マルコ=シァス 獣人化現象
またもやブックマークありがとうございます!!
ようやくマルコは昨日のルキの言葉の意味が判った。
それに、世界の秘密警察を自認するだけのことはある。
他にはどんなヤツらがいやがるんだぁ?
・・・戸惑うマルコを他所に・・・
いや、マルコ自身は喜んでいるのかもしれないが、ガワンはゆっくり近づく・・・。
そしてこれまでのぶつかり合いで、
マルコにこれ以上の武器はないと判断したのか、
ガワンは片手でマントを外した。
・・・鈍い音と共にマントが草むらに落ちる。
いったい何十キロあったのか?
ガワンの腰には拳銃が備え付けてある。
マルコが背中を見せたらいつでも撃ち抜くつもりだろう。
マルコはそれらを判断して一つの決断を下した。
「・・・なぁーるほど、
オレも出し惜しみしてる余裕はないってわけか・・・!」
ガワンの足が止まる・・・。
「何を言っている?
状況を把握できないのか?」
「へッ、ご心配なく!
・・・いいもん見せてやッからよ!!」
そう言うと、
マルコは両足を広げ腕を交差して震え始めた・・・。
何をしようというのだ?
だが、ガワンはすぐに、背中を丸めたマルコのカラダの異状に気づいた・・・。
体毛が急に伸び始めた!?
それだけではない、
震えているのは筋肉に余計な力を込めているだけかと思ったのだが、
筋肉が収縮と蠕動を繰り返すたびに肉体が肥大化してゆくのだ・・・!
交差した腕の隙間からは、
形相だけでなく骨格までもが変化してるようにも見える、
メキメキと音をたてて・・・!
「な、なんだ、貴様はっ!?」
「・・・へ、ヘヘ・・・フフハハハハハァッ!!」
・・・獣人化現象!?
カラダの変化が収まったかの様に見えた瞬間、
毛むくじゃらの獣は、
大地を滑るようにしてガワンに襲い掛かる。
ガワンも大斧で反応するが、
マルコは斧の柄を自らの腕で受け止めた!
その掌には鋭い爪が伸びている・・・
もはやナイフなど必要ない。
そして今度は完全にパワーは互角だ!
初めて最強の男、
ガワンに焦りと動揺の色が見えた。
「き・・・貴様化け物だったのか!?
ウェアウルフ?
まさか・・・実在したとは!!」
「フヘヘ! 何言ってやがる!
てめぇも十分バケモンだろうがぁッ!!」
冷静に観察すれば、
マルコの顔は人間としての顔つきはなんとか保ったままだ、
だが、目は血走り口からは細かい泡が付着し、
その形相は、
先程までの人物と同一人物にはけして見えない。
破壊力やリーチの利点ではいまだガワンが上回るが、
スピードと反射神経では確実に獣人化したマルコに分が有るのだ。
二人は距離をとりながら、
互いの隙を窺う・・・。
マルコは獣のような前傾姿勢で歯をむき出しにして威嚇する。
・・・既にガワンは動揺を打ち消していた・・・、
精神面においても彼は最高の戦士だ。
不測の事態にも対処できる図太い神経を持っているのだ。
「・・・黒十字団は関係ないと貴様は言ったが・・・。」
「・・・ああん?」
「党首ルードヴィッヒの黒い噂は間違いないようだな・・・!
・・・忌むべき悪魔崇拝者!
ヒンドゥ教の黒い女神の巫女カーリーもその繋がり・・・。
叩けばさらに驚愕の事実が明るみになるだろう。」
表情は見えないが、呆れたようなジェスチャーでマルコはため息を吐く。
「だからオレは知らねぇって、
大体オレらから見りゃ、
おまえらもおんなじなんだぜぇ?
世界中に監視の目を伸ばして何するつもりなんだぁ?
第一、太陽の下で強くなるぅ?
そりゃあ祝福なのか?
実は夜になると弱くなるっつー呪いなんじゃねーのかぁ!?」
ガワンが激しくいきり立つ。
「我らを愚弄するか!?
神を恐れぬ邪悪な者どもよ!
・・・良かろう、
一切の慈悲も必要あるまい!
貴様を地獄に送り返してやろう!!」
「・・・ハッ、幸せだよな、
おまえらは・・・、
ここが地獄だってことがわからねーんだからなぁ!?」
・・・ここで、
彼らの争いは途中ではあるが、
時間を日の出前までに戻してみたい・・・。
まだ薄暗い・・・、
例え5メートル先でも互いの顔が見えない夜明け前・・・。
一人の少女・・・
13歳の女の子ローズは、島の内部の森の中で息を潜めていた。
騎士団から隠れるためではない・・・、
食人鬼を見つけるためだけにだ!
マルコとガワンの死闘はおあずけです。