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第二十八話 形勢逆転

ぶくま、ありがとんです!

 

 「やったね!!」

麻衣は嬉しさの余り、梯子を降りて絵美里に近づいた。

未だ網から抜け出そうと、

男が暴れているので傍には寄れないが、

少なくともこれで一安心。


 「こらーっ、さっきのひとーっ!!」

麻衣は体育館の暗闇に向かって大声をあげる。

 「あたしたちの勝ちよーっ!!

 早くあたしたちを解放してーっ!!」


・・・しかし辺りは何の変化も反応もない・・・。

床に転がった男が、

もがいてうめき声を上げているだけである。

確かにこのままでは、どうにもならない。

ネットを巻きつけているだけでは不安だし、

かといって、この状態で、こいつの息の根を止めると言うのも、

一般人の取るべき行動とは言えないだろう。

早く警察に任せたいんだけど・・・。


 「麻衣ちゃん、

 さっきのマットで巻いちゃえば完璧にコイツ、

 動けなくなるんじゃない?」

 「そうだねー?

 でも、あれ持ってくるのキツイんだよねー?」

 

・・・その時、

二人は間違いなく油断をしてしまっていた・・・。

床に転がっているヤギ声の男は、

ネットの隙間から手を伸ばし、

不用意に間合いの中に入っていた絵美里の足元を切り裂いた!!

 「アっ!!」

その瞬間、

絵美里のカラダから一気に力が抜けていく!

百合子のカラダを二人で酷使していたのだから当然かもしれない。

一方、ヤギ声の男は、

相変わらず自由には動けないものの、

彼女たちの隙をついて「ンエエエエエエ!!」

と叫びながら立ち上がった・・・!

彼は、ネットの隙間から、

右手を伸ばすことに成功していたのである。


この時点で、

麻衣も絵美里も、

既に作戦や策などもう残っていなかった・・・、

そして体力も・・・。

先ほど絵美里が尻餅をついたのは、

作戦のウチではあったのだが、

今度は演技ではない。

このまま上に乗っかかれてしまえば、

もう、

抵抗する手段はない・・・!

 

男は不器用に一歩ずつ近寄りながら、

絵美里を見下ろして涎を垂らしていた・・・。

なんとか上半身を起こして絵美里は定規を構えるも、

立場の逆転に気を良くした男は、

平然とその右手を振り回す!

 「あぐっ!?」


手首ごと、定規を弾かれて、

たった一つの武器が向こうに飛んでってしまう。

勢いあまって再び男は倒れるが、

動けない絵美里の足をガシっと掴んで放さない・・・!


 「絵美里ちゃん!」

麻衣もなんとか、絵美里を助けようとするが、

簡単に男に弾き飛ばされて倒れてしまった。

彼女も、もう・・・限界なのだ。

 「ンェェエエエッ!」

男は再びヨレヨレと立ち上がった。

素っ裸で、バレーのネットをカラダじゅうに巻きつけ、

顔は大量の出血で薄汚れてしまっている・・・。

だが、

その顔面は、

歓喜の笑みを浮かべ、醜く歪んでいた・・・!

 



  ・・・悔しい!

 もう手は残ってないの!?

 せっかく新しい人生を手に入れたのに!

 レッスルお爺さんと、百合子ママにもらったこのカラダと命を・・・!

 こんなところで・・・!

 それに・・・、

 もしあたし達がやられたら、麻衣ちゃんは!?


男はゆっくりと右手を振りかぶった・・・、

今にもその手が振り下ろされる事だろう・・・!

そのとき・・・


   ガチャアアアンッ!!


二階の窓が割れる音がした!

ほとんど同時に、

空気を切り裂いて近づく何かの音が・・・!


 …ブンブンブンブンブ ン・・・ドガァッ!!


ちょうど・・・

絵美里と、麻衣の中間ほどの地点に・・・

黒光りする金属製の何かが床に突き刺さった・・・!

もちろん、裸の男も、

その何かに視線を奪われ彼の攻撃も一時やんでいる・・・。


黒光りする細長い金属・・・、

アレは・・・

見覚えのあるアラベスク文様・・・

長い柄・・・あの禍々しい形状・・・

 あれは、ああ、あれは・・・!!

 どうしてここにこれだけが・・・!?

レディ メリーの忌まわしき武具・・・

「死神の鎌」っ!!


 「ママァッ!?」

 


一時間後に「語られない物語その2」をあげます。

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