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ローズの闘い 食人鬼カンニバル・メリー3

 (へえ?)

カンニバルは本気で感心した。

空中でこんな動きが出来るなんて・・・。

それはいいが、

空中でカンニバルの動きを止めたために、

支えが効かずローズのカラダが墜落してゆく!

 バサバサバサッ ドガッ!!

 「あうっ!!」

途中の枝に背中を強く打ち付けてしまう、

そしてそれを見逃すカンニバルのわけがない。

ローズが、顔を苦痛でしかめながら上空を見上げると、

嬉しそうに、

大きな口を開けたカンニバルが舞い降りてきていた。

 ガシッ!

今度は爪ではない、

いや、爪は攻撃のためではないというべきか。

カンニバルの両手は、

鷲が獲物を押さえつけるように、

ローズの両肩を押さえ掴んだのだ!

 「ッ!」

肩に食人鬼、カンニバル・メリーの爪が深く食い込み、

そのレースの服には血が滲み出す・・・。

そして、その熱い痛みのために声すら出ない。

この状態では、

杭にしろハンマーにしろ攻撃などできやしない。

ローズの顔から血の気が失せてゆく・・・。

 絶体絶命・・・!?

片や、食人鬼の優しげにも見える余裕の微笑みは、

赤い唇の中の牙の露出と共に、

どんどん狂喜の風貌に変化していった。

・・・このまま、

ローズの咽喉笛に噛み付く気だ!

ローズ!

だが、みるみるうちに食人鬼の顔・・・

いや、彼女の顎が、

震えるローズの首元に近づいていく。

必死になってローズは首を左右に振るが、そんな抵抗など何の気休めにもならない。


 いいえ! 肘から下は動く・・・! 

 最後のチャンス・・・

 右掌に隠し持っていた「これ」を・・・!

 

・・・ぷしゅうー・・・

 「!?  ・・・ゲホっ!?」

二人の顔の間に赤い霧状のものが噴出する。

 「ゲホッ、ゲホッ!!」

 「・・・ぅっ? こ、ゲホッな、なに! ゲホゲホッ!!」

たまらずカンニバルがよろめきながら離れる。

さすがに舞い上がる事も飛ぶことも出来ないらしい・・・、

ローズは何をやったのか?

さっきはハンマーだけを取り出したわけではない・・・、

ある物を取り出すことを隠すために、

ハンマーをカモフラージュとして取り出しただけなのだ。

・・・携帯用チカン撃退スプレー・・・、

しかもローズがこの島へに来る前、

あの、

「ウェールズの魔女」フェイ・マーガレット・ペンドラゴンに作ってもらった特注品・・・、

唐辛子&ニンニク成分入りの小型携帯スプレーだ。


別に食人鬼だからと言ってニンニクが効くわけではない。

だが、これを喰らったらどんな者でも只では済む筈もない。

場合によっては皮膚がただれる事もある。

直撃しなかったローズですら、

その効き目に苦しんでる。

 「ケホッ! 効き すぎ・・・!

 うぇケホッ!」

涙と鼻水が止まらない。

命のやり取りをしているこんな時なのに、

場違いにもローズの頭には、

いつかのカーリーの言葉が浮かんでいた。

 (メリーに必要なのは美しさです!)

 「う・・・うつくケホ、

 しく・・・ないよねぇケホ!」

そんなことを思い出している場合じゃない!

カンニバルの方がダメージはでかいはず、

・・・涙をこらえながらローズはカラダを起こす。

まだカンニバルはこちらに注意を向けるのがやっとで、

戦闘態勢をとれていない。

チャンスは今が最後だ!

ローズの小さなカラダが跳ぶ!

 パパ! ママ!!





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