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合格発表 1


・・・そしてそれから・・・

ルキに抱えられたカーリーは、

騎士団の捜索部隊の動きを透視スキャンし、

彼らに位置を探られないように、

ルキにどこを飛べばいいか指示を与えて飛行させていた。

おかげで2人は誰にも邪魔されず目的の場所へ辿り着ける。

これはネロにも同様の事が言えた。

カーリーは、

この島で展開する部隊の動き全てをネロに発信していたのだ。

順番としてはマルコが先にヘリに乗り込んだ。


・・・ここでまず一騒ぎが起こる。

 「きゃああああ!!」

この叫び声はローズ、

もう、完全に精神状態は平穏モードなので、

恐ろしい姿をしたマルコが誰なのかもわからない。

しかも伝説では、

狼男はバンパイヤの下僕とされることもある。

すぐさま食人鬼こと「あざみ」が、

やっぱり追っ手を差し向けたのかとまで思ってしまっても無理はない。

メィリィ、ラブゥも腰を抜かしそうになったが、

必死に戦闘態勢を取ろうとする。


 「おっ、おい!

 待て待て待て待て待てぇっ!!

 おっオレだ! マルコ=シァスだァ!」

 

何がビックリしたかといえば、

狼人間が縄梯子を登って来て、

さらに直立して人語を喋る・・・、

これだけでも何回気絶すればいいかわかったもんじゃない。

しかも、その口から知ってる名前が飛び出てきた。

3人とも次にどうすればいいか判断できず固まったままだ。

操縦席で笑いをこらえてるネロが大声で叫ぶ。

 「マルコ様!

 このままカーリー様をお迎えしますので、

 扉はそのままで!

 落ちないように気をつけて下さい!!」

 「おっ、おう!!」


ローズ、メィリィ、ラブゥは、

一斉に操縦席のネロに視線を送るが、

彼が全く動じてないのでやはりマルコは本物なのかと判断した。

・・・いや、そう思うしかできないか。


 「マ、マルコの・・・おじさん?」

 「そうともよ、ローズ!

 こんな姿でも正真正銘、

 ナイスガイ、マルコだぁ!!」

 「ローズ・・・匂いは・・・間違いないカ・・・?」

さすがは抜け目ないメィリィ、

こんな状況でもローズの特殊な能力を忘れてはいない。

けれど・・・。


 「あ、・・・さっき、

 とんでもない匂い嗅いじゃったから・・・

 鼻がバカになっててムリ。」

 「でも・・・こんな毛むくじゃら・・・

 他にいないよ、ね?」

これはラブゥ。

 

 「おじさん、狼男だったの?

 バンパイアの手下?」

 「ちげーよ!

 オレはオレだぁ、誰の手下でもねぇ!

 ま、びっくりさせて悪かった、

 そのうち元に戻るからよ・・・

 お、毛が抜けてきた!」


ローズ達にはわかるわけもないが、

マルコの獣人モードは、戦闘時から元の姿に戻りつつあった。

表情も人間に近くなっている。

そうこうしてるうちにヘリは向きを傾け、

カーリー達を回収する体勢に入った。

空を飛んでいる彼らに縄梯子なんて必要ない。

扉が開いていればそれでいい。


彼らが空を飛んでいるのに最初に気づいたのはラブゥだ。

 「わおっ! イッツクール!

 空、飛んでやがる・・・!」


二人は危なげなくヘリに平行に並び、

すぐに搭乗口に近接して機内に乗り込んだ。

ローズの目のキラキラはお星様の輝きだ。

 「す、す、すってきぃ~!!」


ルキが扉を閉めるのを確認して、

カーリーは機内を振り返ってにこやかに微笑んだ。

 「あなた達、素晴らしいわ、

 よく頑張りましたね!」


この島で見るカーリーの一番の笑顔だ。

他にも言いたそうだったが、

ひとまず操縦席のネロの元に向かう。

これからの進路だろう、

一緒にルキもついていく。


 「・・・ルキ、長時間ごめんなさい? 

 重くなかったかしら?」

 「・・・ええ、あのぐらいなら軽いもんですよ、

 私の空中浮揚の能力はまだまだ余裕です。

 むしろ、余計な事を考えないようにするのが大変でした・・・あ。」


カーリーの冷たい視線がルキを襲う。

・・・だが、あの状態ではムリもあるまい。

ルキがあの時間、

懸命に煩悩を封じ込めていたのは確かなので、それ以上は彼女も追及しない。

一応、カーリーも、

男性の本能まで責めたりするほど鬼ではないのだ。


 「カーリー様・・・もう全部、

 マルコが悪いって事にしましょう。」

 「そうですね、まったくその通りです、

 帰ったら、きつく叱ってもらいましょう・・・。」


後ろでマルコがばつの悪そうな顔をしている。

自業自得だ。

彼らの打ち合わせは比較的早く終わった。

カーリーは再び、ローズ達の元へやってきた。

ローズは待ちきれないように叫ぶ。


 「・・・先生!

 シェリーやナターシャは!?

 他の人たちは!?」

ローズの目は、

真っ直ぐカーリーの黒く大きい瞳を見つめている。

しばらくカーリーは、

ローズの目を瞬きもせず受け止めていたが、

悲しそうに首を横に振った。


 「・・・残念ながら他の人たちは・・・。

 ナターシャも奮戦しましたが、

 よりにもよって騎士団で最強といわれる男に向かって行って・・・。

 シェリーは捕まって拘束された模様です・・・。」

 

 

 「う、嘘っ! ナターシャが!?

 ・・・シェリーは助けられないの!?」

 「・・・ローズ、初日からの私たちの対応を思い出して御覧なさい?

 悲しいけど、

 メリーになる資格のない者には、

 私たちは手を差し伸べません。

 ・・・それにシェリーなら心配いらないわ。

 あの子なら騎士団に逆らう事はしないでしょう・・・。

 しばらく尋問されるでしょうけど、

 命の危険はないわ。」


メィリィは、

再び泣き出しそうなローズの肩をつかんでやる。

メィリィにしても、

別にこの短い期間、彼女達を本当の仲間と認識していたわけではない。

ローズだって「残酷さが大事」とまで言ってたではないか。

感傷的になる必要はない・・・。

・・・判っている・・・判ってはいるが、

ナターシャや、他の受講生の死ぬ間際の無念さを考えると、

熱い物がこみ上げてくる。

割り切るんだ・・・、

強い心を手に入れなければ・・・。

 




ローズ編の山場は終わりました。

もう、戦闘シーンはありません。


けれど、

この後、衝撃の展開が・・・



あるといいなあ。

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