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第5話

途中、

怖い画像が入ります。

…いや、あんまし怖くないと思いますが。

 

それを聞いた瞬間、

私の全ての身体の毛が逆立った!

また同時に、

頭の中で、全てのジグソーパズルが組みあがったかのような錯覚も・・・。

私は声にならない声をあげ、

叩きつけるように携帯を丸山に返していた。

今度は混乱したのは丸山のほうだ。

私の錯乱振りが、

演技ではないと感じたらしい。

すぐに携帯を耳に当てたが、

もう切れているのだろう、

すぐさま携帯を閉じて私に怒鳴りつけた。

 「おい! 『メリー』 とは誰だ!? 

 何者なんだ!?」


私は、

先ほど取りかけたコートと手袋を握り締め、

震えている事しかできなかった・・・!


 「の・・・呪われた・・・少女の

 人形・・・?」


 

突然、家中に叫び声が響き渡る!

私も丸山も、

視線をドアの外に向けざるを得ない。

程なく家のあちこちから、

大勢の男達のドカドカという足音が聞こえてきた。

ドアを開けて、

丸山は近くを通った男を呼び止める。

 「どうした!? 何があった!?」

 「た、竹下が・・・殺されました・・・!」

 「暴漢でも侵入してるのか!?」

 「分りません!

 さ、叫び声をあげたのは書生の井口です。

 ただ・・・、

 井口は竹下のそばで、動くマネキンのような物を見たと・・・!

 竹下は首を、き、斬り落とされています!」


丸山はこちらを一度振り向いた後、

もう一度部下と思われる男に話しかけた。

 「首・・・だと!? 先生の護衛は?」 

 「げ、現在、三名ついております!」 

 「あと二人補充しろ!」 

 「はい!」

そして丸山は、

部屋の入り口にあった内線で会話を始めた。

 「あっ、先生、すみません!

 ハイ、ご安心してください。

 すぐに騒ぎを収めます。」


丸山は静かに受話器を置くと、

再び、ちぢこまっている私のそばに寄って来た。

 「もう一度聞く、

 この屋敷に侵入してるのは・・・『メリー』 か!?」

私にわかるはずもない、

だが私にはこう答えるしかなかった・・・。

 「は・・・い、そう・・・としか・・・」

言い終わらないうちに次の質問が来る。

 「さっき、人形と言ったか?

 何故、人形が動く? 仮装じゃないのか!?」

私は震えながら、

自分の聞いてきたことを必死で思い出しながら答えた・・・。

 「・・・殺された恨みや、

 行き場のない魂がエネルギー源・・・?

 自分の境遇と重ね合わせて動いてる・・・?」


しばらく丸山は黙って聞いていたが、

私の言うことを理解したのか、あきれたのか、

ドアの外に出ようとしたようだ。

外はにわかに騒がしくなっていた。

怒号や大きな衝撃音がこちらまで響いている。

彼がドアを開けた瞬間、

その隙間から遠くで「何か」が通り過ぎるのを見た。

あれは先ほど、

屋根の上で見かけたものではないのか・・・!?

丸山の目にも映った様だ。


その直後、悲鳴が続いた!

家具の飛ぶ音! 

花瓶やガラスが砕け 家全体が揺れる!

庭にいた警備員だろう、

大勢の人間が、続々と集まっているのが音の様子でわかる。

 

丸山は静かに出て行った。

逆に、家の騒ぎは静まろうとしない・・・。

その間、私は必死に冷静になろうとしていた。

相手が例え危険な暴漢だとしても、

これだけの人数の護衛がいてなぜ捕まえられない? 

何か武器を持ってるのか?

「メリー」だとしたら死神の鎌を持っている・・・?


止せばいいのに・・・、

私は恐怖に怯えながらもドアの外へ出て行こうとした。

扉の外・・・広間があり、

その向こうは和室であった。

先ほど異形の何かを見たのは、その和室でだと思う。

応接室の入り口から見えない和室のさらに向こうでは、

怒鳴り声と争いあう音が聞こえている。

既に応接室は、

散乱した調度品やガラスで、足の踏み場がないほどだ。

スリッパを履かせてもらってなければ、ガラスで足を切ってしまうだろう。

あたりを慎重に見回し、

ゆっくり移動しているうちに騒ぎは静かになってきていた。

いや、

騒ぎの音を出す、人間の数が少なくなったというべきなのか・・・。


応接室から和室へ移動する際、間は廊下で仕切られているのだが、

その廊下じゅうに・・・


秘書やガードマン達のカラダが転がっていた・・・・。

血の海・・・。

転がっている身体は、全く動かない者・・・

ピクピクと痙攣している者、

身体の一部分がなくなっている者・・・

私の足からは、もう、力が抜け去ってしまい、

動くことすらできずに、そこにしゃがみこんでしまった。


気がつくと、廊下の先から、

 ゴッ ゴッ 

とゆっくりとした足音が聞こえている。

木製の廊下でハイヒールを履くと、

こんな音がするのだろうか?

