ただ、宗教関係者とか、

 ある感受性の高い少年少女に多いとは聞くな。

 ・・・何らかの能力を持ってたりとか・・・ね。」

 「能力?」

 「そう、

 というわけでオレらは、日本全国で、

 とてつもない行動能力や、奇妙な力を持つ人間たちをしらみつぶしに探してるってわけだ。

 ・・・自分が目を付けられた訳、分かる?」

 「なるほど・・・、で、そんな人物を探す理由は?」


 「さっき言った『ある勢力』って覚えてる?

 実はオレ達の団体ってのには敵対勢力がいるんだ・・・。

 あらかじめ言っておくが、

 もし君が『四人の使徒』とまったく関係がないと言うなら、

 これから言うオレの話は忘れてくれよ?

 その団体の名は『九頭竜一族』・・・。

 読んで字のごとく、九つ頭の蛇を信仰するカルト集団さ。」

 

九頭竜一族?

優一の記憶や知識にはない名前だ・・・。


 「九頭竜一族・・・、宗教団体なのか?」

 「うーん、まぁそんなもんだ、

 彼らの教義では、自分たちの祖神とやらがその九つ頭の竜で、

 その神々に従うことが使命と考えてるようなんだ。

 ・・・ただ、ぶっちゃけるとオレらも実は大差ない・・・。」

 「・・・はぁ?」

 「笑うなよ、

 オレらの所属する団体は出雲一族って言って、

 その名のとおり出雲地方に古くから存在している集団だ。

 ・・・そしてオレらにも祖神ってやつがある。

 それは八岐大蛇だ。」


コイツ本当に頭大丈夫なのか・・・。


優一ははっきり言って悩んでいた。

どこからどこまで信ぴょう性ある話なのか・・・。

だが結城八郎は、多少おちゃらけ感はあるものの、

話自体は真面目にしているようだ。

ここで優一は身も蓋もない事を言う・・・。

 「八岐大蛇って、

 確かスサノヲとかいう神様に殺されたんじゃないか?

 ずいぶん、情けないものを拝んでるな?」

 


結城八郎は、

侮蔑的な優一の指摘にも怒りもせずに丁寧に解説する。

本人にも自覚があるのかもしれない。 

 「あ、ああ、それはな、

 いろんな説があってだな、

 オレらの団体では、

 その八岐大蛇自身がスサノヲだって解釈なんだ。

 ただ、スサノヲ自身、

 他の神様にリンチ受けて追放されることになっちゃうから、

 似たりよったりなんだけど・・・。

 ああ、

 ・・・分かるよ、そんな眼しなくても・・・、

 オレが痛そうに見えるんだろ?

 わかってるよ、

 だからオレだって別に胸張って言えるとは思ってないさ、

 でもこれが仕事なんだよ・・・!」


いや、逆切れすんなよ・・・。

それでも結城八郎はめげずに続ける。

 

 「もうちょっとだけ、聞いてくれ、な?

 素人にも分かるように言うけど、

 オレらの関係は、

 8匹頭の蛇を崇める集団と、9匹頭の竜を崇める集団の、

 決して相容れない存在なんだ。

 それでその両者は一見、似てるように見えるが、

 全く正反対で古くから対立してきた。

 そして・・・、

 この21世紀に入る前、その均衡が破れはじめた・・・。

 日本の一地方団体に過ぎなかった奴らに、

 世界的大企業のバックボーンがついた・・・!」


 「世界的大企業?」

 「これがさっき言った事だ、

 斐山優一、

 お前が本当に無関係ならこの件は忘れろよ?

 その企業の名は、

 多国籍軍需産業『デミゴッド』・・・!」

 


多国籍軍需産業「デミゴッド」

これはレディ メリー第五章あたりから名前を出してます。


もともと月の天使シリス編斐山優一時代のメインの敵として設定しております。


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