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月の天使シリス編3 監視者


大暴れした後の帰り道、

道順から言えば、先に優一が自宅に着くはずである。

だが、優一は先に家に入らなかった。

あえてエリナの帰る道順を予想し、途中で彼女と合流する。


 「優一さん!

 も、・・・もしかして待っててくれたんですか!?」


今回も主人に会えたペットのように駆けだすエリナ、

だが、優一の目的はそんなことではない。

 「違うよ、・・・尾行者だ。」

 「えっ!?」

 「もっとも、今回は後ろじゃなく、

 前を歩いていたんだけどな。」


そういって優一は視線を前方に向ける。

 「エリナ、来い・・・。」


そのまま優一は歩き出した。

既に道は住宅街・・・、

身を隠すところなど・・・。


いや、そこは、

斐山家からそう遠くないマンションの備え付け駐車場、

そこに一人の男が、

エリナと優一をまっすぐに見据えていた・・・。

中肉中背の、頭は短めのウェーブが入ってる、若い30代ぐらいの男性・・・。

後の優一の評価では、

ファッションには気を使っているが、

顔の元々の素材が残念だそうだ・・・。

 

 どこかで見た気がする?

そう、エリナが観察をしていると、

斐山優一がその男に向かって口を開いた。

 「入学式で挨拶してたな、

 産休代行で図書室にいる臨時の・・・

 結城八郎だったっけ?」


驚いたのはエリナだけでなく、その男も一緒だった。

彼は駐車場で、

自分の車と思われる軽のワックス掛けをしていたようなのだが、

ピューと口笛を吹いて嬉しそうに微笑んだ。

 「へぇ! すごい記憶力と観察力だな、

 斐山優一君!

 もしかしてオレのこともわかってた!?」

 「あんな下手な尾行じゃオレにはバレバレだ。

 今日はさすがにあからさま過ぎたぞ?」


どうやらこの図書室の臨時職員とやらが、

ここの所、

優一やエリナを観察していた男らしい。

エリナは当然警戒モードに入る。


図書室臨時職員、結城八郎は、

そんな指摘など意に介することなく、

世間話でもするかのように、

車の掃除を行いながら会話を続ける・・・。

 「ハハっ、さっきのケンカ・・・

 いや、ケンカとは言えないな、

 一方的な攻撃だったもんな、

 でもお見事だったよ、

 オレも自信ができたんで、君に接触しようかな、なんて・・・。」

 「自信? なんのだ?」


まさかストリートファイトでも始めるつもりなのだろうか?

 「いやさ、・・・そうだなぁ、

 説明は難しいんだよなぁ・・・?

 あー、まぁいいや、斐山君、

 君知ってるかい?

 『四人の使徒』ってやつをさ・・・。


四人の使徒・・・


皆さんは覚えておられるだろうか・・・。

斐山優一が、

子供のころから何度となく見続けてきたという同一内容の夢・・・。

 

「蠢く九匹の蛇が世界を蹂躙する・・・

 その怪物に立ち向かう狼・鷹・竜・そして鬼または巨人、

 四人の使徒・・・。

 そう呼ばれる複数の男女がうっすらと視える・・・。


 いや、

 その争いはただの序章・・・。

 この地に現れる二人の天使、

 彼らの織り成す行動が、

 この大地の命運を決する・・・、

 甦る羅?星の天使

 舞い降りる月の天使・・・

 大地は血と屍で溢れかえって 」


実際に夢の中では、

これらの文言が優一に聞こえているわけではない。

夢のイメージが、

睡眠下の優一の意識に植え付けられているだけである。

だが、特定の単語・・・

 『二人の天使』

 『九匹の蛇』

 そして『四人の使徒』、

これらのワードは、

何度も夢を見るうちに、

確実に優一の心の奥底にある、

不安定な魂を揺らめかせ始めていた・・・。

 


 

しかし・・・

それでもさすがに優一である。

その動揺を表には全く出さないでいる。

恐らく心拍数にも何の影響を見せていないはずだ。

 「四人の使徒? なんだい、それは?

 美術画か、それともアニメの話?」


優一の反応を見極めようと、

結城八郎という臨時職員は、

しばしその答えや、優一の顔の動きを観察し続ける。

・・・だが、

斐山優一の表情からは何も読み取れない。

傍のエリナはきょとんとしたままだし、

こっちは全く関係ないのだろうか?

 ・・・まぁいいか。

 「へぇ~、

 全然反応ないね?

 オレの見込み違いかなぁ、

 それとも、シラを切ってるだけ?

 そりゃあ初対面の人間に、

 突然、変なこと聞かれりゃ警戒もされるわな?

 ま、でも時間はある?

 オレの話たいことだけ伝えておくよ、

 まず最初に、オレは君の敵じゃない。」

 


誰が、そんな胡散臭い言葉を信じることができるだろうか。

 「・・・いきなりわけ分かんないんだけど・・・。」

優一の反応は当然だろう。


 「まぁまぁ、

 とにかく君が無関係ならそれでいいんだよ、

 ただね、もし君が、

 今言った『四人の使徒』に該当する人物だった場合、

 これからある勢力に命を狙われる場合がある。

 それを伝えようと思って。」

 「はぁ? なんでオレが?」

 「君が全く知らないなら、

 オレの独り言と思って聞いてくれよ、

 オレは日本のある伝統ある家柄に所属する者で、

 まぁ・・・世が世なら忍者みたいなもんだ、

 ・・・笑うなよ、

 今は普通の一般人なんだから。

 ただ、特定の任務ってものがあって、

 おれに与えられた任務は、

 『四人の使徒』と思われる人物に会って、

 その真贋を判定し、

 その人物を守ること。

 ・・・そのある敵対勢力からね。」

 




実はエヴァは見たことがありません。

なんでも「使徒」が出てくるそうで?


この物語に現れる「使徒」には、

そんな深い意味はありません。


「天使」は重要ですけどね。

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