私の視線は廊下の壁に釘付けになった・・・。

壁に「それ」の影が映っていたからだ。

もう男達の声も、争う音も聞こえない。


影はだんだん、こちらに向かって近づいてくる・・・?

間違いない、

もうすぐに、あの影は正体を現し、

同時に、私は「それ」に見つかってしまうだろう。


そう、

もはや

次の瞬間に


ついに、

細い廊下の先、

不気味な光の鎌と共に、

私の前方に、「彼女」がその姿を現したのである!

 


これが・・・

呪われた人形メリー!?


 銀色に煌く髪、

 薔薇の刺繍の黒いドレスを纏い、

 ウェストは白いコルセットで締められ、

 肩やドレスの裾からは、

 折れそうなほどのか細い手足!

 そしてその素肌は

 不気味なほどに青白い・・・!


ゆっくりとした動作で「彼女」はこちらを振り返った・・・

私の存在に気がついたのである。

彼女は銀色の瞳をグルッと動かすと、

文様のある大きな鎌を振りかぶって近づいてきた!


挿絵(By みてみん)


 ああぁ・・・百合子!  麻衣ッ!



私の頭上を巨大な何かがかすめ飛んだ!

それは人形に激突して「彼女」は弾き飛ばされる。

かろうじて後ろを振り返ると、巨漢の丸山がいた。

丸山が投げたのは、

和室にあった巨大な壺のようだ。

壺が割れる大音響と共に「人形」は床に倒れる。

丸山はラグビーか柔道をやっていたのか、

すぐさま「人形」に突進し、

アラベスク文様のある鎌を蹴り飛ばした。

武器がなければ、どう考えても人形に勝ち目はない。

・・・だがそれは私や丸山の思い違いだった。

丸山は馬乗りになって、

石膏で覆われた人形を殴りつけていた。

しかし、考えれば当然なのだが、

殴ったところで人形にダメージはない・・・。

そのうち人形は細い腕を丸山の首に延ばし、

彼の首を押さえ始めた。

丸山も殴るのを止め腕を押さえにかかったのだが、

みるみる彼の顔が青ざめ紫色になっていく。

あの細い人形のほうが力が強いというのか!?

私は耳を疑った・・・

このとき、人形ははっきりとしゃべったのだ。


 「わたし・・・メリー、

 抗うことすら 許されず

 吊るされた 少女の魂に 安らぎを 」



 「うおぉ!」 

丸山は必死に人形ごと立ち上がり、

首を絞められたまま人形を壁に叩き付けた!

その衝撃で指が離れたようだ、

間髪入れず丸山は人形の身体を逆さに持ち上げ、

頭からまっ逆さまに廊下に叩き付ける!

決定的な鈍い音が廊下に響く・・・。

彼はむせりながら、

なおも人形の身体を蹴り続けた。

既に人形の首は支柱が折れたのか、

変な角度に折れ曲がったままだ、

人間ならとうに死亡しているだろう。

丸山はそのうち蹴るのを止め、

その大きい肩で息をしながら、人形を黙って見据えていた。


だが、

もう人形はピクリとも動かない・・・。

私は、ようやく口を開けることができるようになっていた。

 「ま、丸山・・・さん、あなたが・・・あの子の殺害を・・・?」

丸山は私のほうを見たが、

咳き込むだけで何も答えなかった。


 プーッ 

内線が鳴った。

丸山は、人形にもはや何の反応もないことを確かめると、

ゆっくりとわたしを通り越し、

広間の向こうの受話器に向かう。

そこまで、彼の動きを目で追った後、

私は再び「人形」を見ようとして、信じられない光景を見た。


   そこには 人形も 鎌も 

   残っては いなかったのである。


丸山の耳は、

内線電話の受話器から、信じられない音声を聞く。


 『 私 メリー

 今 あなたの 真上に  いるの 』

 


挿入されたメリーさんの画像は

コスチュームとか以前のバージョンです。

髪型も横髪くっつけてますが、

第1章の最後の画像には横髪は外してます。


なお、現在のコスチュームは、

スクエニのパーティーキャッスル公式アイテムを改造したものです。


あ、表情とかは何パターンかありますので、

舞台にマッチしそうな画像が撮れれば随時挿入します。

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VRoid版メリーさん幻夢バージョン
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