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暗殺少女メィリィ ~ ミッションクリア

 

 「そのままでいい、一つ聞け・・・。」

 「・・・ナニ?」

 「メィリィと言ったな?

 君は中国人である私に憎しみを持っているかもしれない。

 確かに私は漢民族の中国人だ。

 だが、私は山東省で生まれた後は、

 英国領香港で育った。

 そこで騎士団総司令官ウーサー・ペンドラゴンに出会い、

 私の実績・技量・人物を認められて、

 入団を許可され騎士団に忠誠を誓った。

 国籍は中国だが、

 私のアイデンティティーは神の教えと騎士団にある。

 従って現在の人民政府も台湾の国民党も、

 私にとってはどうでもいい存在だ。

 ・・・何を言いたいか判るかね?

 君にとって私は憎むべき存在ではないということだ。

 私に勝てないからと言って、

 君の誇りは寸分たりとも揺らがない。

 君の処遇を云々する権限はないが、

 私の保護下に有る限り、最大限の待遇を約束しよう。」


メィリィは上目遣いに李袞をにらみつけたままだが、

諦めたように頭を下げる。

 「ハハ、まいったね・・・

 勝ち目ないネ・・・。」

 

その言葉を聞いて、

李袞は満足そうに微笑んだ。

 「それでいい・・・

 こんな怪しげな組織に身を委ねなくとも、

 清心を身につければ、

 君の崇高なる精神はさらなる高みに上り詰めるだろうし、

 それに君の功夫も、

 もっと修練を修めればまだまだ強くなる。」

 「でもネ・・・、」

 「ん?」

メィリィはそこで懐に手を入れた。


 (無駄なことを・・・飛び道具か!?)


だが、

彼女が取り出したのは数枚の紙切れ・・・。

 「でもネ、勝ち目ないのは

 『今のままでは』・・・ネ!!」

そのままメィリィは取り出した紙切れを自らの腕に貼る。

短い呪文を唱えた後、

その場にいた全てのものが信じられない光景を見た!


 「ぐあっ!?」

李袞の肩に激痛が走る・・・

攻撃を喰らった!?

 「つ、通臂拳・・・いや違う!

 なんだ今のはっ!?」

 

確かに李袞の目には、

メィリィの攻撃のモーションが映った。

しかし、彼女は完全に間合いの外にいた。

攻撃の際、半歩踏み出してはいたが、

それでも攻撃の届く距離のはずがない。

傍から二人の戦いを見ていた兵士達は、

李袞以上にその正体不明の技を目の当たりにして驚愕する。


・・・メィリィの腕が明らかに伸びたのだ。

長く見えたとか、

関節を外したとかそんなレベルではない。

まるで2メートルは・・・。

一方、単発攻撃で安心できるほど、

李袞を低く見積もるメィリィでもない。

彼が体勢を崩したのを見計らい、

その隙に今度は紙を足に貼る。

今度はメィリィの箭疾歩! 

一息で李袞の足元に着地し、そのまま飛び上がって二段蹴り。

もちろんただの飛び蹴りではない、

跳んだ瞬間、

メィリィの手は李袞の腕を上から押さえ、

蹴りから逃げられない体勢を強いる。

逃げてもメィリィのカラダごと追尾するだけだ。

結果、

李袞は片手で彼女の二段蹴り(イメージとしては蟷螂拳の穿弓腿に近い)を受けねばならない、

いや、それでも彼の技量なら捌けるはず・・・

 

 ッ!?

激しい衝突音とともに李袞が食堂の壁に吹っ飛ぶ!

歴戦の李袞も何がなんだかわからない・・・!

確かに腕を押さえられた状態では、

威力を外に流す事が出来ず、多大なダメージを受けやすい。

だが、ここまで吹っ飛ばされるはずがない。

彼女の発勁か!?

それも違う、

空中で発勁など撃ったら効果は半減する、いや撃てるはずもない。

ガードはできたはずだ・・・!

一撃目を捌き二撃目はそのまま受け止めようとした。

だがその二撃目の威力が尋常ではなかった。

そして吹き飛ばされる瞬間、李袞は見た、

眼前の彼女の足に、

経文のような呪符が貼ってあった事を・・・。


 「く、・・・やはり奥の手を隠していたか・・・

 ここに来ている者はみんな・・・そうなのか!?」

 「見られたからには生かしておかナイ・・・

 て言いたいけど、アナタいい人ぽいね。」

 


一見、優勢に転じたに見えたが、

所詮一時しのぎにしかならないことは、メィリィ自身わかってた。

それゆえ次なる行動は・・・。


再び腕を交差させて、懐から何かを取り出す仕草を見せる。

またもや煙だまだ。

 「部っ長サン、また今度ネー!」


李袞が倒れてる隙に再び姿をくらます。

・・・それから部長じゃなくて支部長だ。

 「已むを得ん! 煙が晴れたら撃て!」


残念だが仕方ない。

それに兵士の数を減らした今なら同士討ちの危険も減っている。

だが、どれだけ兵士が辺りを探そうとも、

もはやメィリィの姿はない。

 「ばかな!?

 いくらなんでも姿を隠せるわけは・・・!?」

だが李袞は一つの推測をした・・・。

最初に厨房から屋根に飛び上がった時も・・・、

あの手足に貼りつけた呪符の効果?

ならば、今もその呪符を使って驚異的な脚力を・・・!?

 

そしてその推測は当たっていた。

メィリィは両足に、

勁力を倍化させる効果の符を貼り、

飛毛脚を使って疾風の速さでその場から遠ざかっていた。

(飛毛脚・・・外見上は競歩のイメージかもしれないが、

 勁を足に込めて飛ぶようにして走る)


もはやメィリィを追うことは不可能だ。

李袞は自分の右腕を見た・・・

恐らくヒビが入っているであろう。

そして今更ながらに、

ここへ来る前に騎士団本部からのマーゴの注意を思い出した。


 < メリーという女の子たちには気をつけてねぇぇぇ! >


海岸にいたラブゥ・・・

女真族の末裔メィリィ・・・、

そしていまだ姿を見せないローズ・メリー。

黒十字団は、

こんな島で「そんな」女性たちを集めてどうしようというのだ?

李袞は煙が晴れた後、

残りの兵士達に指示を与え、

ガワン達の後を追うことにした・・・。

 


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